2007年5月9日(水)

ハラル・レストランとハラム・レストランには区別があるのが理想的

 多様な宗教が共存する社会では、ハラル食品(注1)を扱うレストランとハラム食品(注2)を扱うレストランに、区別があるのが理想である。インドネシア・ウラマ評議会(注3)の、食品・薬品・化粧品検証機関(LPPOM MUI)の所長ナドゥラトゥザマン・ホーセン氏(以下ナドゥラ氏)は、この区別が無い間、利用者はハラル食品のレストランを上手に利用しなければならないと語った。

 ジャカルタのショッピングセンターのフードコートには、ハラム食品とハラル食品を売っている店が多数ある。例えば、メトロ・タナ・アバン(注4)やアンバサダー・モールなどだ。そこでは、豚から作った食品を売っている店と普通の店が混在している。また、客が食べる場所も同じになっている。両者が混在していることについて、ナドゥラ氏に尋ねた。

 ナドゥラ氏は「ハラル食品の証明書のあるレストランで食事をしなさい」と語り、また次のように続けた。レストランの所有者が、ハラル食品の証明書取得に対して自覚があれば、ハラル・レストランとそうでないレストランを区別し、区分けをすることができるという。

 「シンガポールには、ハラル食品だけを売っている区域と、ハラム食品を売っている区域の区分けがある」しかし、インドネシア・ウラマ評議会の食品・薬品・化粧品検証機関は、宗教に関する一機関にすぎないため、現状では対処することができない、とナドゥラ氏は語る。同機関の役割は、インドネシア・ウラマ評議会が行う食品含有成分の情報提供を手伝うことだけだ。

 ハラル性のテスト実施を、企業に対し法律で義務付けていないことが原因だ、と彼は続けた。その他の理由としては、インドネシアは大多数がイスラーム教徒の国だが、イスラーム国家ではないことが挙げられる。インドネシア・ウラマ評議会は、ハラル証明書取得を義務付ける案を政府に提出したことがあるが、受け入れられなかった。

 インドネシア・ウラマ評議会が、イスラーム教徒をハラム製品から守るために出来ることは、法律では定義されていなくてもハラル証明書のない食品を食べないように、と注意喚起することだけだ、とナドゥラ氏は言う。また、レストランの経営者に対しては、「ハラル証明書があると、評価が高くなる」として、ハラル証明テストを受けるよう勧めているという。

 中華料理には、米から作られた酒類や、ワインを使って焼いた肉などが沢山あり、そのためハラム食品となっている。インドネシア・ウラマ評議会の食品・薬品・化粧品検証機関は、全国の中華料理店の15%が豚の油を使用していることを明らかにした。

 ジャカルタ首都特別州地方議会の議員で、同議会経済委員会のメンバーでもあるヌルマンシャー氏は、レストランにハラルのラベルがないのは、非常に憂慮すべきことだと述べた。経済面から考えると、プラス面だけを取り入れることが望ましい。しかし「利益追求のために、ハラル・ラベルを添付するのはやめて欲しい」と本紙に対し、5月8日(火)に語った。

 福祉正義党に属する同氏は、地方条例にハラル証明書取得を義務づける規則を入れるように提案したと語った。「現在、地方条例にハラル証明書を義務付けるよう、ジャカルタ首都特別州知事に提案中である。それ以外に、社会の認知度を高めるための試みや、取り締まりなども行なう」

 また、フードコートの店やレストランで出されている食品が、ハラム食品のレシチンを含んでいるか否かをテストするために、いくつかの畜産検査所を活用することも可能である。「経済局もその問題について、本格的かつ積極的に監視しなければならない」この問題は、イスラーム教徒の信仰と結びついているからである。

 クアラルンプールのとあるタイ料理レストランでは、ハラル証明書取得に4年かかったそうだが、インドネシアではそれほど大変でない、と同氏は締めくくった。

注1) ハラル食品: イスラーム法によって許容されている食品
注2) ハラム食品: イスラーム法によって禁止されている食品
注3) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織
注4) メトロ・タナ・アバン: モール名


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:li0705091kk)

原題:'Idealnya Ada Pemisahan Resto Halal dan Haram'
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=292477&kat_id=6



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