インドネシア語新聞翻訳
2009年10月2日(金)
【レプブリカ紙】


女性議員、いいじゃない?

 2009-2014年を任期とするインドネシア共和国国民議会議員が今週正式に任命される。また2009年総選挙の結果により、州そして県・市レベルでの地方議会議員はすでに任命されている。その国民の票を代表する議員の中には女性議員もいる。しかも法律では議員割当の30%が女性であることを条件としている。

 それでは議会における女性の進出を、イスラームはどのように見ているのだろうか? 女性は男性同様に責任感がある人間だ。彼女たちはアッラーに対して宗教的義務を行ない、イスラーム教を確立することが要求される。女性も男性と同じく神の全指示を遂行し、神が禁ずるものを回避し、神が定める限界を順守し、他の人々〔非イスラーム教徒も含む〕にイスラームを伝え、そして善を行ない、悪は回避するように指示することが要求される。

 その中でのアッラーの神と預言者ムハンマドの言葉の全ては、男性を特別扱いするという特定の立論がない限り、女性も含んでいる。預言者ムハンマドの時代には女性は重要な役割を果たしており、預言者ムハンマドを肯定し支持することを最初に宣言したのは、女性つまりハディジャー(訳注1)だ。さらに最初の殉教者は女性、つまりアマル(訳注2)の母であるスマッヤーだ。

 著名な宗教学者であるユスフ・アル・カラダウィ師は「現代のファトワ(訳注3)」という書物の中で、あることを決定するには結論を導くための有効な立論がなければならないと述べている。

 アル・カラダウィ師は次のようにも述べている。現在世俗人は女性問題を商売とし(女性問題をとりあげ)、実際には容認されていない状況についてもイスラームと関連付けようとしている。

 同師によれば、例えばここ数10年間に行なわれてきた慣習や現代過激派のいくつかの見解から、イスラームは女性の社会的価値を落とし、その能力や天性に関心を持たないように見られているという。

 同師によれば、女性議員の存在をいまだにハラム(訳注4)や罪と見なしている人々がいるという。しかし明確な立論がない限り、どんなものでもハラムとすることはできない。一方、その世俗的な全行動は、ハラムであることを示す立論がなければ〔そのような行動を取ったとしても〕罪にも報いにもならない。

 同師は女性イスラーム教徒は議員になってもよいという見解だ。同師によれば、その条件は他の男性と際限なく自由には交流しないことだという。また女性議員は、夫や子供その他の環境も軽視してはいけない。

 女性議員であるということは、服装、所作、活動そして言動における礼節をわきまえるべきだということを意味する。同師によれば、女性議員はイスラーム法の要求に見合うように常に礼儀作法を守るべきだ。そのことは誰に対してもためらわず、敵対しないことだという。

 同師によれば、議会やキャンパスなどの家庭以外で活動する際にも、女性はその礼節を守るべきだという。またイスラームの礼節を守る諸国は、女性議員に特別な列もしくはコーナーなどの特定の座席を与えることが要求されるという。そうすることで彼女たちは憂慮される中傷から逃れ、落ち着いて任務を果たすことができる。
【c81記者】

女性議員の条件

ナフダトゥル・ウラマ(訳注5)
 1957年3月19日にスラバヤでのナフダトゥル・ウラマ諮問会議で同意がなされたファトワの中で、ナフダトゥル・ウラマが女性議員になることを許可する条件は以下のとおりだ。

 *自分自身の貞節を守れること
 *専門的知識があること
 *隠すべき体の部分を覆うこと
 *許可を与える権利者から許可を得ていること
 *中傷される心配がないこと
 *イスラーム法で違反とされる原因にならないこと

 上記の諸条件を守らなければハラムとなる。そして諮問会議には、ナフダトゥル・ウラマ諮問理事会の施策や同意に基づき、女性が議員であることを無効にする権利がある。

ムハマディア(訳注6)
 1972年に中部ジャワ州ペカロンガン県パンチョンガンで開催された第17回ムハマディア会議で「世界の事象に関するほぼ全てのイスラーム教義は、政治的でイデオロギー的な要素を含む」ことが決定された。

 ムハマディアは女性が議員になることを認める。女性が十分な代表数に達するために〔選挙に〕参戦することを、ムハマディアは後押しする。以下の事項が配慮されるべきだ。

 *全女性イスラーム教徒が政治についての認識を持てるように、全ての状況、特に女性問題に関する状況に向き合える政治的指導者が存在するべきだ。
 *イスラーム女性の次世代の政治的指導者が育成されるべきだ。
 *他の組織と提携する場合に備え、進んで主体となれる人々が配置されるべきだ。

【c81記者】


訳注
1) ハディジャー: 預言者ムハンマドの妻でイスラーム教の最初の信者となり、ムハンマドを支え続けたといわれる
2) アマル: ムハンマドの教友の1人でアマル・イブヌ・ヤシルをフルネームとする。アマルの母スマッヤーはイスラームを擁護するために戦い、メッカの要人アブ・ジャハルによって殺されたとされる。
3) ファトワ: イスラーム法に基づく宗教学者の見解
4) ハラム: イスラーム法によって禁止されている行為、摂取物
5) ナフダトゥル・ウラマ: インドネシアの伝統主義的イスラーム組織
6) ムハマディア: 改革派イスラーム団体


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:po0910021kk)

原題:Perempuan di Parlemen, Mengapa Tidak?
http://www.republika.co.id/koran/52/79230/Perempuan_di_Parlemen_Mengapa_Tidak



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