2007年9月2日(日)

イスラーム関係図書とコーランの書き入れ時

ラマダーン(注1)月にはコーランの売れ行きが急増する

 ラマダーンは真に祝福に満ちた月である。その恩恵を受けるものの一つがイスラーム関係の本の出版社だ。中でも翻訳コーランや、中東で標準になっているムシャフ(注2)・コーラン(コーラン用の紙を使いカラーで印刷されている)の出版元はまた特別である。

 「ラマダーンはイスラーム関係の本の出版社、とくにコーランの出版社にとって書き入れ時です。ラマダーンの2週間前からラマダーンに入った最初の2週間がそうです」とペナ・プンディ・アクサラ社のマーケティング担当役員のムカエロニ氏は語る。

 ムカエロニ氏によると、イスラーム教徒は(インドネシアのイスラーム教徒も含め)一般的にラマダーン月に いわゆるタダルス(注3)でコーランを読む。通常このタダルスは、タラウィ(注4)のお祈りの後とスブー(注5)のお祈りの後に行われる。「タダルスは両親と子供たちが一緒に行うものなので、各家族がコーランを一冊以上必要とする。市場でラマダーン月のコーラン需要がその前月に比べて激増するのも当然だ」

 同様のことを、ダルス・スンナ出版社のマーケティングおよびムシャフ配送担当役員ムハマド・リフキ氏と、グマ・インサニ・プレス社のマーケティング部長クスマントも述べている。「ラマダーン月にはコーランの需要がその前の月に比較して急速に伸びる」とムハマンド・リフキ氏。

 しかしながら、コーランの売れ行きはサロン(注6)とはそのタイプが異なるとリフキ氏は付け加える。「通常サロンの需要はラマダーン月に急増するが、その期間以外には比較的低い。一方、コーランの需要はラマダーン月に急伸するがそれ以外の月でも高い水準にある」と言う。

 クスマント氏も、ラマダーン月には常にイスラーム関係の本とコーランの売れ行きが急増し、ピークになると述べている。

 イスラーム関係の本とコーランの出版社は、販売促進のためにラマダーン月をきっかけとして利用していると言える。彼らはラマダーンが近づくと書物を競って印刷する。「すでにわれわれはイスラーム関係の本とコーランを書店と取次店に発送している。今は追加注文を待っているところだ」とクスマント氏は語っている。

 現在インドネシアには、中東ものに準拠した品質のコーランを出版する出版社がいくつかあり、その中にペナ・プンディ・アクサラ社、グマ・インサニ・プレス社、ダルス・スンナ社、マグフィラー社、それにチャハヤ・クルアン社などの名があげられる。

 ペナ出版社は、イスラーム法の章を翻訳したコーラン、コーラン・タジュウィド(注7)、コーラン・ジュズアンマ・タジュウィド(注8)、それに女性のために特化された女性用コーランなど、いくつかのモデルからなるペナ・コーラン・シリーズを出版している。

 「イスラーム法の章の翻訳は、昨年のラマダーン以来出版されており、現在すでに6万部印刷されている。一方、コーラン・タジュウィド、コーラン・ジュズアンマ・タジュウィド、女性用コーランは新しく出版されたもので、それぞれ1万部印刷されている」とムカエロニ氏は語る。

 ダルス・スンナ社は2003年からコーランの出版を準備してきたが、最初の印刷は2007年8月〜9月だった。名称はアル・カミルといい、神という文字が赤い色で書かれているのが最大の特徴で、このコーランは全体に3色で印刷されている。  「初版はコーランとしては部数が少なく、1万部刷だった。すでに約6割(6千部)が売れており、注文が入っている分を含めると販売部数は7割(7千部)を越えている」とリフィキは語る。

 グマ・インサニ社は、コーランのアル・フード・シリーズ(注9)を出版している。「われわれは翻訳コーランとムシャフ・コーランを、さまざまなサイズとカバーで10種類、出版している」とクスマント氏は語る。

 このアル・フード・シリーズのコーランは昨年から出版されはじめた。「現在まで全体の部数は10万部を越えている」とクスマント氏の言葉。

カルフールとジャイアントを狙え
 イスラーム本の出版社たちは、本のマーケティングにおいて新規の販売ルート開拓に意欲的だ。彼らは伝統的な販売ルート、つまり書店に頼るだけではなく他の市場ルート、すなわち巨大小売店網(大型スーパー)も利用している。

 「このラマダーン月、ペナおよびいくつかの出版社は、大型スーパーマーケットのカルフールとジャイアントと共同で販売活動を行っている。われわれはイスラーム関係の書籍とコーランを、カルフールとジャイアントのアウトレットに出品して販売している。」とムカエロニ氏は語る。

 このような動きは、幅広く購買層を獲得することを目的としている、と彼は語る。「イスラーム関係の本やコーランを買いたいと思っていても本屋に行く機会がない人は多い。このような人たちがカルフールやジャイアントで買い物をするとき、ついでにこういった本を買うことができる。さらに、日用品にしろ洋服にしろ、通常ラマダーン月にはイスラーム教徒の購買活動は高まる」とムカエロニ氏は断言している。

注1) ラマダーン: イスラーム暦9月 断食月
注2) ムシャフ: コーランの一部で手書きされた箇所
注3) タダルス: ラマダン月にコーランを家族などと一緒に唱えること
注4) タラウィ: ラマダン月に行われる夜のお祈り
注5) スブー: 明け方のお祈り
注6) サロン: 長方形の布を筒状に縫い合わせた腰衣。くるぶしまでの長さがあり、腰巻状に着用する
注7) コーラン・タジュウィド: コーランの正しい唱え方
注8) コーラン・ジュズアンマ・タジュウィド: コーランの第78章から114章までの正しい唱えかた
注9) アル・フード: コーランの第11章




(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0709021hy)

原題:Musim Panen Buku Islam dan Alquran
http://www.republika.co.id/koran_detail.asp?id=305472&kat_id=319



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