2007年10月11日(木)

宗教大臣:信者の融和と統一を守るべき

【ジャカルタ】
 イスラーム暦(注1)1428年の断食明けの大祭を祝う上で、イスラーム教徒は融和と親善と統一を守るよう心がけるべきだ。マフトゥ・バシュニ宗教大臣が行ったこの呼びかけは、ルバラン(注2)を行う日に違いが生じる可能性に関連している。

 「ルバランの日が違うことはあり得る、しかし信者の融和を何よりも優先すべきだ」とマフトゥ大臣は10月9日(火)の晩、本紙に対して述べた。

 イスラーム法によれば、イスラーム暦10月1日の断食明けを記念して祝うことは、重要な慣行カテゴリーに入る。また、信者の団結に気を配ることは、イスラーム教徒にとっての義務だ。従って「ルバランの日が違うことが、イスラーム教徒同士の統一と調和を乱すことになってはならない」と大臣は述べた。

 政府が断食明けの日を、ムハマディア(注3)が決めた10月12日と同じにするとは限らないと大臣は語った。それは、政府は本日(10月11日)のルクヤト(新月の視認)(注4)のプロセスを待つことになっているからだ。

 「断食明けの日が何日になるかは、西部インドネシア時間(注5)の19時頃の決定会議を経て初めて決まる」とマフトゥ大臣は述べた。ムハマディアが「計算によって月の始まりを決める」方法をとっているのに対し、政府は2つの方法を融合したヒサブ(注6)・ルクヤトを用いていると同大臣は述べた。

 10月11日に新月が見えなかった場合は、政府は断食明けの日を(西暦)10月13日と定める。従って、「(イスラーム暦の)9月29日の夜に新月が見えなければ、断食は満30日になる」

 インドネシア・ウラマ評議会(注7)の議長イチワン・サム氏は、断食明け日についての決定会議の結論を待つようイスラーム教徒に呼びかけた。「決定会議は、イスラーム教徒と政府の合意を表す」

 ルバランを行う日に違いが出ることになっても、人々はお互いに敬意を払い尊重し合うようにとサム氏は呼びかけた。「寛容の精神を発揮し、お互いに相手を非難せず、イスラーム的同胞精神を持ち続けるべきだ」

 一方、バンドン工科大学の天文学専門家ムジ・ラハルト氏は、違いが起きるのは新月を決定する際の判断基準によると考えている。新月は月の高さ(注8)が地平線から2度以上の角度であってはならないのだが、ムハマディアは三日月をすべて新月と見なしていると彼は説明した。

 一方、政府側は全ての三日月が新月ではなく、一定の高さという条件を与えている。「この点を理解すべきだ」





注1) イスラーム暦 : ヒジュラ暦とも言う。預言者ムハマンドがメッカからメディナに移住した622年を紀元とする。月の運行を基本とする太陰暦で1年が太陽暦より11日短い。今年(西暦2007年)はイスラーム暦1428年に相当する。
注2) ルバラン: イスラーム暦10月1日に行われる断食明けの大祭。イスラーム暦は新月のときを月の第一日とするが、後述の理由により新月のときの確定が難しく、そのためイスラームの団体、組織によってルバランの日に違いが生まれることがある。 注3) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
注4) ルクヤト: 月齢を読むこと
注5) 西部インドネシア時間: インドネシアでは、時間が西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。
注6) ヒサブ: 計算の意味。1ヶ月の日数が29日または30日と定められていることをベースとして計算(ヒサブ)によって決める。
注7) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者がさまざまな問題に対してイスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織
注8) 月の高さ: 新月は太陽と同じ方向にあるため、太陽とほぼ同じ時間に上がり、ほぼ同じ時間に沈む。ここで月の高さと言っているのは太陽が沈んだときに新月が位置している高さの対地平角度のこと。この角度が2度ということは日没後すぐに月も沈むことになり、しかも糸のように細いので実際問題として観測が難しいことが多い。そのためインドネシア政府はヒサブと言われる計算との併用方法を採用している。




(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0710111hy)

原題:Menteri Agama: Tetap Jaga kerukunan dan Persatuan Umat
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=310110&kat_id=3



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