インドネシア語新聞翻訳
2009年7月18日(土)
【メディア・インドネシア紙】


テロリストの温床

 好むと好まざるとにかかわらず、インドネシアはテロリストの温床だ。広い国土、緩やかな治安警備、そして妥協的精神をもつ貧しい国民は、テロ活動家が育つ条件だ。

 アフガニスタンの「テロリズム学校」が壊滅して以降、その多くのメンバー(生徒の一部はインドネシア人)が温床に戻った。それだけでなく、爆弾の専門家ヌルディン・トップのような隣国マレーシアのテロリストも、居心地が良いということでインドネシアに入ってきた。

 インドネシアがテロリズムの育つ温床であることは、2000年以来の一連の爆破テロ事件からも窺える。この9年間で、26件の爆破事件がインドネシア各地で起きたことが記録されている。

 その最新の事件が、9人の死者と数十人の負傷者を出したJW・マリオット・ホテルとリッツ・カールトンで起きた昨日[7月17日]の2件の爆破だ。これは、マリオット・ホテルにとって14人の犠牲者を出した2003年の爆破に続く2度目の爆破事件だ。

 およそ2週間前、警察はテロ組織が爆弾テロの準備をしていることを察知し、そのメンバーを中部ジャワで逮捕した。その1年前には、パレンバンでひとつの組織が取り押さえられた。

 この一連の事実は、昨日のJW・マリオット・ホテルとリッツ・カールトンの爆破の犯人が何者であるかの分析を行う際の有力な材料だ。一方、他の動機による他の犯人の可能性、例えばユドヨノ大統領が推測しているような大統領選挙に関連した政治的動機については、警察の解明待ちだ。

 それから気になるのは、なぜ警察当局がこれまでヌルディン・トップを逮捕できていないのか、という疑問だ。軍の情報部と警察の情報部は、この件に関してどこまで調整が進んでいるのか? ひょっとすると警察に任せきりになっており、後になって目の前で爆破事件が起きたとき、テロリストに出し抜かれた、と簡単に認めたのではないか?

 もしそれが対テロ特殊部隊88分遣隊のような警察業務の任務になっているなら、国は彼らに作戦行動をするのに期限の無い充分な予算を与えていたのか、ということが疑問になる。もしかすると、この2年間爆破事件が起きなかったので予算が削られていたのではないだろうか? 他の疑問は、なぜ危険な爆弾材料が容易にテロリストの手に入ったのかということだ。テロリストがインドネシアで快適な居場所を得ていたのは、彼らが社会の中の構成員として受け入れられていたからだ。人々は、彼らが危険であるとみなしておらず、そのため当局に連絡していなかった。

 そして、テロリストの活動を大変容易にしていたのは、お粗末な住民登録システムであり、その結果、一人のテロリストが簡単に手に入る住民登録証によってそれぞれの場所で違う名前を使用していたのだ。

 携帯電話利用者の個人確認のいいかげんさも、追跡を難しくしている。そしてこの国には、テロリストにとって居心地の良さを味わえる余地がまだ多く残されている。

 米国を象徴する二つのシンボルであるJW・マリオット・ホテルとリッツ・カールトンで昨日起きた爆破事件は、これがワシントンに対するテロリズムの世界的な戦争だということを人々に印象づけた。しかし、我が国にとって、国内で爆発した爆弾は、爆破の場所に関係なく、我が国に対する信頼性に揺さぶりをかけるものだ。

 それは正確で侮辱的な一撃だ。テロは必ずやって来るが、われわれはそれがいつ、どこになのか確定することはできない。しかし多くの者は、テロは常に陰謀と近いところにある、と信じている。

(翻訳者:山本肇)

(記事ID:po0907183hy)

原題:Kandang Teroris
http://anax1a.pressmart.net/mediaindonesia/MI/MI/2009/07/18/ArticleHtmls/18_07_2009_001_008.shtml?Mode=0



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