2007年8月24日(金)

憲法裁判所、一夫多妻制問題の司法審査

現在インドネシアの女性と男性の人数の割合はほぼ同じ

【ジャカルタ】
 政府は、離婚を回避するために一夫多妻制が行なわれるという見解に反論した。8月23日(木)にジャカルタの憲法裁判所で行なわれた、結婚に関する1974年法律第1号の司法審査では、宗教省イスラーム社会指導のナサルディン・ウマル総局長・政府代表が、次のようなデータを公表した。一夫多妻制は、かえって離婚の主要原因の一つとなっている。

 同氏は次のように発言した。全国の宗教裁判所の記録によると、2004年には一夫多妻制が起因した813件の離婚が起きている。2005年にはその数字は増えて879件となり、2006年には激増して983件になっている。「このデータは、一夫多妻制の維持が、かえって離婚の原因となっていることを示している。一夫多妻制は婚姻を解消させる主要因となる」

 一夫多妻制は、妻と子供たちがなおざりにされる原因にもなっている、と彼は続けた。一夫多妻制で一人の男性に認められている妻の条件(数)は、結婚の法律で規定されているように、一夫多妻制の悪影響を回避することを目的に定められている、と同氏は発言した。

 同氏は次のように説明した。結婚の法律は、一夫多妻婚への扉を閉ざしてはいない。条件を規定しているだけだ。宗教裁判所は、現在まで一夫多妻婚を幾度となく許可してきた。それは、結婚に関する法律が、規定された条件を満たす限り、一人の男性が一人以上の妻を持つことへの道を開いていることを示している。

 宗教裁判所は、2004年には、1,016件の申請のうち800件の一夫多妻婚を許可した。2005年には、989件の申請のうち803件、2006年には、1,148件の申請のうち776件を許可した。一方、政府の専門家クァライッシュ・シハブ氏は、イスラームによる結婚の目的は、ある人が心の平静を得ることだと説明し、次のように続けた。それ以外にも望むなら、もはや結婚の目的にはふさわしくない。彼によると、結婚に関する法律は、厳しいながらもイスラームの教義に従った条件を付けて、絶えず一夫多妻制への道を開いているという。

 他の政府専門家、フザエマー・T・ヤンゴ氏は、次のように説明した。イマーム・シャーフィイー(注1)の解釈に従い、ある男性が公正に行動し、妻たちを養うことができる場合のみ、一夫多妻制は行なわれてもよい。彼は、中央統計局(略称BPS)と国家家族計画調整局(略称BKKBN)の男性と女性の人数の対比についてのデータも引用している。

 現在男性の比率は、女性(49.2パーセント)に匹敵する50.2パーセントを占める、と彼は発言して次のように続けた。そのデータに基づくと、女性の人数が男性より多いことを解決するために一夫多妻婚がしばしば行なわれるといわれている説には、全く根拠がない。

 「その49.2パーセントの女性のうち、大半は夫と離婚または死別した女性が占めている。だから、一夫多妻婚を望むなら、彼女たちと結婚した方がよく、未婚の女性とはしない方がよい」と彼は述べた。結婚に関する法律の司法審査は、M・インサ氏が提起した。彼は、「妻や宗教裁判所の許可が必要」などの一夫多妻制の条件を規定する条項は、宗教的義務に従って合法な一夫多妻制に則った家族を形成するための、憲法上の権利を損なうと考えている。

実際の数

49.2パーセント

インドネシアの女性人口

【ant記者】

注1) イマーム・シャーフィイー: シャーフィイー学派の名祖にして法源学の創始者。(767-820)イマームは、イスラームの宗教指導者を意味する。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0708241kk)

原題:MK Uji Materiil Masalah Poligami
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=304361&kat_id=6



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