2007年7月27日(金)

豪外相インドネシアのイスラーム教徒を賞賛

【キャンベラ】

 豪州の外務大臣アレグザンダー・ダウナーは、7月26日(木)アデレードのラジオ局5AAのアマンダ・ブレア氏との特別インタビューの中で、強硬派組織の勢力を弱体化させる上で、インドネシアのような国々の穏健派イスラームが果たす役割について質問された。27日(金)のアンタラ通信(注1)(キャンベラ支局)は、同外相がそれに対して次のように述べたと伝えた。

「インドネシアにおいて、数百万の会員を持つナフダトゥル・ウラマ(NU)(注2)とムハマディア(注3)の二大イスラーム団体は、穏健派イスラーム教徒のメッセージを積極的に発信し、ジェマー・イスラミヤ(注4)とインドネシア・ムジャヒディン評議会(MMI)(注5)の力を抑えることに成功している」

「インドネシアでは、彼ら(穏健派イスラーム)は、とても良くやっている。オーストラリアや他の西側諸国でも、穏健派イスラームの人たちは、モスクや学校等だけでなく、毅然とした姿勢で外に出て、主要なマス・メディアを通じてメッセージを発し、穏健派イスラームがどのようなものかを社会に伝えるべきだ」

「この試みを支援するため、豪州政府は、宗教間の対話を進めるとともに、メルボルンに本部を置くイスラーム研究センターの設置を予定している」

 また、ダウナー外相はテロリストと交渉する可能性について聞かれ、「米国、西ヨーロッパ、そして豪州を破壊し、やがては原理主義的イスラーム社会に変えることを望んでいる」者たちと交渉することは「ありえない」と簡潔に述べた。

 「....彼らがしようとしていることは、インドネシア政府のようなイスラーム世界の穏健な世俗政権を倒すことだ。基本的に彼らの望みは、自分たちの目的を達成するために世俗政権を倒し、人々を殺すことにある。そのため、交渉から得られるものは少ない」と語った。

 ダウナー外相との記者会見の中で、アマンダ・ブレアー氏は、ラジオ局の多くの聴取者からインドネシアのイスラームとイスラーム教徒について間違った見解が寄せられていると伝えた。

 「彼ら(聴取者)が、きちんと理解していないのが心配だ。前日にジェマー・イスラミヤについて話したとき、電話をしてきた人の中には、インドネシア人すべてが、インドネシアのイスラーム教徒全員が、私たちを殺そうとしていると言う人すらいた。もちろん、決してそんなことはないのだが」

 これに対してダウナー外相は、インドネシアのイスラーム教徒の大部分は穏健派で、オーストラリアの人々と同じく、サッカーやクイズなどテレビ番組を観るのが好きな人たちであり、その見解は間違っていると語った。

 しかし、同外相は、2006年に行われたインドネシアでの調査で、回答者のおよそ12%がアルカイダ、ジェマー・イスラミアなどの過激派組織と彼らの目的に対し、共感を覚えているという結果が出ていることを否定していない。

インドネシアの約2億人のイスラーム教徒と比較すると「彼らは非常に少数派だ」と同外相は述べた。

【アンタラ通信】

注1)アンタラ通信: インドネシア国営の通信社
注2)ナフダトゥル・ウラマ: 伝統的主義的イスラーム組織
注3)ムハマディア: 改革派イスラーム団体
注4)ジェマー・イスラミヤ: 東南アジアを基盤とするイスラーム過激派組織。インドネシアで起きた多くのテロ行為の実行グループと目されている。
注5)インドネシア・ムジャヒディン評議会: ムジャヒディンとは「聖戦を行う者」を意味する普通名詞であったが、最近はアフガニスタンに侵攻した旧ソ連に対抗したゲリラ部隊を母体とする過激派イスラーム組織を意味する。そのインドネシア支部



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:in0707271hy)

原題:Menlu Australia Puji Cara NU-Muhammadiyah Promosikan 'Pesan-pesan Muslim Moderat'
http://www.republika.co.id/Online_detail.asp?id=301584&kat_id=248



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ