2007年8月3日(金)

メッカ巡礼を改善せよ

政府とメッカ巡礼催行の関係者は共同で旅の改善に取り組むべき

 2007年国民協議会は、メッカ巡礼(注1)の改善について、最終的な期限を設けた。「宿泊施設、食事、航空機について、今年も問題が起こるようならば、メッカ巡礼に関する現在の法律は全面的に改定されるべきで、しかも抜本的な改善を行うべきだ」国民協議会第8委員会の副議長サイード・アブドゥラー氏は、本紙に対してこう語った。

 インドネシア・ハジ連盟中央委員会(MPP-RHI)議長のアデ・マルフディン氏は、改善についてはメッカ巡礼に関する法律を改定ないし修正するだけでは不十分で、全面的抜本的に改変べきだと語った。「もし法律の改定が本質に触れず、ただ管理・監督の件を追加するだけであるなら、現行の法律を変える意味がない」

 アデ氏は、現在のメッカ巡礼の法律に関する修正ないし改定は、部分的(継ぎはぎ)で、政府が行なっている巡礼の改善努力も同様であるとして、次のように語った。「政府とメッカ巡礼に関わる者すべてが、巡礼の改善に共同で取り組むことが望ましい、それもその場限りの利害によってではなく」

 サイード氏は、今年巡礼を予定しているインドネシアのメッカ巡礼者は、出来るだけ急いで準備を整えることが望ましいと語った。宿泊施設が、マスジディル・ハラーム(注2)から非常に遠いためだ。サイード氏によれば、今年の宿泊施設の状況は、2003-2004年の時と同じで、宿泊施設とマスジディル・ハラームとの距離は、約1500メートルあった。「今回も宿泊施設の状況は、非常に悪い。宿泊施設の約56%は礼拝の場所から1500メートル離れている。」

 第8委員会は、今後のためにインドネシアのメッカ巡礼団体の宿泊施設について、はっきりと条件をつけるよう、政府に要請するとサイード氏は言明した。「少なくとも最低3年に一度は、契約の更新をするべきだ。そうすれば費用はもっと安くなるだろう」とマドゥラ生まれの同氏は語った。

分離
 メッカ巡礼の問題は、管理と実行と監査の部門が分離していないために起きているとアデ氏は説明している。「これらが一つの省内にあり続けるなら、巡礼の改善に悲観的にならざるをえない」

 その理由は、管理と実行と監査の機能が一つの省内にあると、実行面での重複が起きる可能性があるからだ。「実行するのは彼、監督するのも彼、制裁を与えるのも彼、これでは何にもならない。そのため、運営面で重複が起きないようにメッカ巡礼に関わる法律の訂正ないし修正によって、これらの機能を明確にするべきだ。そうすれば混乱が起きなくなる」また、宿泊施設の問題についてアデ氏は、サウジアラビアの全宿泊施設経営者に対し、公開入札を行うべきだと言う。「公開入札で宿の質や条件をわれわれに示さねばならないのは彼らで、その逆ではない」この処置は、明らかにインドネシアにとって非常に有利になるだろう。交渉上強い立場に立てるからだ。

 サイード氏は、アデ氏のこの提案を非常に評価してはいるが、この条件は実現の可能性が低いと述べている。「供給と需要が釣り合っていない」ためだ。宿泊施設を必要としているのはインドネシアで、宿泊施設の経営者たちではない。

 他に改善すべき点は、メッカ巡礼費(BPIH)の資金運営であると、アデ氏もサイード氏も述べている。アデ氏は、メッカ巡礼費の積立銀行(BPS)を2-3行に絞り、他の銀行がそれを支援する形にするよう提案している。つまり、メッカ巡礼費積立金銀行に指名された銀行が一行あれば、その銀行が中央銀行となることだとアデ氏は言う。

 中央銀行がメッカ巡礼預金の名で商品を売り出し、その商品をメッカ巡礼統合コンピューター・システム(Siskohat)によって連携している全銀行が提供する。顧客がメッカ巡礼貯金の口座を開くと、その資金はSiskohatを通じて中央銀行に入金され記帳される。「顧客はどの銀行からでも資金の預金や積み立てをすることができるが、その資金は常に中央銀行一行に入る。」と説明する。この戦略により、メッカ巡礼資金の運営は上手くいくとアデ氏は付け加えた。

 この信者の資金運営に関して、サイード氏は次のように説明した。政府と国民協議会は、メッカ巡礼の財政を運営する信徒サービス組織(BLU)をすでに結成している。この組織は、投資組織、社会組織、教育組織としての三つの役割を持っている。

 BLUには9人の専門的な経営者が在籍している。5人は国民協議会が適性試験によって選んだ民間の経営者で、4人は政府の代表である。「この組織があることで、信者の資金が、信者の利益のために正しく十分に運営され、個々人の利害のためでなくなるよう期待している」

注1)メッカ巡礼: 原語はHaji(ハジ)。イスラームの聖地メッカを巡礼することは信仰告白、礼拝、喜捨、断食と共にイスラーム教徒の信仰の五つの柱の一つとされている。イスラーム教徒は信仰の証として一生に少なくとも一度はメッカ巡礼の旅に出たいと考えている。インドネシアではこのメッカ巡礼を済ませた信者はハジと呼ばれている。
注2)マスジディル・ハラーム: メッカのカーバ聖殿を囲んで建てられている礼拝所。この礼拝所での礼拝が一番価値が高いとされている。



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0708031hy)

原題:Batas Waktu Perbaikan Penyelenggaraan Haji
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=302363&kat_id=301



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