インドネシア語新聞翻訳
2009年10月31日(土)
【デディック紙】


インドネシア国軍〔の不在〕とイスラームがインドネシアの民主化を後押し

【ブカレスト】
 イスラーム教徒が大多数を占めるインドネシアでは、イスラームと民主主義は共に歩んできたことが明らかとなった。インドネシア国軍は事実上政治活動をしないという決定も、インドネシアの民主化を促す要因となった。

 ルーマニアのクルージュ・ナポカ市にある、バベシュ・ボーヤイ大学の講演会において、在チェコ共和国インドネシア大使であるサリム・サイド教授はそのように述べ、金曜日(2009年10月30日)に情報・社会文化担当第3秘書、アイルランガ氏が本紙に対してその由を伝えた。

 水曜日(10月28日)に行なわれ、大学院生50名が参加したその講演会においてサイド教授は、インドネシア国軍が事実上、政治の舞台から退く姿勢を見せたことが、インドネシアでの民主化プロセスを急速に進行させたと説明した。

 一方、〔インドネシア社会の〕主流ではない一部の集団には、急進主義やテロリズムなどいまだ直面せざるを得ない問題はあるものの、インドネシアのイスラームも民主主義と共に歩んできたことが裏付けられた。

 同教授はさらに、女性イスラーム教徒でセリオサ(訳注1)・ソプラノ歌手であるアニン・カタムシを例に挙げた。彼女は一貫してジルバッブ(訳注2)を装い、何の問題もなくヨーロッパ・クラシック芸術に打ち込んでいる。アニンはプラハの大使館〔主催〕コンサート・シリーズに招待され、出演したばかりだ(10月22日)。

 さらに同教授は、インドネシア国内での民主化実現における課題は、国民の福祉と治安の向上であることも改めて強調した。

 一方、〔国家の〕分裂の危機について同教授は、その分裂は政治・文化的な要因に強く左右されており、インドネシアは過剰に憂慮することはないと述べた。

 インドネシアには実際に民主主義の慣習がないことや、ここ数十年間に政治的状況の浮き沈みを経験していることを考慮に入れると、インドネシアが民主主義国家となるまでの変遷は、研究するのに興味深い事実だといわれている。

 ブカレストのインドネシア共和国大使館政治担当参事官であるエディ・ムルヤ氏が企画し、バベシュ・ボーヤイ大学の政治・行政・コミュニケーション学部講師であるマールトン・バロッグ博士がその講演会を開催した。

 その講演会には、大学生の他に大学の研究者たちや、ルーマニア国際研究学会会長で、ニューヨーク国連本部および在ストラスブール欧州審議会でルーマニア大使も務めた、ニコラエ・ミク氏も出席していた。

【es/es記者】


訳注
1) セリオサ: クロンチョンなどの大衆音楽に対して、西洋歌曲のスタイルを踏襲したセミクラシックの歌曲
2) ジルバッブ: 女性のイスラーム教徒が、人目に触れてはならないとされる頭髪や首、耳を覆うためにかぶるヴェール


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:po0910315kk)

原題:TNI dan Islam Menopang Demokratisasi Indonesia
http://www.detiknews.com/read/2009/10/31/021034/1232207/10/tni-dan-islam-menopang-demokratisasi-indonesia



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