インドネシア語新聞翻訳
2010年8月29日(日)
【メディア・インドネシア紙】


マレーシアに対する毅然たる態度を阻む心理的要因

【ジャカルタ】
 インドネシア大学社会・政治学部国際関係学科長のハリヤディ・ウィラワン氏は、マレーシアに対する政府の優柔不断な態度の内には心理的障害が主な要因としてあると述べている。

 この「われわれの隣国」がシパダン―リギタン島の紛争(訳注1)に勝利して以来、彼らは領海上の国境問題を含め、さまざまな件において自国の権利をしっかりと主張しているとの印象を与えている。

 「われわれは常に、マレーシアが自分たちの国土を守ることにおいて、われわれより秀でていると感じている。彼らはわれわれが自分の国境を守る心構えが十分でないことを経験的に知っている(訳注2)」と同氏は29日(日)本紙のインタビューに対して述べた。

 同氏はまた、インドネシアの対マレーシア外交政策が上手くゆかない原因として、劣等感の問題を挙げている。事実、わが国のナショナリズム精神は、もっぱら草の根の段階で止まってしまっているようだ。政策の段階ではどうなのか? まだ大きな問題がある。

 「問題は、われわれが本当なら戦い取るべきものよりも、既得のものを守ることに多くの精力を使っていることにある。これが海陸の国境を現状のままで守っている原因となっている」と同氏は続けた。「インドネシア政権が〔国境問題に関して〕真剣に改善を図ろうとしないことを知っているので、マレーシアは〔国境に関しては〕安泰だと思っている」

 そのため、同氏はインドネシア政府が、来る9月6日クアラルンプールで予定されている両国間の会談を、マレーシア側を説得し、両国間の海上の国境策定を検証する契機とするようにと呼びかけている。そのほか、マレーシアはシンガポールとの国境の問題を解決せねばならない。

 さらに、インドネシアは今後の協議に臨む姿勢も優柔不断なものであってはならない。国境を策定するための合意も、より注意深く行われるべきだ。なぜなら先日のような国境問題(訳注3)が再び起きるようなことになれば、怒りの波はますます大きくなるだろうから。

 「実はこの9月6日というのも、10月に行われる予定だった当初の計画から繰り上げられている」と同氏は続けた。「少なくとも、過去の出来事が繰り返されることのないように、合意事項をフォローアップするための会談も予定に組まれることになるだろう」

 今回のインドネシアとマレーシアの問題はやや微妙だと同氏は見ている。この件が問題化したのは、インドネシアにおける大きな不満の波に原因しており、マレーシアにおいても同様だ。この件は両国間の関係を損ない、両者に損失を与える可能性がある。

 8月27日(金)ジョコ・スヤント政治・法務・治安部門調整大臣は、彼の家族と共に行った断食明けの催しで、ユドヨノ大統領がすでにマレーシア首相との文書に署名したと公表した。両国間の関係が熱くなることへの懸念を伝えているほか、この文書のポイントは来る9月6日のインドネシア―マレーシアの協議の行動計画を謳っていることだ。


訳注
1) シパダン島、リギタン島: ボルネオ島東方の小島。1969年この両島の領有権を巡ってマレーシアと意見が対立。1997年国際司法裁判所に提訴することで両国が合意、2002年マレーシア帰属の判決が出た。
2) この両島の領有権がマレーシア側に認められる判決が出た根拠は、マレーシアが灯台建設などで、この両島を実効支配および管理していることが認められたからである。この判決以降、インドネシアは国境付近の無人島へ住民を移住させる計画を進めていると言われている。
3) 領海侵犯でマレーシア政府に逮捕されたインドネシアの海洋・水産省役人が暴行を受けたことを指していると思われる。


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in1008293hy)

原題:Faktor Psikologis Hambat Ketegasan RI terhadap Malaysia
http://www.mediaindonesia.com/read/2010/08/29/165427/15/1/-Faktor-Psikologis-Hambat-Ketegasan-RI-terhadap-Malaysia-


ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ

ISEA TOPへ