インドネシア語新聞翻訳
2010年11月11日(木)
【レプブリカ紙】


米国・イスラーム〔関係〕には選択肢がある〔オバマ大統領、ジャカルタで講演〕

【デポック】
 水曜日(11月10日)の朝バラク・オバマ米大統領は、インドネシア大学講堂で演説を目にした6,000名の招待客を魅了した。その30分間の演説の中でオバマ大統領は、米国とイスラームはこれまで両国関係を悩ませてきた相互猜疑心に終止符を打つことができる、と期待している。

 同大統領はインドネシア語での挨拶で演説を始めた。「おはようございます。アッサラーム・アライクム〔皆さまが平和でありますように〕。故郷に帰ってきましたよ!」

 この挨拶は、大多数が若者である数千名の出席者からすぐさま歓迎された。アルジャジーラ、ニューヨーク・タイムズ、AP通信などのメディア数社は、このオバマ大統領の演説の歓迎はまるでファンが有名人を迎えているようだった、と評している。

 同大統領は、インドネシアでの生活の思い出にまつわる話から演説を始めた。そして、彼はインドネシアでの物質的・人的開発の成功、インドネシアの民主主義の道のりについても褒めたたえた。

 彼は、米国・イスラーム関係についてのトピックを、演説の最後の部分に置いた。

 同大統領は次のように述べた。米国・イスラーム〔関係〕には二つの選択肢がある。第一は、今後も互いに疑い信用しないことだ。第二は〔反対に〕、相互不信を終結させ、さらにすばらしい関係を構築することだ。

 「我々は同じ基準を求めて熱心に働きかけ、相互不信を終結するために全力を注ぎ、歩を進めることを選択する」同大統領がそう述べると拍手が鳴り響いた。そして同大統領は述べた。カイロでの「米国・イスラーム関係の将来」についての有名な演説後17ヶ月、その演説を実行に移すために多くの困難を経験した。

 「米国・イスラーム関係は何年間もぼろぼろだったことを、我々は認識している。一つの演説が何年間もの不信を変えられるはずがない」と同大統領は述べた。そして、この第44代米国大統領は、〔だからこそ〕米国・イスラーム関係の改善と刷新を優先〔すべく行動〕すべきだ、と言明した。

 同大統領によれば、これまで米国が行ってきたのは、〔イスラーム〕急進派やアルカイダーと戦うことだったという。同様の行動が他の諸国によっても行われるべきだ、と同大統領は呼びかけた。テロリストや急進派との戦いにおいて、インドネシアが成し遂げたことは称賛に値する。

 イスラーム知識人であるアズユマルディ・アズラ氏は、ジャカルタでの同大統領の演説には目新しいことはなかった、と述べた。「彼は(すでに)アンカラやカイロでの演説時に全てを述べている」と同氏は述べた。同大統領は、米国・イスラーム関係を改善するアプローチにおいて、民主主義体制を持つイスラーム最大国家としてのインドネシアの大きな可能性については優先していない、と同氏は見なしている。

 同氏はさらに続けた。同大統領の〔演説は〕話術の面から〔見ると〕、非常に素晴らしく一貫している。しかし、その話術〔の内容〕が現場で適用されると、結果は期待どおりではない。こうした〔状況〕は相変わらず難局であるイスラエル・パレスチナの和平やアフガニスタンの状況など、いくつかの指標において起こっている。

 「このことは、オバマ大統領のイスラームへのアプローチ・キャンペーンに対して、大多数のイスラーム教徒がもはや熱意を持たなくなったことの原因にもなっている」と同氏は述べた。

 インドネシア大学での演説の前に、同大統領はミシェル・オバマ夫人とイスティクラル・モスク(訳注1)を訪問する機会を設けた。同モスクの有力な礼拝指導者であるアリ・ムストファ・ヤ・クブ師は、オバマ大統領は同モスクに魅了されていた、と述べた。ましてや、同モスクがカトリック大聖堂に面していて、いまだこの2つの宗教的義務を行う建物の間に問題が起きたことがない、と知った時にはなおさらだった。

 「同大統領は、イスラーム教徒と他宗教の信徒の間につねに調和が守られることを期待している。彼は、イスティクラル・モスクは信徒生活の調和のバロメーターとなっている、とも述べた」と同師は語った。

 しかし、米国・イスラーム関係の重要さについての話術の陰で、同大統領はインドネシアにとっての経済〔分野に関する〕メッセージを盛り込む機会も設けた。同大統領は、インドネシアは米国経済にとって重要な役割を担い、その逆も成り立つ、と述べた。

 同大統領は次のように言明した。米国は発展途上国であるインドネシアに利害関係を有している。「インドネシアでの中流階級の増加は、米国の商品にとって新しい市場〔になること〕を意味する。同様に、インドネシアにとって米国も市場だ。そして、我々は米国とインドネシアが互いにビジネスを行うための扉を開く」と同大統領は述べた。
【Wulan Tunjung Palupi, Fitriyan Zamzami, ed:stevy Maradona記者】

オバマ大統領、イスラームを語る
 2009年1月20日、米国、ワシントンDC: 米国第44代大統領就任時。「我々は共通の利害に基づき、将来に向けて新しい方策を求め、互いに尊重し合う」

 2009年4月6日、トルコ、アンカラ: 「米国はイスラームと戦っていないし、これからも戦わない。米国はイスラーム社会とよい提携を結ぶことを希望する。米国はイスラーム社会を受け入れるためにプログラムを展開するつもりだ」

 2009年6月4日、エジプト、カイロ: 「9/11の悲劇後の意見の対立や相互不信は終結されるべきだ。イスラームは問題の一部分ではなく、平和を支持する重要な部分だ」

 2010年2月13日、カタール、ドーハ: 「米国はイスラーム教徒の声に熱心に耳を傾け、これまで起こってきた関係の緊張を改善するために対話を続けようとしている。米国・イスラームの新しい関係を築くのは容易ではない。これには両国の長期間にわたる最大限の努力が必要だ」

 2010年11月10日、ジャカルタ: 「米国・イスラーム間の相互猜疑心を終結させる時がきた」

参考文献:ホワイトハウス、レプブリカ・データセンター

訳注1) イスティクラル・モスク: ジャカルタの中心、大統領宮殿の近くにある10万人以上を収容するという東南アジアで最大のモスク

(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:in1011111kk)

原題:AS-Islam Punya Pilihan
http://koran.republika.co.id/koran/14/122887/AS_Islam_Punya_Pilihan


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