インドネシア語新聞翻訳
2009年7月22日(水)
【メディア・インドネシア紙】


テロをアセアン共通の敵に

 インドネシアがテロの育つ温床になっている、という苦い事実を正直に表明せざるを得ない。この地域の組織だけでなく、国際的組織にとっての温床にもなっている。

 2009年7月17日に[ジャカルタの]メガ・クニンガンのJW マリオット・ホテルおよびリッツ・カールトンで起きた爆破惨劇は、7人の外国人を含む9人の犠牲者と55人の負傷者を出したが、これはインドネシアが暴力の温床になってきているという事実を、一層裏付けるものだ。

 2000年以降、インドネシアで起きた26回の一連の爆破事件は、直接であろうとなかろうと、国際テロ組織の関与ぬきには考えられない。そのため、警察当局はアジアにジェマ・イスラミアという手先を持っているアル・カイダの関与を疑っている。

 ジェマ・イスラミアは、東南アジアで最大の、そして最も危険なテロ組織になっている。彼らは各国に組織を持っているが、さらに悪いことに、このテロ組織の内部的な軋轢が一層危険な分離組織を生んでいる。

 アル・カイダは、ジェマ・イスラミアの組織を通じて常に西側、特に米国を象徴する大きな世界的反響が期待できる爆破舞台を探している。インドネシアは、そのアメリカを象徴する舞台の一つに入っている。

 ジェマ・イスラミアが東南アジア地区で制約を受けずにメンバーを訓練していることは、明白な事実だ。東南アジアでは、過激分子に対して強い処置がとれない、あるいは積極的にとろうとしない国がいくつかあること、訓練キャンプが保持されていること、そしてアル・カイダの考えに惹かれる人の数が多いことなどが、テロに対する戦いを妨げる要素になっている。

 東南アジアでは、インドネシア、フィリピン、そしてタイがテロリストの活動の温床となっている。彼らは、この3ヶ国が他よりも居心地が良いと感じている。

 メンバーの一部がマレーシアおよびシンガポールで生まれているにもかかわらず、何故ジェマ・イスラミアはこの両国で育たなかったのか? その答えの一つは、この両国には、公共の利害に危険であると疑われた場合には、裁判にかけることなく逮捕できる国内治安法が施行されていることだ。

 インドネシアにもかつて同様の法律があったが(訳注1)、レフォルマシ(訳注2)の後廃止された。同法の廃止とともに、ジェマ・イスラミアの活動家たちがシンガポールやマレーシアからインドネシアに流れ込んできた。ここには、彼らがより自由に活動できる余地があったからだ。

 ところで、彼らはフィリピンのミンダナオ島に格好の砦を獲得している。ミンダナオ島は、南フィリピンのモロと呼ばれるイスラーム教徒がイスラーム国家樹立のために戦っている土地だからだ。彼らはそこで闘士とみなされている。

 それぞれに異なる各国の法体系はさておき、東南アジアのすべての国が団結してより作戦的にテロに立ち向かうべきだ。マレーシアとシンガポールは、テロリストたちがこの両国の強力な国内治安法を恐れてインドネシアに「逃げ出した」からといって、安心できるわけではない。

 われわれは今回、タイのプーケットで行われた東南アジア10ヶ国外相会議を高く評価する。

 彼らは、「ASEANはインドネシア政府および国民と一体となってあらゆる形態のテロに対する戦いを続けていく」との共同声明を出した。

 声明だけでは十分ではない。プーケット会談は、テロに対する行動を起こす上でより具体的であるべきだ。例えば、豊富な資金に裏づけされた共同の情報活動、そして必要な場合にはテロとの戦いで共同作戦をとることなどだ。

訳注
1) 同様の法律: 1963年に破壊活動撲滅法が制定されたが、この法律はスハルト政権崩壊後の1999年に基本的人権を侵害するとして廃止された。
2) レフォルマシ: 民主化に向けての改革運動。この運動によって、開発を旗印に長期にわたり強権的な独裁体制をしいていたスハルト政権が、1998年にアジアを襲った経済危機をきっかけとして崩壊した。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:po0907223hy)

原題:Jadikan Terorisme Musuh Bersama ASEAN
http://anax1a.pressmart.net/mediaindonesia/MI/MI/2009/07/22/ArticleHtmls/22_07_2009_001_009.shtml?Mode=0



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