2007年5月18日(金)

政府はイスラーム寄宿塾に配慮不足

 イスラーム寄宿塾300校の代表約500人とナフタドゥル・ウラマ(注1)・全国イスラーム寄宿塾協会の地方役員32人は、ポンドック・グデのメッカ巡礼者宿泊施設を会場に、全国規模の会合を実施する予定である。5月18日(金)から21日(月)の間開催される本会合では、イスラーム寄宿塾に対する政府の配慮が不足しているという現状におけるイスラーム寄宿塾の将来が議題となる。

 「イスラーム寄宿塾は政府の評価を十分に得ていない。宗教学分野でも十分なレベルに達しているのだが、イスラーム寄宿塾の卒業生は、単位承認を受けられない」と同協会副理事で本会合の実行委員長でもあるアブドゥル・アディム氏は、ジャカルタのクラマットにあるナフダトゥル・ウラマ理事会の本部で、5月16日(水)に語った。ナフダトゥル・ウラマの援助を受けている同協会には、全国14,000校のイスラーム寄宿塾が加盟しており、それぞれ500人以上の生徒がいる。

 イスラーム寄宿塾には通常、一般教育プログラムと宗教教育プログラムがある。一般教育の科目には、既に正式な学校教育の単位として認められたり、同等の位置づけを持つものあるが、宗教教育ではまだ単位承認がなされていないものが数多くある。アブドゥル氏によると、同協会会員の中で、政府が宗教教育を単位承認しているイスラーム寄宿塾は、わずか2校である。それは、パスルナン市のシドギリ塾とクディリ市のリルボヨ塾である。その他、ゴントル塾も承認を受けているが、同塾はナフタドゥル・ウラマにもムハマディヤ(注2)にも、どちらとも結びついていない。

 宗教教育が単位承認を受けていないため、イスラーム寄宿塾の卒業生は国立イスラーム大学のような宗教大学や、他の公的な学校に進学することができない。そのため、多くのイスラーム寄宿塾は入学希望者に対し、ここでは宗教学を身につけることができるが、卒業後に公的な教育を受けるための進学ができないことを、以前から繰り返し警告してきた。

 同協会理事長のキアイ・ハジ・マフムッド・アリ・ザイン師は、宗教と信仰の教育に関する政府法令案を提出するよう要請した。「イスラーム寄宿塾の教育は、既に国家教育制度の法律に組み込まれている。宗教と信仰の教育に関する政府案を直ちに提出しなければならない」とシドギリ・イスラーム寄宿塾の指導者でもある同師は語った。

 本会合は本日、西部インドネシア時間(注3)10時に、宗教大臣マフトゥー・バシュニ氏と、ナフダトゥル・ウラマ理事会総裁のキアイ・ハジ・ハシム・ムザディ師が開会する予定である。来週火曜日には、大統領官邸でユドヨノ大統領が出席者を迎える。今回の会合のテーマは、グローバルな時代のなかで自立と専門家意識を目指し、イスラーム寄宿塾の評価を取り戻し、そして揺るぎないものにすることである。

 インドネシア統一内閣の大臣数人が、本会合で発言者となり、イスラーム寄宿塾との協力覚書に署名する。その中には、国有事業体担当国務大臣のソフィアン・ジャリル氏、国民福祉部門調整大臣のアブリザル・バクリー氏、協同組合中小企業大臣のスルヤダルマ・アリ氏、宗教大臣のマフトゥー・バシュニ氏、発展途上地域開発大臣のルクマン・エディ氏、農業大臣のアントン・アプリヤントノ氏、国民住宅担当国務大臣のユスフ・アシャリ氏、教育大臣のバンバン・スディビョ氏、通信情報大臣のムハンマド・ヌー氏が含まれている。

注1) ナフタドゥル・ウラマ: 伝統主義的イスラーム組織
注2) ムハマディヤ: 改革派イスラーム団体
注3) 西部インドネシア時間: インドネシア時間は、西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:so0705181kk)

原題:Pemerintah Kurang Memperhatikan Pesantren
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=293487&kat_id=6



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