インドネシア語新聞翻訳
2009年11月30日(月)
【レプブリカ紙】


ドバイ危機がインドネシアのスクークを脅かす

【ジャカルタ】
 ドバイが金融危機に揺れている。この危機の元は国営企業ドバイ・ワールドの累積債務に端を発している。負債額は半端なものではなく590億ドルに達している。

 このショックは他の国々、特にこの小国と投資関係にある国に、ドミノ効果を及ぼすだろうと予想されている。以前、ドバイ・ワールドは「ドバイ・ワールドに陽が沈むことはない」という大胆なスローガンを掲げていたが、このスローガンはまだ有効なのだろうか?

 11月25日の水曜日にドバイ・ワールドはモラトリウム、すなわち負債返済の6ヶ月繰り延べの要請を行った。

 木曜日にその衝撃は直ちにアジアに及んだ。国際的に取引されているアジア地域のスクーク(訳注1)は、利率が高くなったことなどにより、〔価格が〕全面的に急落した〔ことが明らかになった〕。この余波はインドネシアにも及んだ、と中近東のビジネス・経済ニュースのウエブサイトであるザウヤは書いている。そして、この激震でもっとも打撃を受けたのは、インドネシア国のスクークとマレーシアの国営企業ペトロナスのスクークだと。

 2014年に償還期限がくるペトロナスのスクークは、米国財務省債券の利回りより約0.15%分高い利回りで取引されている。一方インドネシアのスクークは1.1225%から1.1275%、すなわち 1.5から2.0ベーシスポイント(訳注2)下がったところで取引されているとブローカーは語っている。

 「おそらくこれは一時的なものだろう」とシンガポールのウエスタン・アセット・マネジメント社のラジーヴ・デ・メロ投資部長は語っている。一方、このドバイ危機はアジアで発行されるスクークの価格には逆に有利に働くだろうという良いニュースもある。即ち、デ・メロ氏がウォール・ストリート・ジャーナル紙に語ったように「中東の投資家が中東以外のスクークに乗り換えて資金の分散を図ろうとするかもしれない」からだ。

 インドネシアおよびペトロナスのスクークを売っているスクークの投機家たちは、中東出身の投資家たちが彼らが所有しているスクークをまだ抱えているのではと心配している。ドバイ・ワールドがモラトリウムを宣言したため、彼らが所有株の放出を選択するかもしれないからだ。

 一方、ディーラーたちは、先週末の長い休暇で投機家たちが休んでいたことが資金の流動性不足を生み、それがこの衝撃をより強いものにしたと推測される、としている。金曜日〔11月27日〕は〔犠牲祭のため〕インドネシア、マレーシア、パキスタン、そしてシンガポールで休日だった。

 しかし、これらの衝撃は一時的なものであり、ドバイ危機に対する驚きの反応だと市場も確信していることは記しておくべきだろう。確かにそうなら、この危機が日蝕時に月の影がすぐ太陽から去ってゆくようなものであってほしい。そして「ドバイに陽が沈むことはない」というスローガンが変わらずに有効であってほしい。

重要ではない
 ダナレクサ調査研究所のエコノミストは、ドバイ・ワールドのインドネシアのスクークに対する債務不履行に関して違う意見をのべている。ドバイに資金を投資しているインドネシアの投資家は多くないので、この危機はインドネシアのスクークに大きな影響を与えないというのだ。「インドネシアの投資家は、国内の債券を買う方を優先している」とダナレクサ調査研究所の主任エコノミストであるプルバヤ・ユディ・サデワ氏は29日(日)語った。

 彼は、ドバイ・ワールドのケースは米国で起きたケースとは違うと説明した。「米国にはドバイに比べるとはるかに多くの投資家が資金を投入しているからだ。従って、米国で危機が起きたとき、その衝撃は世界的で、極めて大きかった。しかしドバイのスクークを買った投資家が[インドネシアに]いるかは疑わしい」

 ドバイは世界で最大のスクーク発行者として知られるが、スクーク自体がインドネシアではまだ非常に新しく、従って影響がないだろうと同氏は説明した。インドネシアではスクークはまだよく知られていない。まして、現在インドネシアはようやくこの利子なしを原則とするこの債券を発行し始めたところだ。

 プルバヤ氏は、2009年11月現在までにインドネシアで発行されたスクークは、総額でやっと10兆ルピア(約1,000億円)に達したところだと説明した。「総額はたいした金額ではないし、その大部分は国内で発行された。従ってドバイ・ワールドの一件の衝撃は深刻ではないだろう」と彼は語った。

ドバイ・ワールドの一瞬
 ドバイ・ワールドは巨大なスケールを持つ世界的な投資会社だ。この会社はさまざまな分野で活動し、アラブ首長国連合の経済成長のバックボーンになっている。ドバイ・ワールドの投資先は、インドネシアの都市も含めおよそ100の都市に及ぶ。この会社の活動は5つの成長地区において、商業、運輸・物流、埠頭・都市建設、金融サービスに始まり鉱業にいたるまでの広がりを見せている。

 ドバイ・ワールドが思い描いていたのは最先端の企業になることだった。それは世界経済の中で鍵となる役割を果たし、株主のために莫大な価値を創造するため、強固さを築くことだった。一方、その使命は社会・経済の成長をもたらし、さまざまな投資、革新的なプロジェクト、そして戦略的な連携によって株主の利益を維持することだった。以上はドバイ・ワールドの公式ホームページからの引用だ。


訳注
1) スクーク: イスラーム法に則って発行される債券。イスラーム債券であるため利子払いはなく、その代わりに収益の分配、リース支払いという形をとるが、そのスキームは多様である。本記事の記者がスクークをきちんと理解しているかは疑わしく、そのため記述に若干の矛盾や混乱が見られる。
2) ベーシスポイント: 1ベーシスポイントは0.01%に相当

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in0911301hy)

原題:Krisis Dubai Ancam Sukuk RI
http://www.republika.co.id/koran/17/92474/Krisis_Dubai_Ancam_Sukuk_RI



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