インドネシア語新聞翻訳
2008年5月30日(金)


若者向きの宗教講話会

参加者はイスラーム風の腰布と帽子を身につけ、沈思して神を讃えるズィクルを実施

 インドネシア西部時間(注1)の午後10時。白い縁なし帽と腰布(サロン)、イスラーム風の白い長袖襟なしシャツ姿、なかには「ラスルラー会」と書かれた黒いジャケットに身を包んだ若者たちを乗せたオートバイが列をなして南ジャカルタ、パサール・ミングーのカリバタ通りにあるアル・ムナワール・モスクの駐車場に続々とやってくる。

 毎週月曜日の夜、9時から11時まで、ほとんどが若者から成る何千人という集団がアル・ムナワール・モスクを訪れる。アル・ハビブ・ムンジル・ビン・ファウド・アル・ムサワ氏が指導する「ラスルラー会」の宗教講話会に参加するためだ。十分広い駐車場を完備した二階建てのモスクでも、膨れ上がる若者たちの集団を収容しきれない。そのため2x3mのスクリ−ンと大出力の音響システムが、委員によってモスクの外にいる者たちのために据えられている。

 他の場所、南ジャカルタのブルンガンでは、毎週月曜日の夜、数十人の若者が集まってくる。彼らの服装は、長袖襟なしシャツに白い縁なし帽というモスクに来る一般的な服装と比べると、整っているとは言えない。普段着で、色の褪せたジーンズとよれよれのTシャツ姿の者さえ少なからずいる。彼らもイスラームを学ぶという同じ目的で来ている。彼らが学ぶことは神の名を唱えることで神を讃えるズィクル、そしてダルヴィーシュの踊り(注2)だ。そう、彼らはスーフィー派(注3)の信者たちなのだ。

 彼らの一部は大学生、その他はストリート・チルドレン、流しの芸人、それにイスラームのシンパから成る。シンパとしたのは、彼らがイスラーム教徒が入信時に言う信仰告白の2つの言葉(注4)をまだ口にしていないからだ。しかし彼らはスーフィーとイスラームを学ぶことに惹かれている、とナクシュバンディ・ハッカニ・ラッバニ・ズィクル会の調整役であるアリフ・ハムダニ氏は述べている。

 彼らは夜が更けるまで、神の偉大さを讃えて唱えるズィクルに没頭している。筋肉隆々としたいかつい顔のある若者は何かに打たれたようになって涙を流している。神を讃えるズィクルは実に人を魅了するのだ。

   南ジャカルタのパンチョラン界隈にあるカルヤ・ウィドド・モーター(株)の従業員であるアフマド・イフランさん(21)は、「ラスルラー会」の創立時からの集会に参加しており、イスラームの教えを学ぶのは非常に楽しいと述べている。イフランさんは「ラスルラー会」の宗教講話会に参加して以来、毎日の生活が変わりはじめたと認めている。この会に参加する前は、人生を無駄に過ごしていたが、自分の生活が変わったと感じている。「ラスルラー会の生活規範に従うことは、簡単だ」とイフランさんは言う。

 同じようなことをエドウィンさんも述べている。彼は、南ジャカルタのブンチ・ラヤK30地区にあるナクシュバンディ・ハッカニ・ラッバニ・ズィクル会の活動に必ず参加するという。その会に出席すると、いつも自分の心が晴れやかになるからだ。最初の頃は心がすさんでいたが、今は穏やかになったと彼は言う。神を讃えることは心を穏やかにする。心の平穏こそが実はこれまで自分が求めていたことだったのだ、と彼は話した。

 ヌルル・ムストハ会によく出席するアフマド・ハディさんは、この集会に2ヶ月参加して一層穏やかに生活ができるようになったと認めている。南ジャカルタのマンパン・プロ地区の縫製工場で働いているこの男性は、最初は兄に誘われて会に参加した。「何度かこの集会に参加しているうちに、とりこになった。おかげで今はより一層アッラーに近くなった」と述べている。

 以前、彼は週末を仲間たちとショッピングモールでたむろしたり、ツーリング(彼らの言葉でジャカルタをバイクで走り回ること)をしたりして過ごした。今では、たまにたむろすることはあるが、以前みたいに何時間もというわけではない、と彼は言う。バランスをとろうとしているのだ、というのが彼の言葉だ。

 シャリフ・ヒダヤトラ国立イスラーム大学の大学院教員であるルトゥフィ・ファトゥラ氏は、若者がイスラームの教えを学ぶ現象は望ましいもので祝福すべきと語る。「彼らは、自分たちの感覚についていける若い指導者を探しているのだと思われる。年配の指導者は彼らの感覚についていけないようだ。若者は年配の人たちが与えられないものを求めている」と彼は述べている。

 例えば、まだ比較的年齢の若いハビブ・ムンジール師は、若者言葉で若者と接している。もっとも、彼が提唱している神を讃えるズィクルは、印象としては重い。彼らは一緒にシャラワート(注5)を唱えるように言われるが、これは歌のようだ。普通の音楽を聴いているのでは宗教的な意味がないが、このシャラワートは、通常のシャラワートが持つ独特のリズムを持たないため、若者たちは「これは若者向きで、自分たちにあう!」と感じるのだろうと同氏は述べた。

【tri/dam記者】

注1) 西部インドネシア時間: インドネシアでは、時間が西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。
注2) ダルヴィーシュ: イスラームの神秘主義教団の人たちが激しい踊りや祈祷で法悦状態に入ること
注3) スーフィー派: イスラームの一派。現世的欲望に対する執着を捨て、禁欲的に生き神との神秘的合一をはかる。
注4) 信仰告白の2つの言葉: 「アッラーの他に神なし」と「ムハンマンドはアッラーの使徒である」から成る。イスラームに入信する際は、これをアラビア語で2名の証人の前で唱える。
注5) シャラワート: 預言者ムハンマドと彼の家族にアッラーの恩恵があるようにと願う章句


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0805301hy)

原題:Pengajiannya Gue Banget
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=335725&kat_id=147



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