インドネシア語新聞翻訳
2010年1月19日(火)
【レプブリカ紙】


信徒に平静を保つよう要請する

【ジャカルタ】
 インドネシアの各宗教評議会は信徒に対して平静な態度を保つよう要請した。この呼びかけは、最近マレーシアで起きた教会襲撃事件に関連して行われた。これはインドネシアで同様の事件が起きないようにとられた予防的な措置だ。

 この呼びかけはインドネシア・ウラマ・評議会(MUI)(訳注1)の信徒融和委員会議長のスラムット・エフェンディ・ユスフ氏の主導によって1月18日(月)ジャカルタのMUIビルで行われた。「われわれは、信仰生活を損なう可能性があるこの事件に対、し深い憂慮を表明する」

 この催しに参加したのは、インドネシア司教協議会(KWI)のベニ・スサティオ氏、インドネシア教会連盟(PGI)のエリック・バルス氏とゴマール・グルトム氏、それにインドネシア儒教最高会議(Matakin)のウウン・スンダナ氏だ。

 この声明を読み上げたスラムット氏は、宗教界のすべての指導者は、どこにいるにせよ、それぞれの信徒を冷静にさせるよう、努めてほしいと語った。それにより、人々の間に調和のとれた望ましい状態を作り出すことができる。

 9ヶ所の教会に対する襲撃は、マレーシアの高等裁判所が政府に対してキリスト教徒によるアッラーという言葉の使用禁止を撤廃するよう命じたことにより起きた。

 この声明の中で、各宗教評議会はこの裁判所決定に対する不同意は、法的な手続きを通じて表明されるのが相応しいと希望を述べた。スラムット氏は不同意は現行の法体系に沿って行うことが可能だと語った。

 「われわれはこのマレーシア高等裁判所の決定に対処するに当っての、マレーシア政府が示した姿勢、すなわち、解決は上訴の提起という正規の法的手続きを経て行われるべきだ、という姿勢を尊重する」とスラムット氏は語った。

 各宗教評議会もまた、全信徒に対して、とくにマレーシアのキリスト教徒とイスラーム教徒に対して平静を保つよう呼びかけるが、彼らも暴力行為や無政府的行為を行わないよう自重する努力を続けて欲しい、と同氏は語った。

 なぜなら、このような[暴力]行為は人々の間の緊張を高める結果になり、「そればかりか、この緊張は東南アジア各国の人々に広がるかもしれないからだ」と同氏は語った。

 同氏は、[インドネシアの]各宗教評議会はマレーシアの治安当局に対し、法の確立によって断固としたそして賢明な措置をとるよう呼びかける、と表明した。人々の平和な状態が早急に回復されるように。

 同氏によると、インドネシアの各宗教評議会は上記の共同の呼びかけを伝えるために在インドネシア・マレーシア大使を訪問することになっている。彼はインドネシア側ではマレーシアの各宗教評議会に対して手紙を書くつもりだと語った。

 「われわれは[人種的・宗教的に]複合的な性格を持つマレーシアの政府と国民が、[暴力でなく]法的な解決プロセスを経て平和で落ち着いた生活を送ることを祈っている」と同氏は言明した。

 インドネシア司教協議会(KWI)のベニ・スサティオ氏は、インドネシアの[各宗教の]信徒間の寛容精神は非常に高いと語った。彼によればこの各宗教評議会の呼びかけは予防的な試みだ。

 「これはマレーシアで起きたことがインドネシアで起きないための予防的な試みだ。しかし、実際はインドネシアの信徒間の寛容度は非常に高いと言ってよい」とベニ氏は語った。

 インドネシア教会連盟の事務総長であるゴマール・グルトン氏は、各宗教評議会は世界平和に大きな関心をよせていると語った。


訳注1) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者がさまざまな問題に対して、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in1001191hy)

原題:Umat Beragama Diminta Tenang
http://koran.republika.co.id/koran/14/101802/Umat_Beragama_Diminta_Tenang



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