2007年5月25日(金)

サラフィヤ・イスラーム寄宿塾にも学校認可を

 イスラーム寄宿塾は、インドネシアで最も古い教育機関のひとつで、すでに500年以上前に設立され、インドネシア諸島全域に広がった。西洋人が来る前はこのイスラーム教育機関が、宗教指導者、教師、神秘主義者たちが伝道を行う重要な場であった。

 イスラーム塾はその成長過程において、イスラーム教に関する学問のみを教える伝統的なイスラーム寄宿塾(サラフィヤ・イスラーム寄宿塾)と近代的なイスラーム寄宿塾の二つに分離した。近代的なイスラーム寄宿塾とは、イスラーム教に関する学問だけでなく、一般的な学問も教え、マドゥラサ(注1)の形態をとりながら進歩的に発展してきたものである。

 近代的なイスラーム寄宿塾とは異なり、伝統的なイスラーム寄宿塾は、かなり遅れている感がある。ラビタ・マアヒド・イスラミヤ(ナフダトゥル・ウラマ傘下のイスラーム寄宿塾、略称RMI )の副学長アブドゥル・アディム氏の言葉を借りると、イスラーム寄宿塾はこれまでずっと周縁化されていた。

 周縁化とは何を意味するか? 「イスラーム寄宿塾は、まだ学校として認められておらず、卒業証書も出せず、また他の支援も受けられなかった」とアディム氏は説明する。5月18日(金)から21日(月)にかけてポンドック・グデのメッカ巡礼者宿泊施設で開催されたRMI の全国規模の会合で、この問題は何百人もの宗教指導者たちからも提起された。

 伝統的なイスラーム寄宿塾の卒業生も、一般の学校の卒業生と同じように単位認定を受けられることが理想だとし、それはイスラーム寄宿塾の卒業生がどこでも勉強を続けられることに通じる、とアディム氏は語った。

 しかし、それはカリキュラムを変える必要がないという条件付きだとし、同氏はこう続けた。「もしカリキュラムを変更し、一般高等学校のカリキュラムに従うことが求められるのであれば、イスラーム寄宿塾の多くはマドゥラサの学校を持っていないので、単位認定を求める必要はない」RMI にはおよそ12,000のイスラーム寄宿塾が加盟しているが、基準を満たし政府に単位認定を受けている塾は半数に満たない。

 予算は増え続けている
 単位認定に関する政府の対応は、RMI の同会合に出席した協同組合・中小企業省大臣スルヤダルマ・アリが鍵を握っている。同省には数は少ないものの、イスラーム寄宿塾の寄宿生とイスラーム寄宿塾周辺の住民をターゲットにした、イスラーム寄宿塾社会経済活性化プログラムがあるとアリ氏は語った。

 このプログラムにはかなりの予算がついており、今年はすでに400億ルピア(約5億7千万円)の資金が動いている。190のイスラーム寄宿塾協同組合がこの援助を受けており、今年度の総額は、最終的にこの倍になる見込みである。「2008年には予算を1,000億ルピア(約14億円)にまで引き上げたい。イスラーム寄宿塾に対する政府の関心は高まり続けている」とアリ氏は述べた。

 宗教省の教育およびイスラーム寄宿塾担当役員アミン・ハエダリ氏も、イスラーム寄宿塾に対する政府予算は年々増えており、以前は年間1,000億ルピア(約14億円)以下であったが、現在は2,000億ルピア(約28億円)以上になっていると語る。

 さらに、政府から承認されたイスラーム寄宿塾の数はすでに45を越えており、これらのイスラーム寄宿塾は、マドゥラサの高等学校や一般の高等学校と同程度のレベルだと述べている。これらのイスラーム寄宿塾は、組織とカリキュラムと教師がしっかりと整っており、授業時間割が決められて、例えば6年間という定められた教育期間と独自の授業計画を持っている。「つまり、就学期間がはっきりと決まっている。2ヵ月通学し、6ヵ月休み、また通学を始めるような就学方法ではない。仮にこのようなイスラーム寄宿塾であれば、一般の高校と同程度と見なすのは難しい」とアミン氏は付け加えた。

 イスラーム寄宿塾を、一般の学校と同程度だと評価するためには、寄宿生に対する試験や成績評価システムが確立され、はっきりとした入学システムが必要となる。組織として未熟なイスラーム寄宿塾は、評価の対象にならないとアミン氏は述べた。

 ナフダトゥル・ウラマ幹部の一人であるサイード・アギル・シラジ博士は、12,000以上あるイスラーム寄宿塾をまとめるのは難しく、一つのまとまりとしてカリキュラムの統一をし、一体的な運営を行うのは非常に難しいことを認める。「背景は確かに同じだが、イスラーム寄宿塾をまとめて運営するのは、全インドネシアどころか東ジャワひとつですら難しい。それは、それぞれの塾が地域社会に対して非常に強い権威を持っており、自立性もとても高いためだ」と同氏は語る。

 しかし、「優秀」で他の近代的なイスラーム寄宿塾と競争できるようなイスラーム寄宿塾が存在しないわけではない。彼はシドギリ、クラプヤックをはじめとする多くのイスラーム塾の名を挙げた。「専門家精神を発揮した経営をすれば、イスラーム寄宿塾が進歩するのは難しいことではない」とRMI 理事長のハジ・マフムッド・アリ・ザインは語っている。

注1) マドゥラサ: 宗教省所管のイスラーム教系の学校。小学校、中学校、高等学校がある。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:so0705251hy)

原題:Pesantren Salafiyah Butuh Pengakuan
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=294378&kat_id=147



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