インドネシア語新聞翻訳
2008年5月16日(金)


国民信託党と正義福祉党、大統領選挙戦の方式変更を希望

【ジャカルタ】
 国民信託党(PAN)(注1)と福祉正義党(PKS)(注2)は、2009年の大統領選挙戦(注3)の方式を変えたい意向だ。彼らは大統領立候補者が議論を戦わす場を増やすことを提案している。

 大統領選挙法案特別委員会メンバーであるPKS会派のアルムッザル・ユスフ氏は、今度の大統領選の立候補者は、資産家ではなく政治家としての資質を持つべきと語っている。現在のような選挙戦のやりかたでは、資金を豊富に持ってる者の方に勝つチャンスがあると説明している。資金が潤沢ならさまざまなメディアで大々的にキャンペーンを張ることが出来るからだ。

 「しかし、現在のようなキャンペーン広告は、大統領ないし副大統領立候補者の質を全く反映していない」とアルムッザル氏は5月15日(金)ジャカルタで語った。彼によると大統領選挙法案でPKSが提出する案は、立候補者による論戦をさらに増やすことだ。そして、この論戦はインドネシアの人々に広く聞かれるべきで、それによって人々は立候補者の質を知ることになる。

 また、彼は2009年の大統領選で立候補者が公開で議論を交わす場は、国が提供するのが望ましいと提案している。そのひとつが国営のインドネシア共和国テレビ(TVRI)、またはインドネシア共和国ラジオ(RRI)による放送だ。実況放送、あるいは繰り返し放映することでもよい。

 「特定の場所に人々を集めるキャンペーンのやり方は、有権者に正しい判断材料を与えていないことは明らかだ。集まってくる人々の大部分はショーにつられて来ているだけだ。このようなキャンペーンでは何も変わらない。人々は候補者の発するメッセージを聞くことよりも、ダンドゥット音楽(注4)のショーを見ることのほうに夢中だ」とアルムッザル氏は語る。

 PAN会派の秘書ヤシン・カラ氏は、パレードや集会によるキャンペーンのやり方は、確かに効果的でなくなっていると語る。したがって、人々が本当に質の高い候補者を選ぶことができるように新しい方式を模索すべきだ。「国民はハンサムだからという理由だけで候補者を選ぶのではなく、選んだ人が国民の問題を解決できる人物であることを見極める必要がある」

 各立候補者の陣営は、擁する候補者にビジョンや任務を語らせる役割を果たすべきだ。それによってキャンペーンがT-シャツや旗などを配る単なるお祭り騒ぎではなくなる。選挙戦は、有権者に受け入れられるような構想を打ち出すことがベースとなるべきものだ。

 大統領選挙法案特別委員会議長のフェリー・ムルシダン・バルダン氏は、新しい大統領選挙法案では、放送メディアでの論戦を増やす案が出されていると語っている。この方式は、人々に大統領立候補者の人物像をさらに効果的に届けることができる。「論戦は正副大統領立候補者だけでなく、選挙陣営として行うこともできる」とフェリー氏は述べた。

【dwo記者】

注1) 国民信託党(PAN): イスラーム系組織ムハマディアを支持基盤とする政党。1998年設立。
注2) 福祉正義党(PKS): 大学キャンパスでの宣教活動を基盤として生まれたイスラーム系政党。2004年設立。
注3) 大統領選挙: 2004年から正副大統領候補者2名一組に対し、国民の直接投票で選ばれるようになった。大統領の任期は5年間で、再選は一度だけ許される。
注4) ダンドゥット音楽: 1970年代以降に普及した大衆音楽で、特に都市の庶民層に好まれる。伝統楽器と外来楽器を組み合わせて演奏され、独特のリズムにあわせダンスもなされる。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:po0805161hy)

原題:PAN dan PKS ingin Ubah Kampanye Pipres
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=334157&kat_id=43



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ

ISEA TOPへ