インドネシア語新聞翻訳
2010年6月2日(水)
【レプブリカ紙】


イスラエル、インドネシア人ボランティアを投獄

【ジャカルタ】
 マビ・マルマラ号(訳注1)に乗船していた12人のインドネシア人ボランティアの運命は、今イスラエル軍の手にある。うち11人はベエルシェバ市のエラ刑務所に入れられ尋問を受けた。残りの一人はまだハイファ市のロンドン病院に入院している。

 大統領特別スタッフ外交担当のディノ・パッティ・ジャラル氏、はこの情報を在ヨルダン・インドネシア大使館から得た。同大使館では、ザイヌル・バハール・ヌル大使が、現地時間の5月31日(月)にマフムード・アッバス・パレスチナ[自治政府]大統領から、インドネシア人ボランティアの状況について直接連絡を受けていた。

 「しかし、更なる確認がまだ必要だ」とディノ氏は6月1日(火)大統領室での緊急記者会見の中で述べた。同氏によると、イスラエルはボランティアたちの身元や状態について明かすのを拒んでいる。更なる情報を求めるため在ヨルダン・インドネシア大使館は、特別チームを組んで直ちにラマラ〔パレスチナ自治区内の都市〕に派遣することになっている。

 現在エラ刑務所には5月31日の朝、数百人のイスラエル軍に急襲されたマビ・マルマラ号に乗船していたボランティア600人が収容されている。このうち、6月1日午後までに45人がベン・グリオン国際空港経由でそれぞれの国へ退去させられた。しかし、何人かは強制帰国させられることを拒絶している。

 イスラエルはいくつかの国とは外交関係を持っていないため[これらの国からのボランティアを]帰国させることは難しいとその理由を述べている。彼らの帰国を進めるにはイスラエルと国交を持っている第三国の協力を待たねばならない。

 同氏は、インドネシアはイスラエルに拘束されているボランティアと人道支援船を直ちに解放するよう強く要求していると、次のように述べた。「政府はこの件に関し、ボランティアと船を解放するよう呼びかけている」彼によると、イスラエルには船を岸に曳航する権利はないという。

 「イスラエルは公海においてこのような行為に及ぶ権利を持っていない。国際法上、パレスチナ人たちへの1万トンの支援物資を運んでいる人道支援船を急襲攻撃する権利は、イスラエルにはない」と同氏は断固とした調子で語った。

 同氏によると、イスラエルによるガザ地区封鎖も違法行為だ。「われわれの立場は明確だ。ガザ地区を封鎖する措置は違法であり、われわれはこれまでもこの封鎖に抗議しており、このことを国連を含めたさまざまな外交の場に一貫して持ち出している」と同氏は語った。

 緊急医療レスキュー委員会(MER-C)理事長のサルビニ・アブドゥル・ムラド氏は、MER-C の4人のボランティアとまだ通信が取れていないと語った。MER-C のインターネットおよび衛星電話の機器はイスラエル軍に押さえられており、連絡はトルコのNGO、インサニ・ヤルディム・ヴァクフィ(IHH)を通じて取れるのみだ。その後の進展もない。

 「アル・アクシャの友」(訳注2)のスポークスマンであるモハマド・ファウジル・アディム氏も、仲間の4人のボランティアの状態について詳しい情報をまだ得ていない。彼はインドネシアのボランティアは無事であると報じている雑誌「スアラ・ヒダヤットゥッラー」からの情報を頼りにしているのみだ。「アル・アクシャの友」は、ガザ地区の避難民のために6億5千万ルピア(約650万円)の資金を運んでいた。この資金はいくつかの清水の井戸を掘るために使われる予定だった。

 イスラエルのイツハク・アハロノビッチ公安相は、イスラエルの海兵隊が5月31日朝にマビ・マルマラ号を急襲した際に抵抗したボランティアを裁くための証拠を、警察はすでに集めていると語った。「軍に抵抗したすべての人間は相応の罰を受けるだろう」と彼はラジオ・イスラエルで述べた。

 しかし、イスラエル刑務所は、イスラエルの内務省は拘留している全てのボランティアにいきなり法的措置をとることはしないよう要請していると語った。内務省は法的代理人あるいはそれぞれの国の領事館員がボランティアたちに付き添うことを要求している。

 しかし、このニュースに対し「ガザ解放運動」組織は反論している。ソーシャル・ネットワーキング・サービスのツイッターの中で「ガザ解放」は、イスラエルはボランティアたちとの接触の機会を与えていない、と語っている。「イスラエルはボランティアたちと連絡を取りたいというわれわれの法的代理人の要請を拒絶している。31日以来われわれの連絡は完全に断ち切られている」と彼は語った。

 イスラエルは、ボランティアたちを拘留し尋問しただけでなく、ガザ地区避難民のための人道支援物資も差し押さえている。食料品、衣料品、薬品、医療機器、そして建設資材などの貨物はまだガザ地区から30km離れたアシュドットの港に止めおかれている。

 イスラエルは、全支援物資をガザ地区へ移す前に検査が必要であり、そのために数日を要すると語っている。しかし、国連安全保障理事会はイスラエルが支援物資を直ちに目的地に渡すよう要求する声明を出している。

オバマを待つ
 ユドヨノ大統領はオバマ米国大統領と人道支援船マビ・マルマラ号に対するイスラエルの攻撃について話し合う予定だ。両国の大統領は、この6月中旬にジャカルタで会談を行う予定になっている。

 「もしオバマ大統領が6月にインドネシアを訪問するなら、必ずやこの問題が両国大統領の間で討議されるだろう」とディノ氏は語った。インドネシアは、このイスラエルの行動を強く非難するとともに、イスラエルがこの件で責任を取ることを要求している。

 政府は臨時国連大使に対し、イスラエルの行動を調査するために、何処の国とであれ、協力するよう指示した。インドネシアはまたジュネーブの国連基本的人権委員会の副議長としての立場も活用する。


訳注
1) マビ・マルマラ号: 本文中に後述するトルコのイスラム団体インサニ・ヤルディム・ヴァクフィ(IHH)が組織したパレスチナ自治区ガザ地区への人道支援船団6隻のうちの旗艦。6月1日に公海上においてイスラエル軍からの攻撃を受けた。
2) アル・アクシャの友: パレスチナ人民を人道支援するインドネシアの団体


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in1006021hy)

原題:Israel Penjarakan Relawan WNI
http://koran.republika.co.id/koran/14/112252/Israel_Penjarakan_Relawan_WNI



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