2007年9月8日(土)

ラマダーン月の開始を決めるのは政府の権限

【ブレベス】
 モハマド・マフトゥー・バシュニ宗教大臣は国民の大部分がイスラーム教徒の国、またはイスラーム国で、月の初日を組織や個人が決めている国はひとつもないと語った。大部分の国ではラマダーン(注1)月の始まりとイドゥル・フィットリ(注2)の日にちの決定は国か政府の権限になっている。

 「例を挙げれば、宗教大臣、ムフティ(注3)、高等法院、あるいは王が決めている」と宗教大臣は9月6日(木)の夜、中部ジャワのブレベスで語った。マフトゥー氏によると、そのおかげでイスラーム教徒の人々はラマダーン月の初日やイスラーム暦(注4)の月の最終日を決める際に悩まずにすんでいる。

 サウディ・アラビア王国とオマーン国の元インドネシア大使だったマフトゥー氏によると、イスラーム教徒の義務は、コーランのアン・ニサー章(婦人章)の第59節の中の神の言葉のように、政府の発表を尊重することだ。この節ではイスラーム教徒は神と預言者に従うとともに政府にも従うものとされている。

 さらに宗教大臣は、イスラーム教徒が小数派である国では事情が異なり、イスラーム暦の月の初日と最終日は、その土地のイスラーム社会の組織に委ねられていると述べた。「インドネシアでは、その権限は政府にある。つまり宗教省と決定会議機関だ」しかし、とマフトゥーは続け、それでもまだ違いの問題は残り、時として不要な論争を起こす。このことは月の初日と最終日を決定するうえで、ナフダトゥル・ウラマ(注5)やムハマディヤ(注6)のような社会的影響力を持っているイスラーム社会団体のカレンダーを使っている人たちにとって問題になっている。

 そのため宗教大臣は、インドネシアのヒサブ(注7)とルクヤト(注8)の専門家グループが、ヒサブとルクヤトの基準を再検討する考えを出していることを歓迎している。このようなことがインドネシアのイスラーム・カレンダーの統一の方法を探る第一歩となる。宗教大臣自身はヒサブ(計算)と月齢のルクヤト(観察)の方法の組み合わせが、ラマダーン月やイスラーム暦の他の月の初日を決める上で調和的であるという意見である。

 そのため、宗教大臣はヒサブとルクヤトで計算システムとデータの取り上げ方が違うことによって起きる相違が、段階的に解消されるのが望ましいと語る。この件については政府、宗教省のヒサブおよびルクヤト部門がこの違いを解消するために、すでにさまざまなイスラーム組織の天文機関、天文学協会、および関連する諸機関と連絡をとりあっている。

 宗教大臣はラマダーン月、イドゥル・フィットリ、イスラーム暦の12月の初日決定で使われているヒサブとルクヤトは一つの自然科学であり、お互いに切っても切れない関係にあると語る。「ヒサブは広い意味で解析的経験的な思考によって獲得された一つの方法、あるいは計算システムだ。一方、ルクヤトは実在するデータに基づいた体系的な観察を意味している。」と語る。宗教大臣によると、ヒサブは突然現れた方法ではなく、長期間のルクヤトから始まっている。ルクヤトはヒサブの結果を支持し、またその逆もある。

 一方、アル・ヒクマーU・イスラーム寄宿塾の指導者マスルリ・アブドゥル・ガニ師は、ヒサブとルクヤトの専門家全国親善大会の出席者たちに対し、この親善の第一の目的は重要な二点を確認すること、つまり断食の開始を決める権利が政府にあることと、われわれの間に違いがあることへの寛容性だ、と注意を促した。


注1) ラマダーン: イスラーム暦の9月 断食月
注2) イドゥル・フィットリ: 断食明けの日、すなわちイスラーム暦10月1日
注3) ムフティ: 法判断者。イスラーム法にのっとって法判断を下しうる資格を持つ学識あるイスラームの指導者
注4) イスラーム暦: ヒジュラ暦とも言う。預言者ムハマンドがメッカからメディナに移住した622年を紀元とする。月の運行を基本とする太陰暦で1年が太陽暦より11日短い。
注5) ナフダトゥル・ウラマ: 伝統主義的イスラーム組織
注6) ムハマディア: 改革派イスラーム団体
注7) ヒサブ: 計算の意味
注8) ルクヤト: 月齢を読むこと
イスラーム法の規定により毎月の開始は新月を見て決めなければならないが、空が曇っていて見えない場合は1ヶ月の日数が29日または30日と定められていることをベースとして計算(ヒサブ)によって決める



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:po0709081hy)

原題:Penetapan Awal Ramadhan Otoritas Negara
http://www.republika.co.id/koran_detail.asp?id=306225&kat_id=6



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