インドネシア語新聞翻訳
2009年9月5日(土)
【レプブリカ紙】


日本におけるラマダーン月の美しき挑戦

【ジャカルタ】
 日本のような無神論の国においてラマダーン月(訳注1)に断食のお勤めを遂行する上で参考になる経験は多い。夏季の14時間半におよぶ長時間の断食(訳注2)からタラウィ礼拝(訳注3)の場所を探す難しさにいたるまで。

 この「日出ずる」国に既に8年間住んでいる東ジャワ・バントゥル出身の女性メガサリ・プスパリニさんが経験したように。彼女は最初の年から4年目までを九州の小都会〔大分県〕別府市で過ごした。「その時はまだ学生だったので、大学の友人たちと集まることが多かったです」と立命館アジア太平洋大学(APU)の卒業生であるこの女性は語った。

 APUにはヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど世界の78ヶ国から学生がいたので、彼女は様々な国からのイスラーム教徒と一緒に断食のお勤めをした。メガサリさんも喜びをもって断食を行った。

 「そのうえイスラーム教徒ではない日本の友人たちもしばしばラマダーン月の行事に参加してくれました。彼らはこれらの活動について興味を持っていたのです」と彼女は語った。

 メガサリさんは日本の友人たちから断食とイスラームについてしばしば質問を受けた。「彼らにイスラームを紹介できるのはうれしい気持ちでした。なぜわれわれは礼拝をしなければならないのか、なぜ断食をするのか、なぜ豚肉を食べてはいけないのか、なぜジルバッブ(訳注4)を被るのか、そしてそのほかにも沢山の『なぜ』がありました」と彼女は述べた。

 それでも出合った障害は小さくはなかった。例えば、タラウィ礼拝の場所を見つけることが難しかった。彼女はいま大阪に住んでいる。ここではイスラーム社会の仲間たちと一緒に自分たちでタラウィ礼拝の義務を果たしている。

警官に追いかけられる
 メガサリさんが2002年に初めて日本にきたときは、ニューヨークのワールド・トレード・センターで起きた9月11日のテロ攻撃事件からまもなくだった。イスラームはスケープゴート(訳注5)にされ、イスラームに関係する諸活動は日本においてまで監視された。

 彼女もキャンパスでお勤めをしようとするときはゲリラ的行動を余儀なくされた。非常口や空いている教室、階段、更衣室、あるいは図書館のような場所で礼拝をした。「しばしば胸をどきどきさせながら礼拝したものです」と彼女は語った。

 それだけでなく彼女を悲しませた出来事も一度起きてしまった。それは彼女が図書館で礼拝をしているのが知られたときだった。図書館の係員が「キャンパスにはあなたが礼拝する場所はありません」と言って彼女を追い払ったのだ。

 あるとき彼女はキャンパスでのタラウィ礼拝からの帰りに警官に追われたことがあった。

 「その頃キャンパスでの宗教活動は禁じられていました。そのためわれわれはつねに当局とかくれんぼをしていました」とメガサリさんは表明した。

 気候の問題も彼女にとって断食を行ううえでの障害になった。今年のラマダーン月は日本の夏にあたったため、断食の時間が14時間半に及んだ。しかし、メガサリさんはこのようなことにはもう慣れていると述べている。同様に、日常的なハラル(訳注6)食品についても日本で日常的にお目にかかることは難しい。

 来年インドネシアに戻るメガサリさんは、日本でラマダーン月を過ごしている、あるいは過ごそうとしている人たちに対して、現存のさまざまな障害に挑戦することを楽しむようメッセージを残している。彼女はまた最寄りのイスラーム社会により多く集まるよう呼びかけている。

 「障害があるおかげで全てが一層美しくなるのです。おそらく神はわれわれがより逞しいイスラーム教徒になるよう鍛えているのです」とメガサリさんは結んだ。


訳注
1) ラマダーン月: イスラーム暦9月。断食月。イスラーム教徒はこの一ヶ月間日の出から日没まで一切の食べ物、飲み物を口にしない。
2) 長時間の断食: 日本はインドネシアより緯度が高いため、夏季の日中時間がインドネシアより長い
3) タラウィ礼拝: ラマダーン月のイシャー礼拝(夜の礼拝)後に行われる自発的な礼拝
4) ジルバッブ: イスラーム教徒の女性が人目にふれてはならない頭髪や首、耳を覆うために被るベール
5) スケープゴート: 他人の罪の身代わりになるもの
6) ハラル: イスラーム法によって許容されている行為、摂取物


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in0909051hy)

原題:Tantangan Indah Ramadhan di Jepang
http://www.republika.co.id/koran/99/74320/Tantangan_Indah_Ramadhan_di_Jepang



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