インドネシア語新聞翻訳
2010年9月9日(木)
【レプブリカ紙】


ユドヨノ大統領:首都を分離

【ジャカルタ】
 最近ますますひどくなっている首都ジャカルタの交通渋滞には、ユドヨノ大統領も無関心ではいられない。大統領はこの問題を解消するために、もはや一時的な解決ではなく、戦略的な計画に基づく大胆な解決策を強く求めている。

 8日(水)夜の演説で、ユドヨノ大統領はジャカルタの渋滞解消のための三つの選択肢を提案した。一つ目は、ジャカルタを現在のまま首都、行政と商業の中心であるとしておくことだ。それには、生産性を阻害している渋滞問題を解消するための施策が必要だ。「1千万人以上の人口を抱えているジャカルタで、これは易しいことではなく、やらねばならないことが非常に多くある」と大統領は述べた。

 二つ目は、新しい首都を建設することだ。これはインドネシアに全く新しい首都として、すなわち政府全体の中心となる都市として、他の都市を選ばねばならないことを意味する。「そうなればもうひとつのジャカルタということになる」と大統領は述べた。

 三つ目は、首都と行政の中心を切り離すことだ。この方法はマレーシア、ブラジル、オランダなどいくつかの国ですでに行われている。そうすれば〔行政と首都が〕切り離され、お互いに煩わすことがない。この選択肢を取るべく、ユドヨノ大統領は同案の検討を進めている。

 彼は、この第三案が合意された場合には、行政の中心となる都市はインドネシアらしさを反映するよう、しっかりと立案されることを望んでいる。ユドヨノ大統領は、首都と行政の中心の分離を実現するには12年かかると計算している。仮に今日決定されたとしても、その建設に5年から6年かかり、移転に2−3年かかる。「従って、およそ10年から12年の間に行政の中心が正常に機能するようになる」と彼は期待している。

 大統領は、行政の中心は地理的なことだけを意味するのではないと説明した。このジャカルタが抱える問題を解決するための単なる場当たり的なものでなく、あらゆることを考慮し、戦略的に決定すべきだ。そのため必要とされるのは、合意と〔当事者が〕共同して責任を持つことだ。「これはあまり長い時間をかけずに決定を下すべきだ」と語った。

 首都の交通渋滞についての談話の他にユドヨノ大統領は、他の7つの案件についても発表した。すなわち国軍司令官の交代、〔後述する〕アジ・スラジ大佐の問題、警察本部長官および最高検察庁長官の交代の計画、国家警察委員会と検察庁委員会の強化などに関する4件、それに、すでに大統領が国会に提案している汚職撲滅委員会の委員長選出、基本物資の価格安定、シナブン山の噴火災害および地震やそれに類する災害が起こった場合への備えの3件だ。

上司への批判はない
 国軍司令官、警察庁長官、最高検察庁長官の交代に関して政治論争が起きないよう大統領は要請した。そして大統領は声を強めてアジ・スラジ大佐の問題をコメントした。この空軍の中級将校は、9月6日、ある全国紙に汚職撲滅に関するユドヨノ大統領の勇気を疑問視する意見を書いて国民の関心を集めた。

 ユドヨノ大統領によると、同大佐には法的および規律上の問題があるという。「国の機関であっても関連機関であっても、国家のために働く者は、その上司が誰であれ、上司を批判する余地はない」と大統領は述べた。大統領はこの問題を空軍参謀総長と防衛大臣に全面的に任せた。「私が深く関わる必要はない」と彼は述べた。

 ユドヨノ大統領は、彼に対する批判は倫理コードに反していると考えている。その上、このようなことは国軍の法律および兵士の誓いにも規定されている。以前国軍は実際の政治に関与する資格を持っていた(訳注1)が、民主主義と改革の進展によって機能の変化が起きた、と大統領は述べた。そして、文官当局が軍をコントロールするのであって、その逆ではないということを国軍の規則は明確にすべきだ、と注意を喚起した。その意味は、軍は国民に選ばれた文官の指導者に対して従うということだ。

 同様のケースが米国の陸軍大将にも起きたことがあった。当時、スタンレー・マクリスタルは、アフガニスタンにおける米国およびNATOの軍の司令官として、アフガニスタン戦争に関してオバマ大統領を批判した。そこでオバマ大統領はこの大将を解任した。

 「彼の言い方は穏やかだった。しかし文官と武官の関係を損なうものと見なされたのだ」とユドヨノ大統領は語った。それを鏡として、ユドヨノ大統領は、アジ大佐が取った行為は民主主義を反映していないと考えた。「これはインドネシアに限ったことではない」と彼は述べた。

訳注1) インドネシア国軍は、スハルト体制下では軍事力の保持・行使とともに、政治・経済・社会への関与が認められていた(二重機能原則)。しかしスハルト体制が崩壊した現在、後者の権限は縮小されている。

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:po1009091hy)

原題:Faktor Psikologis Hambat Ketegasan RI terhadap Malaysia
http://www.mediaindonesia.com/read/2010/08/29/165427/15/1/-Faktor-Psikologis-Hambat-Ketegasan-RI-terhadap-Malaysia-


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