インドネシア語新聞翻訳
2009年8月28日(金)
【メディア・インドネシア紙】


ペチの村での聖なる月の恩恵

 その日の午後、その村で手編みのペチ帽(訳注1)の事業に大成功したオーナー、トゥラディ氏の住居では、3人の女性が手編みのペチ帽を仕上げるのに忙しくしていた。ムルジラーさん(45才)、ヌルジャナーさん(29才)、そしてルスティヤニンシンさん(34才)は、顧客から殺到する注文に追われていた。

 それは3人の女性にとって初めてのことではなかった。ブドゥカン村の村民は、2002年を皮切りに、手編みのペチ帽の手工芸品を知るようになった。当時それを作ることができたのはたったの1人だった。現在その技能は他の村民にも普及し、その村は手編みのペチ帽の村として知られるようになった。

 「その手編みのペチ帽は私のような主婦にも働く機会を与えてくれました。夫の収入の副収入としては、まずまずです」4年前からその作業に取り組んできたヌルジャナーさんはそう述べた。

 アル・フスニ商標の手編みのペチ帽事業のオーナーであるトゥラディ氏は、次のように語った。手編みのペチ帽を発展させるビジネスの展開は、十分に満足すべきものだ。いくつかの製品は、ジャカルタ、ランプン、リアウ、スラウェシ、そして中部ジャワなどの様々な地域でもすでに販売されているからだ。それどころかメッカで販売している顧客さえいる。

 「私が開発したこの手編みのペチ帽は、露天商をはじめ、大きな店舗においても販売されています」と同氏は述べた。

 ブドゥカン村の職人の製品である手編みのペチ帽を、多くの顧客が買う。品質がよくて価格も安いからだ。様々なモデルも売り出されている。トルコ・ペチ、タリバン・ペチ、スカルノ風ペチや、魅力的な様々な色彩のペチ帽までもがある。さらに良い香りを出すアカル・ワギ(訳注2)材から作られたペチ帽もある。希望するモデルにより価格も様々だ。ちなみにコピアー(訳注3)1個あたりの価格は6,000ルピア(約60円)だが、手編みのペチ帽1個あたりの平均価格は10,000-15,000ルピア(約100-150円)だ。

 しかし手編みのペチ帽の価格を数倍に引き上げる顧客となった商人も少なくない。例えばブドゥカン村の職人の所で1個15,000ルピア(約150円)にて購入されたペチ帽が、ジョグジャカルタなどの近隣のいくつかの町では1個20,000ルピア(約200円)で販売されることもある。中部ジャワ地域で販売されると価格はさらに上がる。驚くことなかれ、商店街ではしばしば1個60,000-150,000ルピア(約600-1,500円)で販売されている。

 トゥラディ氏の手編みのペチ帽の材料は素朴で、すぐに手に入るものだ。標準の材料は、糸、透明なプラスティック材、網状の布、小さいチューブ、そして合成繊維だ。

 1人の職人が平均して1日に5個作ることができる。それものんびりと焦らずに作ってだ。真剣に作れば1日に10個作ることも可能だ。

 「現在20人の職人がいて、彼らは2日に1度製品を納入します。材料は全て我々が準備し、職人は1個につき2,000ルピア(約20円)の賃金を受け取ります」とトゥラディ氏は述べた。

 トゥラディ氏をオーナーとする手編みのペチ帽は、今年のラマダーン月も相変わらず注文が多いが、昨年と比較すると減少している。昨年のラマダーン月間には4,000個販売されたが、今年はたったの2,000個と予測される。

 「かつてラマダーン月間の収入は600万ルピア(約6万円)に上りましたが、今年は良くても400万ルピア(約4万円)と予測されます」と同氏は述べた。しかし同氏は事業があまり順調でない中にも、まだ前向きな姿勢を保持している。インドネシアのイスラーム教徒が、今後もさらにそのペチ帽の手工芸品の市場となる可能性があるからだ。そしてラマダーン月は、その事業がさらに良くなるステップを開始する幸運な月になると確信される。

訳注
1) ペチ帽: インドネシア人男性がよく着用する、ふちなし帽子
2) アカル・ワギ: ビャクダン系の香木
3) コピアー: インドネシア人男性が被る黒いふちなしの帽子


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:li0908283kk)

原題:Berkah Bulan Suci di Kampung Peci
http://anax1a.pressmart.net/mediaindonesia/MI/MI/2009/08/28/ArticleHtmls/28_08_2009_023_004.shtml?Mode=0



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