2007年10月27日(土)

インドネシア・シャリア保険協会、カナダでシャリア保険を開発

【ジャカルタ】
 インドネシア・シャリア保険協会(AASI)は、カナダでのシャリア保険(注1)開発支援の可能性を検討中で、その実現のためにカナダのイスラーム教徒と協力することになるだろう。従来型の保険会社に対し、シャリア保険商品開発の技術援助を行うとともに、シャリア保険商品の普及を図るため、同保険に関する訓練を行う計画だ。

 「AASIは、カナダのイスラーム教徒社会がシャリア保険商品を開発するのに協力する予定だが、その際は技術面での協力に重点が置かれるだろう。またその協力は、この3ヶ月以内にスタートさせる計画だ」AASIの会長ムハイミン・イクバル氏は10月26日(金)の2007年インドネシア・シャリア・エキスポでのセミナー「グローバル時代におけるシャリア保険の挑戦」終了後にこう語った。

 イクバル氏によると、現在カナダには50万人ほどのイスラーム教徒がいる。彼らは保険加入が義務づけられているが、カナダには従来型の保険しかない。そのため、カナダのイスラーム教徒は、先のラマダーン(注2)前にAASI側と会い、カナダでのシャリア保険商品の開発支援を要請した。「50万人は確かに多くはない。しかし、これはシャリア保険にとって十分魅力的な潜在ビジネスだ。カナダでは保険加入が義務付けられているが、非シャリア保険しかない。多くのイスラーム教徒が車を買い、従来型(非シャリア)の自動車保険に加入している。そのうえ料率も高い」とイクバル氏は述べた。

 イクバル氏はさらに、AASIの協力内容は、従来型の保険会社がシャリア保険商品を作る際の技術的な相談相手となること、シャリア保険に関する人材の育成を行うことだと述べた。

 タカフル・ウムム保険(ATU)役員シャクティ・アグストノ・ラハルジョ氏は、カナダにおけるシャリア保険の開発に関する協力計画を歓迎している。このことは、インドネシアのシャリア保険業界が国際社会に進出する刺激となるとし、「もしその計画が本当であるなら、インドネシアのシャリア保険が拡大するためにとても良いことだと考える」とアグストノ氏は語った。

 アグストノ氏は、ATUもシャリア保険ビジネスを海外へ展開させる計画を持っていると述べた。その一つはマレーシアだ。しかし、この計画はまだ株主が検討中だとして「株主たちも海外への進出計画を持っている。しかし、今はまだ詳細に討議されていない」と述べた。

 シャリア保険のシェアがまだ小さいことについて、インドネシア・ウラマー評議会(注3)全国シャリア委員会議長ムハマド・アンワール・イブラヒム氏は、シャリア保険を普及させる努力が大切だと考えている。その実現のためには、シャリア保険の人材の質と数の向上が必要だとし、以下のように語った。「インドネシアのさまざまな大学に対し、シャリア保険を教えるように呼びかけることが必要だ。シャリア保険ビジネスの可能性は間違いなく大きいので、これは重要なことだ」

今年末に完成
 イクバル氏は、さらにインドネシアのシャリア保険用の標準財務会計報告(PSAK)を、現在インドネシア会計協会(IAI)とAASIと共同で開発中であると述べた。このPSAKの草案は今年末の完成が予定されており、来年に公表の見込みだ。シャリア保険業は従来型の保険業とは異なる財務報告システムを持っているので、PSAKの開発が急務となっている。

 イクバル氏によると、現在約42のシャリア保険が存在する。シャリア保険会社3社、シャリア再保険会社の3支店、それに在来型保険会社のシャリア保険部門または支店だ。AASIのデータでは現在シャリア保険のシェアは2%以下の水準だ。このシェアが、今後数年間で拡大することが期待されている。





注1) シャリア保険: イスラーム法に則った保険
注2) ラマダーン: イスラーム月9月 断食月
注3) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた見解を示す官製のイスラーム法学組織



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in0710271hy)

原題:AASI Kembangkan Asuransi Syariah di Kanada
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=311650&kat_id=256



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