インドネシア語新聞翻訳
2009年10月16日(金)
【レプブリカ紙】


プレートの変動によってキブラの方向がずれる

【スラバヤ】
 地球のプレートの変動に影響されてキブラ(訳注1)の方向が変わる。地球のプレートの位置変動は通常、数年前〔2006年〕のジョグジャカルタあるいはチラチャップ地震のときの中部ジャワ州のように、インドネシアのいくつかの地域で起きる地震のときに見られる。

 この件に関して東ジャワ州のインドネシア・ウラマ評議会(MUI)(訳注2)は、モスクのキブラの方向の証明を行う中部ジャワ州宗教省が正しいとする説を受け入れる用意がある旨、表明した。中部ジャワ州のモスクのキブラの方向は、同州宗教省の情報によれば、プレートのずれによって変わる。

 東ジャワ州のMUI議長、H. アブドゥッソマド・ブホリ学士に問い合わせたところ、同議長は、キブラの方向の確定が天文学に基づいて行われるのである限り、それを再確定することには問題がないと、述べた。

 「中部ジャワ州の場合は、地震があったのでプレートのずれによってキブラの方向が変わっていることがありうる。しかし、東ジャワ州の場合、比較的安全な状態にあって地理的な変化がなかったので、東ジャワ州のMUIではキブラの方向の変化についてまだ態度を決めていない。キブラの方向を決める能力を持った専門家、即ち天文学とイスラーム法学に通じた専門家たちによる慎重な判断が必要だ」と16日(金)に同議長は述べた。

 MUIは東ジャワ州のモスクの方針を決めるに当たり、この証明結果の進展を見ることにしている。「もしキブラの正しい方向が変動しているのであれば、東ジャワのMUIもキブラの方向の変更を行うことになる」と彼は説明した。

 彼はワリ(訳注3)の時代にはキブラの方向は確かに西だったが、やや右の方向にそれていた、と語った。「キブラはイスラーム教徒が一体になってイスラームの教えを確立するために使命を果たし、理念を打ち立てるための記号だ」と彼は述べた。

 情報によれば、中部ジャワ州の宗教省は同州にある各モスクのキブラの方向の証明を行うとのことだ。この証明は特に各県/都市のほとんどにある古いモスクのために行われる。

 古いモスクは、少なくとも各県/都市の王宮前あるいは官庁前の広場にはある。ドゥマク市のアグン・モスク、スマラン市のカウマン・モスクなどなど。現在中部ジャワ州には39,478軒のモスクがあり、3,200万人のイスラーム教徒がいる。一方、東ジャワ地域にはおよそ38,000軒のモスクと10万以上のムサラー(訳注4)がある。

 ブホリ議長によると、宗教省は変化があったと思われる東ジャワ州のモスクのキブラの方向に関する証明書を発行する必要がある。プレートのずれがすでにモスクのキブラの方向に影響しているとの地理専門家の意見が出ているからだ。

 キブラの方向が変わってしまっていても、モスクの建物を取り壊す必要はないと彼は続けた。「方法は、[礼拝する人たちの]整列の方向をずらして変えることだ。モスクの取り壊しは多大な費用が必要なので行わない。そのうえモスクの古い建物は独自の歴史的価値を持っている」と彼は語った。

 現場での連絡調整と実施を容易にするために、各県/都市の宗教省の地方支部は、モスクと礼拝所のキブラの方向に関する調査報告を出すよう要請されている。このキブラの方向は天文学と磁石に基づいて調整される。


訳注
1) キブラ: メッカのカアバ神殿の方向を示すもの。礼拝はメッカの方向に向かってするので、モスクや礼拝所には必ず描かれている。
2) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対して、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織
3) ワリ: 15世紀末から16世紀はじめころにジャワにイスラーム教を伝えた聖者たち。9人いるとされ、通常ワリ・ソンゴ(9聖人)と言われる。
4) ムサラー: 一時的礼拝所


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ot0910161hy)

原題:Arah Kiblat Bergeser Karena Perubahan Lempeng Bumi
http://www.republika.co.id/berita/82866/Arah_Kiblat_Bergeser_Karena_Perubahan_Lempengan_ Bumi



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