2007年6月8日(金)

喜捨による廃品回収人の自立援助

 廃品回収人になることを夢見る人はいない。しかし、生計をたてるためにこの職業につかざるを得ない人もいる。この職業は、ハラル(注1)な手段で収入を得るものであり、貴いものである。

 この職業は家族の中で、次の世代に受け継がれることが珍しくない。父親が廃品回収人になれば、その子供は家計を助けるために、学校をやめて同じ仕事に就かざるを得なくなるのだ。

 このような廃品回収人を支援するために、東カリマンタン州ボンタン市にあるLNGバダク社のイスラーム教徒財団慈善協会(以下、略称LAZ Yaumil)は、廃品回収人のための経済向上プログラムを発足させた。廃品回収人の一家が経済的な力をつけ、自立することを目的としている。

 LNGバタク社のLAZ Yaumil 経済活性化部門長であるワジラン氏は、廃品回収人のための経済向上プログラムを実施するのには、いくつかの理由があると述べている。その一つは、彼らが喜捨(注2)の受給対象者に入っていることである。その他に、彼らが貧しくても働いて生活を向上させたいという意欲を持ち続けていることがあげられる。「彼らは働きたいと望んでおり、また喜捨を与えられるべき受給対象者だ」と6月1日(金)レプブリカ紙に語った。

 また、同氏は次のように語った。LAZ Yaumil は対象者グループに対し、活性化プログラムを通じて4千万ルピア(約57万円)の資金援助をした。このグループは21人の廃品回収人で構成され、この資金は、ダンボール紙圧搾機と5台の荷車を買うのに利用された。

 ワジラン氏によると、20人の廃品回収人が段ボールやプラスチックなどの廃品を集める仕事をしている。こうした廃品は、収集を担当する1人の廃品回収人のもとに集められる。この廃品はその後いくつかの工場に売られ、その売上金は廃品回収人の間で、家計を支えるために分配される。

 そのほか、LAZ Yaumil は宗教的な啓蒙活動も定期的に行っている。この経済向上プログラムが、廃品回収人たちの経済的な助けになるだけでなく、彼らの信仰を深めることにも寄与することを目的としている。

 同氏はまた、ここ数年LAZ Yaumil の喜捨募金が急速に伸びてきている、と述べた。その指標として、2005年のLAZ Yaumil 喜捨募金が22億ルピア(約3千1百万円)だったのに対し、昨年末までの総額は27億ルピア(約3千8百万円)に達し、22.73%の上昇を示した。

 今年3月末までに集められた喜捨資金は、約4億ルピア(約570万円)を記録した。一方、LNGバダク社の従業員1,500人のうち、502人がLAZ Yaumil へ常時喜捨をしている。

 LNGバダク社のLAZ Yaumil は、2002年9月11日に設立された。このLAZの創立はLNGバダク社の従業員がイスラーム布教組織(BDI)を1980年に設立したことに起因する。この組織は布教活動を支援し、イスラーム教従業員の信仰の質を高める意図で結成された。このLNGバダク社のBDI が2001年に東カリマンタン州ボンタン市市長の決定書に基づいて、LNG バダク社イスラーム教徒財団(Yaumil)となった。

注1) ハラル: イスラーム教によって許容されている行為、摂取物
注2) 喜捨: イスラーム教徒に財産に応じて課される税。宗教的義務行為の一つで、困窮者の救済等に用いられる



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0706081hy)

原題:Membantu Pemulung Mandiri dengan Zakat
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=295932&kat_id=256



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