インドネシア語新聞翻訳
2008年3月8日(土)


インドネシア・イスラーム教徒知識人協会、2009年の総選挙で役割を果たすべき

【ジャカルタ】
 インドネシア・イスラーム教徒知識人協会(ICMI)(注1)は、2009年の総選挙において優秀な人材を提供し、さらに役割を果たすべきだ。ICMIの候補者が優秀で、国民の生産性を上げることができるのであれば、複数の政党から出ることになっても構わない。

 このメッセージは、ICMIの創設者であるインドネシアの第3代大統領BJハビビ氏が3月5日(水)の夜、彼の家で行われたICMIの懇親会で述べたものだ。この懇親会には国務大臣国家官房長官ハッタ・ラジャサ氏、憲法裁判所長官ジミー・アシディキー氏、地方代表議会副議長イルマン・グスマン氏、そして元国有会社担当国務大臣スギハルト氏など、かつて政権内にいた、あるいは現在政権内にいる人たちが出席していた。

 ハビビ元大統領によると、知識人、とりわけイスラーム教徒の知識人は、インドネシアの歴史の節目ごとに常に重要な役割を演じてきた。1825年から1830年のディポネゴロ王子の戦争(注2)に始まり、1905年のイスラーム同盟(注3)の設立、そして1908年の民族覚醒(注4)に至る。

 ハビビ元大統領は、民族覚醒の歴史において、イスラーム教徒を切り離して考えてはならない、むしろその背景にイスラーム教徒知識人の大きな役割があったことを、前面に押し出すべきだと訴えた。つまり、信仰に基づいた優れた教育を受け、そのうえ科学と技術の進歩をも理解した知識人たちのことだ。

 この2時間にわたる長い説明の中で、設立から今日に至るまでの10年間、ICMIの戦略的機能の一つは、インドネシアのために知識人層の人材を提供することだったと総括した。ハビビ元大統領によれば、人材の問題はインドネシアが解決すべき最重要課題のひとつだったからだ。

 「ICMIの候補者がA党、B党、あるいはC党に分散しても問題はない。それは技術的なことであって、重要なのは本人が自分自身と他の人の生産性を上げ、その結果として国民の生産性を上げることだ」と、彼独特のスタイルで次々と述べた。

総選挙を成功させる
 ドイツに長い間住んでいた元大統領は、2009年の総選挙の問題についても触れ、社会の全ての層が一体となって総選挙を成功させるべきだと語った。スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領の後継候補者が、必ず政党から出るべきとは考えておらず、政党から独立した候補者の存在を期待している。「できれば2009年の大統領候補者は、政党と非政党の両方から出るのが望ましい。候補者として出られる人は、他にもたくさんいる」と意見を出した。

 彼はまた、大統領候補者が軍の関係者であっても問題ないとしている。彼にとって軍人は職業であり、テクノクラート(技術官僚)の範疇に入るものだ。軍は戦争に勝利するため、技術を駆使するテクノクラートだ。

 2009年の総選挙で一番重要なことは、国民が民主的にその選択をすることだ、と彼は続けた。今後ますます大きくなる金の政治力について強調し、大統領候補も政党も特定の側からの資金に頼るべきでないと語った。

 そうでなければ、候補者が権力の座についたとき、その支持に応えるために国民の金を吸い上げることになるだろう。「良き指導者は、特定の人々から資金提供を受けてはならない。彼はその投資の見返りについて考えるようになるだろうから。支持するならば、みなで一緒に支持すべきだ」と彼は語った。

 非イスラーム教徒の大統領についても問題としなかった。インドネシアは民主主義国家なので、その指導者の背景に関係なく、国民から直接選ばれたのならば、受け入れられるべきだと述べた。

 「国民に選ばれたのであれば、キリスト教の司教であっても問題ではない。しかし、特定の宗教からの候補者だけを認めるのは良くない、それはあってはならない!」とハビビ元大統領は述べた。

注1) ICMI: 1990年に設立されたイスラーム組織。スハルト元大統領の側近ハビビ研究技術担当大臣(当時)が会長を務め、政治・経済の分野で活躍するイスラーム教徒知識人を集めて結成された。設立はスハルト体制のイスラームへの近接という政策転換を象徴する画期的な出来事だった。
注2) ディポネゴロ王子の戦争: ジョグジャカルタのマタラム王国の王子ディポネゴロがオランダ植民地支配に抵抗して起こした戦争。ジャワ戦争とも言う。
注3) イスラーム同盟: 1911年設立のインドネシア初の大衆的民族運動組織
注4) 民族覚醒の年: インドネシア民族主義の覚醒を告げる最初の民族主義団体ブディ・ウトモが結成された年で、設立日の1908年5月20日は「民族覚醒の日」と定められている。


(翻訳者:山本肇)

(記事ID:po0803081hy)

原題:ICMI Harus Berperan di 2009
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=326166&kat_id=43



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