インドネシア語新聞翻訳
2008年8月14日(木)


コーランの出版では利益を追求してはならない

宗教省がチアウィでコーランの印刷所を準備中

【ジャカルタ】
 ムハマド・マフトゥー・バシュニ宗教大臣は、ページの順番が間違っていたり、欠けている箇所があったり、あるいは技術的なミスによる誤りがあるコーランが未だに見つかっているという報告に懸念を示している。

 宗教大臣は7月13日(水)ジャカルタのタマン・ミニ・インドネシア・インダ(注1)のコーラン会館でのインドネシア・コーラン・出版社協会(APQI)の発足式で「コーランの出版は利益追求を指向するだけでなく、質と美しさをも重視すべきだ。APQIができたことによってこれらのミスがなくなることを期待している」と明言した。

 この発足式には、国民協議会ヒダヤット・ヌルワヒド議長、マレーシア大使館イスマイル・トゥアン・アブドゥラー宗教担当大使館員、研究・開発および教育・研修局アトー・ムズハール局長らが出席した。

 宗教大臣は、コーランは聖なる書としてその真正さが常に見守られ、誤りや改変、偽造がないようにしなければならないとして次のように語った。「ピリオドがひとつ消えていたり、あるいは追加されているといったコーランの記述上の誤りが、誤読、意味の取り違え、誤解、また実践上での誤りの原因となりうるのだ」

 この問題に大きな関心を抱いているインドネシア政府は、コーラン承認委員会という組織を発足させた。この委員会の基本的な任務は、コーランのアル・ヒジュル章第9節の神の言葉の意図を実践し、コーランの真正さを守ってゆくことだ。

 宗教大臣によると、宗教省のこの委員会の任務は書籍と電子メディアにおけるコーランのテキスト、読み物、翻訳、解釈をチェックした上で承認するだけでなく、コーランを人々の間に普及させることもあるので、その仕事は時とともに増え続けることになる。

 「出版物に誤りがなくなるために、そしてコーランの普及を図るため、委員会が規定に従ってコーランの出版社に常時便宜と支援と指導を与えることを要請する」とマフトゥー大臣は述べた。

 コーランの供給に関して、政府はこれまで他のコーランの出版社に助けられていた、と宗教大臣は述べた。政府は宗教省を通じて毎年極めて限られた部数のコーランしか刊行出来なかった。それは、一家族が一冊のコーランを持つとすれば、今日のインドネシアのイスラーム教徒社会で必要とされている部数、つまり約3600万部にはるかに及ばないと宗教大臣は述べた。

 その上でマフトゥー大臣は「宗教省はチアウィにコーランの印刷所を準備した。この8月には正式にスタートする。何としても1年に500万部は印刷したいと考えている。ただし、1年目は100万部だ」と語った。  国民協議会ヒダヤット・ヌルワヒド議長はチアウィで年に500万部コーランを印刷するという宗教大臣のアイデアを支持している。「これは重要かつ素晴らしいことで、有難いことだ」と語った。

 ヒダヤット議長は、部数が足りないため聖典コーランを持っていないイスラーム教徒がいる状態を憂慮している。「きちんとしたモスクでも所蔵するコーランの部数が少なく、しかもそのコーランも古ぼけてしまっているのが気になっている」と語った。

 APQIのアリ・マハダニ理事長は、イスラーム教徒の企業家はコーランの印刷がいかに重要であるかについてこれまで配慮が足りなかったと語った。「その結果コーランの90%が非イスラーム教徒によって出版されてきた。彼らは聖典であるコーランを理解してもいないし敬ってもおらず、コーランを同列には論じられない一般の読み物と同一視している」とアリ理事長は言った。「それについては他の人を責めることはできない。非があるのはわれわれ自身だ」と付け加えた。


注1) タマン・ミニ・インドネシア・インダ: インドネシア全州の文化を展示・紹介するテーマパーク

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0808141hy)

原題:‘Penerbitan Alquran Jangan Kejar Untung’




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