インドネシア語新聞翻訳
2010年8月18日(水)
【レプブリカ紙】


〔来年度予算の〕演説は希望を与えなかった

【報告者:アンドゥリ・サウバニ
     :パルピ・アンニサ・アウリアニ】

 8月16日(月)ユドヨノ大統領が国会で行った財政覚書および2011年度国家予算案に関する恒例の演説に対して、さまざまな意見が出された。結構良かったと評価する者もいたが、よりよい生活に対する期待を人々に抱かせるには至らなかったと評価する者もいた。

 「これは恒例の演説であり、成功話が多く、残念ながら社会の現実的諸問題と取り組むに当たっての現状突破的な政策は見られなかった」と17日(火)インドネシア大学のコミュニケーション学イブヌ・ハマド教授は語った。

 同教授は、大統領の演説というものは様々な問題を取り上げ、それらを簡潔にまとめたものだと説明した。従って、演説に取り上げる問題の選択が重要だ。ユドヨノ大統領はこの様々な問題を取り上げるに当たって、その中に人々の期待に答えるためのリーダーシップの問題を入れたくなかったようだ、と同教授は見ている。

 「何が国民の問題であるか、この国民をどこへ導こうとしているのか。そして問題を解決するためのリーダーシップなどに関する説明が見られなかった。ありふれた演説になっている」と彼は語った。

 ボゴール農科大学の経済評論家イマン・スゲマ氏は、60分以上に及んだ大統領の経済演説は平板な印象を受けたと付け加えた。「焦点が見られなかった」と同氏は語った。大統領の演説は人々に明るい未来を描いて見せなくてはならないので、この点を彼は残念に思っている。少なくとも、1年後には今よりも生活がよくなるとの希望を人々に抱かさねばならない。

 確かにユドヨノ大統領はインフラなどの開発、実体経済部門と財政の活発化、官僚組織の改革、貧困率と失業率の低下などの優先政策に触れていた。しかし、問題は優先課題間にバランスが見られないことだと、同氏は語った。

 「結果として、この演説はあちらこちらからの『切り貼り』で、互いの関連性がない」と彼は語った。

 ユドヨノ大統領は、16日(月)国会および地方代表議員議会において、2011年国家予算および財政覚書に関する政府説明を詳細に行った。大統領は基礎的物資の値段およびルピアの交換価値の問題を強調して演説を行った。大統領は、国内のインフレの進行は警戒しなければならず、政府は市場操作を行って、物資の供給と入手可能性が充分であるように気を配り、地方の在庫の安全を確保し、物資が円滑に流通するように見守る、と述べた。

 闘争民主党党首メガワティ・スカルノプトリ氏は、大統領の演説を、最近のインドネシアとマレーシアのもめごと(訳注1)、LPG爆発の多発(訳注2)、政治改革など「触れられていない問題が多くある」と批判した。

 開発統一党会派の政治家ロマフルムジ氏は、ユドヨノの演説を7点と評価した。福祉正義党の国会議員アンディ・ラフマド氏は、〔6.3%という〕成長率目標は安全を見た数字であると意見を述べている。資本市場と投資は挽回を見せており、もし、コントロールができるならば、経済成長率は 7.7%に達することができる、と彼は語った。一方、国会議長マルズキ・アリー氏は、パプア州、西パプア州、マルク州、ゴロンタロ州、および東ヌサトゥンガラ州の貧困は代々のものになっていると考えている。彼は、政府がこの貧困問題を〔これら各州の個別問題としてでなく、インドネシア全体の問題として〕包括的なプログラムと活動で取り組むことを要請している。

大統領演説で説明しなかった点:
- ハイコスト経済がまだ起きている
- 実体経済部門への銀行業の関与がまだ順調ではない
- 3kg から 12kgの LPG爆発が多発
- 基礎的物資の価格が上昇を続けている
- 授業料など教育にかかる費用がまだ高い
- 貧困と失業を減少させるための解決策
- 石油燃料とガスの助成金解決策
- ジャカルタ首都特別地区の交通混雑の解決策
- インドネシア電力(株)の危機解決策
- 2011年の電気基本料金の再値上げ
- 1万メガワットの電力プロジェクトの行き詰まり
- インドネシア―マレーシアのもめごと

大統領演説のいくつかの核心:
- ルピアの為替レートを対米ドル9300ルピアに
- 経済成長率 6.3% を達成
- 税収目標839兆5000億ルピア
- 資本歳出予算121兆7000億ルピア
- 貧困住民の数を[国民全体の]11.5 - 12.5% に落とす
- 国家公務員/国軍/警察の基本給を平均10%引き上げ
- 教師の所得引き上げ
- 助成金予算を 184兆8000億ルピアへ
- 官僚改革予算1兆4000億ルピア
- 国内負債の金利 80兆4000億ルピア、および国外負債の金利36兆ルピアの支払い
- 負債比率を約 26% に下げる
- パプア州に特別自治基金として3兆1000億ルピアを供与
- 西パプア州に1兆3000億ルピア、アチェ州に4兆4000億ルピアを供与

【典拠:2011年国家予算案および財政覚書】


訳注
1) インドネシアとマレーシア間のもめごと: 最近インドネシアとマレーシアの間には、インドネシア人がテロ容疑でマレーシア国内で逮捕、マレーシアでメイドとして働いているインドネシア人の待遇問題、領海侵犯の疑いでマレーシアに逮捕された海洋・水産省役人に対する暴行容疑などさまざまな問題が起きている。
2) LPG爆発の頻発: 最近インドネシア各地でLPG(液化ガス)の爆発が多発しており多くの死者・負傷者を出している。政府による原因究明と対策が急がれている。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:po1008181hy)

原題:Pidato tak Beri Harapan
http://koran.republika.co.id/koran/14/117408/Pidato_tak_Beri_Harapan


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