インドネシア語新聞翻訳
2008年1月19日(土)


ジェッダで後を絶たない不法滞在巡礼者

 インドネシアのメッカ巡礼担当者は、疲れ、不眠、それに時としてストレスに、ひっきりなしに悩まされた。そして今回、ジェッダの地域事務所での1人の「向こう見ずな巡礼者」の行いにより、その疲れが一段と倍増した。

 「向こう見ずな巡礼者」とは、聖地に不法滞在するインドネシア巡礼者の呼称だ。彼らは、小巡礼(注1)ビザを使って一般パスポートでやって来る。しかし、たいていは行きのチケットとぎりぎりの所持金しか持たない。ラマダーン(注2)月頃に出発し、その後はメッカ付近に居住しているインドネシア人の家に、大巡礼の頃まで身を潜めている。

 ときに彼らは、巡礼者に食糧やインドネシア食品を売る。警察の取締りがあるとすぐに商品を放って逃げる。または、住人の家で巡礼シーズンまで潜伏している。逆に巡礼シーズン後は、衣服の入ったプラスチック袋を持って行商を行う。今回、彼らは入国管理局の警察にわざと捕まりたがっていた。理由は一つ。インドネシアに無料で帰してもらえるからだ。その前に入管の拘置所で過ごさなければならないが。

 不法滞在巡礼者の1人であるムニルは、ニュー・リヤド・ホテルのジェッダ地域、巡礼活動管理事務所にいた。彼はインドネシアに帰国させられる予定で、ジェッダ・インドネシア総領事館からの帰国のための渡航書を待っていた。ジェッダの巡礼メディア・センターによると、彼は国際空港でサウジ・アラビア治安警察に捕らえられた。祖国に帰ろうとしたが、パスポートも航空券も持っていなかった。警察に対して彼は、インドネシアの巡礼者だと述べた。そのため治安警察も、空港の巡礼部門担当者へ彼を引き渡した。

 彼は他の巡礼者に所持金がないのだと主張し脅したことも、空港の事務所で自白した。巡礼係員に喧嘩をけしかけたり、何度もジェッダの地域事務室の椅子を叩きつけたりした。自分が正式な巡礼者であるかのように、係員に(適切な)対応をするよう繰り返し要求した。しかし、彼はイスラーム月第3月に出発したことを自白した。「小巡礼のためにイスラーム月第3月に出発し、巡礼シーズンが到来するのを待った」しかし所持品はなくなっていた。

 係員は当初、ムニルが鬱病の巡礼者かと考えた。しかし、コミュニケーション能力があることが明らかになり、彼は怒りながら精神を病んではいないと主張した。そして、係員の対応を要求し続けた。昨日までで、彼は3日間巡礼係員の監視下にいる。他の不法滞在巡礼者とともに帰国させられる予定だ。

 サウジの入管管理局の警察の記録によると、今年は不法滞在巡礼者が少なくとも1,500人いる。その一部はすでに警察の取り締まりをうけ、帰国させられた。うち600人がインドネシア出身者だ。それ以前に、ハッサン・ウィラジュダ外務大臣は、インドネシア政府の出国許可の規定が廃止された後、シーズンを過ぎても不法滞在する巡礼者を払拭するのが難しくなったことを強調した。同大臣によると、このような巡礼者は実際に不法滞在するのが目的で、ありあわせの所持金で出発する。しかし総領事館の調査によれば、一部の不法滞在巡礼者は、航空貨物サービスで祖国にお土産を送るほどだという。

【n mch記者】


注1) 小巡礼: イスラーム暦12月の大巡礼の期間外に行われるメッカ巡礼で、ウムロと呼ばれる。メッカ巡礼には、大巡礼・小巡礼の二種類があるが、イスラーム教徒が行う五行の1つにあたるのは、大巡礼の方である。この記事のなかで巡礼とした場合は、大巡礼の方を指す。
注2) ラマダーン: イスラーム暦9月 断食月



(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0801191kk)

原題:Jamaah Bonek Berulang di Jeddah
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=320459&kat_id=106



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