インドネシア語新聞翻訳
2011年3月4日(金)
【レプブリカ紙】


宗教教育が過激思想を予防する

【ジョグジャカルタ】
 過激思想はこの国民の大きな問題のひとつだ。この過激思想に基づく運動を予防し、最小限に抑えるためには、宗教教育と意見の違いに対するオープンな考えが大切だ。

 これは、宗教研究の専門家である米国アリゾナ州立大学教授のマーク・R・ウッドワード博士が、3月3日(木)ジョグジャカルタ・ムハマディア大学合同キャンパスで行なわれた社会政治学部設立30周年記念演説の中で述べたことだ。

 ウッドワード教授によると、過激思想はインドネシアだけでなく世界の他の地域にもあり、新しい現象ではなく古くからある社会現象だ。この過激思想に基づく運動は、数千年前にグローバル化が始まったときに既に生まれていた。一番大きかったグローバルな運動は、イスラーム教やキリスト教の宣教活動などの宗教運動だった。

 「過激思想に基づく運動は特定の宗教だけの現象ではない。世界的な過激運動はいくつかあり、イスラーム教だけではない」と彼は説明した。

 世界的な過激運動にはいくつかの基底となっている性格があると、彼は説明した。その一つは非常に排他的で、真実を知っているのは自分たちだけだと考えていることだ。「彼らは自分自身のグループのために真実を独占している」

 そのほか、過激思想はすべてにわたる社会変革を指向しており、それを実行するためのあらゆる方法を否定していない。イスラームの過激思想に関して、同教授は基本的に他の過激思想と変わらないと述べた。その特徴のひとつは非常に排他的で、〔自分たちだけが〕真実を独占していると思い込んでいることだ。

 教授によると、過激な行為を最小限に抑えるためにできる一番よい方法は教育だ。なぜなら、教育を通して人は宗教間の相違も同じ宗教の信者間の違いも理解することができるからだ。

 それに劣らず重要なのは、イスラーム過激思想の影響を最小限に抑えるためのイスラーム教育だ。「なぜなら、過激な行動に身を投じている人の多くがまだ若い人たちで、宗教に関して多くの知識をまだ持っていないからだ。私は暴力行為を予防するワクチンのひとつは宗教教育であると考える」

 同じ席で、ジョグジャカルタ・ムハマディア大学社会政治学部講師のアフマド・ヌルマンディ博士は〔宗教的暴力行為に対する〕この国の姿勢がまだ明らかでないと語った。例えば、民族、宗教、部族のさまざまな紛争がまだ起きていることを考えると、パンチャシラ精神(訳注1)がまだ周知徹底されていないといえる。

 「このような状態では、やがてイスラーム教徒に名前を借りた過激なグループあるいは運動で国が蝕まれる現象が増えることになる」と同博士は語った。

 彼は、多様性を認めた上での民族の一体感も低下しており、そのため同大学の社会政治学部は、今日のグローバル化時代に直面する中で正しく理解し、自分の意見を持つことのできる若い世代を生み出す上で貢献する必要がある、と考えている。

訳注1) パンチャシラ: 建国5原則(唯一神への信仰、公平で文化的な人道主義、インドネシアの統一、教義と代議制において英知によって導かれる民主主義、インドネシア全人民に対する社会主義)代々の政権が国是としてきた。

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ed1103041hy)

原題:Pendidikan Agama Tangkal Radikalisme
http://koran.republika.co.id/koran/14/130363/Pendidikan_Agama_Tangkal_Radikalisme


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