インドネシア語新聞翻訳
2008年6月5日(木)


イスラーム病院は資金を必要としている

寄進(注1)に関する法律によれば、寄進された土地は銀行の担保にできない

【ジャカルタ】
 イスラーム病院は、運営拡大のための資金確保に苦しんでいる。イスラーム病院が所有する土地の多くは寄進されたものであるため、資金確保のため銀行の担保にすることが出来ない。この問題を解決するために、イスラーム病院側は政府の対応を求めている。

 昨日(6月4日)、全国イスラーム医療事業協議会(以下MUKISI)代表は、ユスフ・カーラ副大統領に、資金確保に関する問題点を訴えた。MUKISIは、全国のイスラーム病院とイスラーム医療教育機関を統括する組織だ。「質量双方の面で、病院の運営を拡大するための資金が必要だ」ジャカルタの副大統領事務所で、ファリッド・フセインMUKISI理事長はこのように述べた。

 同理事長は融資に関する問題が、イスラーム病院の運営拡大の制約となっていると述べた。寄進による土地を担保にすることを禁止する規定は、寄進に関する法律に記載されている。副大統領に訴えることで、問題解決の足がかりとなることをMUKISIは期待している。「(イスラーム病院が)所有している土地の多くは寄進されたものであるため、土地を銀行の担保にすることが非常に難しい」

 同理事長は次のように述べた。その資金問題の解決策の一つとして、副大統領はイスラーム病院がイスラーム諸国(の関連団体)の援助を得ることを提案した。現在イスラーム諸国は、汚職を避けるため、個人間でなく団体を対象に援助をしているという。この援助は、貸し借りとは違うため望ましいと考えられる。「この方法を試してみるつもりだ」

 その会合のなかで副大統領は、イスラム病院側に医師の専門的な医療サービスの向上努力を続けるように要請した。(医療サービスの)質の向上は、病院とりわけイスラーム病院に対する人々の信頼をさらに高めることを目的としている。「我々は常に変化を求めている。かつてイスラーム病院は不潔と見なされており、医療教育も他の病院と比べ物にならないほど劣っていたが、今では改善されている」

 MUKISIは1994年に結成された。MUKISIのメンバーは、日常的に会議や運営のための会合を開き、海外の同種の協会と関係を築いてきた。ファリッド氏によれば、イスラーム病院の医療サービスと医師の質は、今ではイスラーム病院でない民間の病院に比べて劣らないという。イスラーム病院には、既に様々な分野の専門性を持つ医師たちがおり、医療設備も整っている。さらに官製の病院と同等の規定も存在する。

 同理事長によれば、イスラーム病院はA、Bなどの数タイプの様々なグループに分類されており、保健省とMUKISIの認定も得ているという。この規定にはイスラーム病院で使用されている医療設備も含まれている。「イスラームに則った医療サービスを行なっているかどうかの認定も行う」

 イスラーム病院は他の病院と同様に、経済的に貧しい人を対象とした医療サービスも行っているという。さらに政府が国民のための医療保障プログラムを行なう以前から、貧しい人を対象としたプログラムを実施していた。「その上、いくつかのイスラーム病院には、宗教指導者や伝道師たちの健康管理のためのプログラムもある」

【djo記者】


注1) 寄進: 原語はワカフ(アラビア語ではワクフ)。イスラーム教徒が所有財産を宗教活動、慈善目的に使われるために寄進すること。ワクフは「禁止」を意味するアラビア語で、これは寄進された財産の売買・譲渡等、所有権の移動が、寄進後は許されないためとされる。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0806052kk)

原題:Rumah Sakit Islam Butuh Modal
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=336478&kat_id=153



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