インドネシア語新聞翻訳
2009年9月10日(木)
【デティック紙】


以前は堕落を、今は健全〔な生活〕を促す 〔芸能人によるイスラーム教師への転職〕

【ジャカルタ】
 元芸能人のソラヤ・アブドゥッラーさんの変貌ぶりは各界から注目を集めている。以前はセクシーな風貌だった彼女が、ジルバッブ(訳注1)やチャダル(訳注2)で着用するように変貌した。彼女は芸能界を去り、イスラーム教師になって伝道活動に従事する道を選んだ。

 ソラヤさんの変貌ぶりは風貌や活動だけではない。家の中には、テレビ、DVD、ラジオも置かれていない。それらの電気製品は彼女の子供たちムハンマド・セナライ・イクティアルちゃん、シティ・アイシャー・アズ・ザーラちゃんの生活によくないと彼女は考えた。

 「子供たちの良心を育むために、私たちはラジオ、テレビなどは排除しています。私たちの環境には、コーランの聖なる節を読誦するために使用するCDプレイヤーがあるだけです」本紙が受けた電子メールにおいて彼女はそのように述べた。

 現在のような〔伝道師としての〕人生の歩みは、確かにソラヤさんがまだ芸能人だった時の生活とは正反対だ。アッラーの神の恩恵を望み、180度の人生の転換を彼女は受け入れた。

 有名人による精神的な〔人生の〕転換はソラヤさんが初めてではない。〔元〕ロック歌手のハリ・ムクティさん、故人であるギト・ローリーズさん、そしてスティーブ・イマヌエルさんなど数人の有名人も同様のことを行っている。

 かつての2人のロック歌手、ハリ・ムクティさんとギト・ローリーズさんは、芸能界から転向し、伝道師つまりイスラーム教師の道を選んだ。一方、ユスフ・イマンさんと改名したスティーブ・イマヌエルさんはオフィスワークを選んだ。彼は南スラウェシの第1選挙区から、グリンドラ党の3番手の国民議会議員候補として立候補したこともある。

 ハリ・ムクティさんが伝道師としての人生を歩んだことには理由があった。つまり芸能人だった頃に自分がしたことを償うためだ。「芸能人だった頃はしばしば人々に堕落を促しましたが、今は人々が健全になるように促しています」先週ジャカルタのイスラーム集会での任務を終え、彼は本紙に対して述べた。

 「君がいる」が持ち歌の彼は、以前活動していた華やかな芸能生活を今まで恋しいと感じたことはないという。恋しいことなかれ、彼はむしろ現在の芸能界を見るのが怖いという。

 ハリ・ムクティさんは、芸能界は暗い世界だと見なしており、その世界に戻ろうという気持ちが湧いてくることはないという。彼は転落していくのを恐れていた。夫婦間でバッシングし合う内容の有名人のニュース等を見るのはなおさら怖かった。

 ギトさんも同じような理由を述べていた。亡くなる前の2008年2月28日に友人数人に対して、ロック歌手だった時に犯した全ての過ちを償いたいと彼は述べた。

 ロック歌手時代には、彼はモラルに反したことを数多く行っていたが、宗教〔活動〕に取り組み、伝道活動を行なっていくうちに、舞台を引退したいと思うようになったという。

 1995年よりギトさんは人生の精神的な転換を始め、ジャカルタのジャミ・クボン・ジェルック・モスクに本部がある伝道団で活動するようになった。それからも彼は数地域で伝道活動を行なった。非常に疲れていても、彼はその活動を行なうと気持ちが落ち着き、快適だった。それどころか健康状態が悪化していても、なおも熱心に伝道に努めた。

 一方スティーブ・イマヌエルさん、別名ユスフ・イマンさんは、かつては彼を著名にした芸能界については独特の見解を持っている。2008年5月24日以来、ハビブ・リズィク・シハブ(訳注3)の面前でイスラームに改宗した彼は、芸能界はためにならないと考え、もう復帰はしたくないという。

 「芸能界はためになる世界ではありません。朝早く起きてロケに行くだけで、〔世間で〕伝えられるような良い事などないです」とスティーブさんは述べた。

 それが1983年10月17日生まれのスティーブさんが政界に取り組みながら、オフィスで働く道を選んだ理由だ。彼にとって政界は知的水準をはるかに向上させ、狭い視野から抜け出させてくれる。

 しかし宗教活動について聞かれると、アンディ・ソラヤの元同棲相手である彼は説明を避けた。「宗教あるいは精神的なことについては、コメントを控えさせて下さい」と本紙の連絡を受けてスティーブさんは答えた。

 華やかな生活からさらに宗教的な生活に転換した元芸能人は、国内の有名人ばかりではない。様々な国の有名人も同様の軌跡をたどっている。イギリス本島出身の作詞・作曲家だったキャット・スティーブンスさん、別名ユスフ・イスラームさんを例に挙げたい。

 「雨にぬれた朝」の歌で1960年代には人気が高かった1948年7月21日、イギリス、ロンドン生まれのこの男性(訳注4)は、芸能界の舞台で再び活躍することよりも、伝道の世界を選んだ。

 1978年にイスラーム教を信仰したユスフさんは、伝道活動の他、社会活動にも熱心だった。彼は「スモール・カインドネス」や「ムスリム・エイド」などのいくつかの人道的な財団を創立している。

 「悪魔の詩」の作家であるサルマン・ルシュディーに対して、イランの精神的指導者アヤトゥッラー・ホメイニ氏が出したファトワ(訳注5)の支持を、ユスフ・イスラームさんが公然と表明した〔とされた〕時に、彼が行なう伝道活動は非難を受けたことがあった。

 ユスフ・イスラームさんは、現在妻と5人の子供と一緒にロンドンに住んでいる。今もなおエリザベス女王の国で熱心に伝道に努めている。一方芸能界はすっかり引退した。(訳注6)

 宗教的な道に励むユスフさん、ハリ・ムクティさん、ソラヤ・アブドゥッラーさん、そしてスティーブ・イマヌエルさんにとって、現在歩んでいる人生ははるかに落ち着きがあり、有意義なものだという。彼らが芸能人であった時のように華やかでゴージャスではないにしても。
【ddg/iy記者】

訳注
1) ジルバッブ: 女性のイスラーム教徒が、人目に触れてはならないとされる頭髪や首、耳を覆うためにかぶるベール
2) チャダル: 髪や耳を覆い顔全体を露出させるジルバッブとは異なり、チャダルは目以外の頭・顔部を覆うもの。
3) ハビブ・リズィク・シハブ: イスラーム防衛戦線(Front Pembela Islam)の指導者
4) 原文ではこのように書かれているが、「雨にぬれた朝」が発表されたのは1971年である 5) ファトワ: イスラーム法に基づく宗教学者の見解
6) 記事では「引退した」としているが、実際にはユスフ・イスラーム名義で、1978年以降イスラーム色の強いアルバムを発表したことがある


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ot0909105kk)

原題:Dulu Ajak Sesat, Sekarang Ajak Selamat
http://www.detiknews.com/read/2009/09/10/110214/1200537/159/dulu-ajak-sesat-sekarang-ajak-selamat



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