インドネシア語新聞翻訳
2008年3月13日(木)


喜捨の拡大を通じた伝道支援

 インドネシアはイスラーム人口が世界で最も多い国だ。この国では、宗教上の教えを実践する上で、手本や模範となる伝道者が、数多く生まれてきた。彼らは、儀礼に関することだけでなく、社会的なものも含めた(宗教的な)生活の質を向上させる上で、重要な役割を果たしてきた。

 しかし、この国のいくつかの地域は伝道者の不足に悩んでいる。その地域は、パプア州や西ヌサ・トゥンガラ州などだ。地域にいる伝道者の数が、住民であるイスラーム教徒の数に比べて少ない。

 それを解決するために、全国喜捨募集組織(以下 Laznas)は、伝道者の研修を行うことを決定した。この研修に参加した伝道者たちは後日必要とされる地域に派遣される。

 喜捨募集組織であるバイトゥルマル・ヒダヤトゥルッラー(以下 BMH)の事業開発部コーディネーター、デデ・ヘリ・バーティアル氏によると、遠隔地の人々にとって伝道者の存在は非常に重要だという。そのため、伝道者研修プログラムが昨年から実施された。このプログラムの資金は、BMH に集まった喜捨・扶養資金・寄付(以下 ZIS)(注1)によって支払われている。

 「遠隔地のあちこちで、伝道者が強く必要とされる状況を目にした」と水曜日(3月12日)同氏は本紙に対して語った。初回の伝道者研修プログラムは、西ジャワ州、デポック市で2007年5月から3ヶ月間行われ、40人の伝道者が参加した。

 参加者たちはインドネシア各地の出身者で、遠隔地での伝道をつとめる予定だ。「第2回プログラムは去る2月に行われたばかりで、同数の参加者がいた」と同氏は述べた。BMH は今年300人の伝道者を研修し、様々な遠隔地へ派遣できることを期待している。

 BMH は宗教省の書類に基づいてヒダヤトゥルッラーという名の組織により、2001年に初めて Laznas として正式に創立された。創立目的は、宗教の質を向上させると共に、社会で起きている貧困の改善を支援することだ。

 「数団体の研究資料によれば、インドネシアにおける喜捨資金収集の可能性は十分高く、年間およそ12兆ルピア(約1,300億円)にのぼる」と同氏は述べた。

 実は(BMHの)創立前に、ヒダヤトゥルッラーは喜捨資金の収集と管理をしてきた。しかし、それはまだ全国規模ではなく、地域単位で行われていた。同団体は全国でおよそ200の支部を持つ。

 昨年末までに BMH に集められたZIS資金は、140億ルピア(約1億5,200万円)を記録し、前年同期額(70億ルピア、約7,600万円)と比較して100%も上昇した。今年、BMH は300-350億ルピア(約3億2,500万-3億8,000万円、昨年比約150%)のZIS資金を集めることを目標としている。

 Laznas は、創立から今日まで、ZIS資金を3部門(教育、社会、伝道)へ提供してきた。それは、ヒダヤトゥルッラーが、もとは教育を基盤としたヒダヤトゥルッラー・イスラーム寄宿塾によって創立されたためだ。「ヒダヤトゥルッラー寄宿塾は、約38年前に東カリマンタン州のバリックパパンで創立された」

 伝道者の研修と派遣は、ヒダヤトゥルッラーが BMH を創立する前から、長期にわたって行われていたという。その活動は、『伝道者ステーション』という名のヒダヤトゥルッラー・プログラムに組み込まれていた。そのプログラムによって、今日までに10万人の伝道者が研修を受け、インドネシア各地へと派遣された。

【aru記者】


注1) 喜捨・扶養資金・寄付: ここでは、いずれもイスラームに基づくもの。それぞれの頭文字をとって ZIS という。喜捨(ザカート)は、宗教的義務の一つで、財産に対して支払いの率が定められた税。扶養資金(インファーク)は、扶養のために出される資金。寄付(サダカ)は、他者に対し自発的に行う金品の施しや行為。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0803131kk)

原題:Mendorong Dakwah Melalui Pengembangan Zakat
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=326819&kat_id=256



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