インドネシア語新聞翻訳
2009年2月7日(土)
【レプブリカ紙】


イスラーム寄宿塾は急進主義を教えることはない

【ボネ】
 インドネシアのイスラーム寄宿塾は急進主義について教えているとして、国内メディアや西洋諸国の人々はしばしば非難する。その誤った認識はすぐに訂正されるべきだ。インドネシアのイスラーム寄宿塾の真の状況について、国際社会は理解するべきだ。インドネシアのイスラーム寄宿塾は急進主義について教えていないことを、世界の人々は知るべきだ。

 木曜日(2月5日)の晩に南スラウェシ州ボネ県ドゥア・ボッチョェ郡、ウジュンのアル・イクラス・イスラーム寄宿塾で開催された「イスラーム寄宿塾におけるイスラームの誤解を解く」というワークショップでの結論は、そのようなものだった。南・西・東南スラウェシの全イスラーム寄宿塾指導部が出席したそのワークショップには、開発統一党中央指導部会のスルヤダルマ・アリ総裁、モハマド・ヌー情報通信国務大臣が招かれた。

 「インドネシアのイスラームやイスラーム寄宿塾は、国際社会では十分理解されていないため、イスラーム寄宿塾は説明するべき」とスルヤダルマ・アリ協同組合・中小企業大臣は述べた。「説明や理解を与えなければ永久に誤解されたままだ」イスラーム原理は明示されるべきだと同氏は明言した。「コーランやハディース(訳注1)の教義に則ったイスラーム原理を明示するべきだ。イスラームの全ての教義は真の起源(コーランやハディース)に基づいている」そのため、全ての関係者がイスラーム教義の原理に戻り、それを活性化させる時が来たのだという。

 同じ機会に、モハマド・ヌー情報通信国務大臣は、急進主義は(異なった)ものの見方から発していると明言した。「急進主義的なものの見方が、様々な活動につながる。どの集団にも急進主義的な活動は起こりうるし、全てはまず、(不完全な)ものの見方や考え方からはじまる」と同氏はつぶやいた。とりわけ宗教の教義が十分に理解されていないことから、急進主義(的な活動)は起こるという。

 一方、宗教省イスラーム社会指導部のヌサルディン・ウマル総局長は、次のように述べた。非イスラーム社会の目からは、イスラームはまだ暴力の宗教とイメージされているため、そのワークショップのテーマが選ばれた。「インドネシアのマドゥラサ(訳注2)は、非常に基本的なイスラーム理解の中心地または本部とされてはいるものの、実際にはそのように理解されていない(といえる)」

 総局長は、イギリスのトニー・ブレア首相(当時)がダルンナジャー・イスラーム寄宿塾を訪れた際に同行した時のことについて述べた。「寄宿塾生の部屋には、オサマ・ビン・ラディンやホメイニに関する本やステッカーなどは一つもない」と同氏は述べた。「インドネシアのマドゥラサは他の諸国と同様ではない」同氏によれば、そのためイスラーム信者は、国際社会に対して、インドネシアのマドゥラサやイスラーム寄宿塾の状況について伝えるべきだという。急進主義を説く団体としてのイスラーム寄宿塾のイメージは、西洋諸国だけで高まっているわけではない。インドネシア国内においても、映画やテレビドラマの放映は、しばしば誤った寄宿塾のイメージを与えている。

 インドネシア・全イスラーム寄宿塾協会のマームッド・アリ・ザイン師は、これまでキヤイ(訳注3)やイスラーム寄宿塾には多くの誤解があったと述べた。「イスラーム寄宿塾が暴力を説くなどと非難されるのは、イスラームの教義に反している。これは全て真実ではない」とし、同師はさらに述べた。イスラームとは(それどころか)平和や団結を愛する宗教であり、イスラーム寄宿塾は、イスラーム教義に則った宗教価値を説く教育機関だ。同師によれば、このイスラーム教義の誤解のために、イスラームは常に追い詰められたり、非難されたりするのだという。同日、スルヤダルマ・アリ総裁は、アル・イクラス・イスラーム寄宿塾の協同組合の開所式、一方モハマド・ヌー大臣は同寄宿塾のラジオ開局式に出席した。


訳注
1) ハディース: ムハンマドの言行録
2) マドゥラサ: 宗教省所管のイスラーム系の学校。小学校、中学校、高等学校がある。
3) キヤイ: イスラーム教に関し深い学識を持つ長老格の人に対する尊称


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ed0902071kk)

原題:Pondok Pesantren tak Ajarkan Radikalisme
http://www.republika.co.id/koran/14/30047/Pondok_Pesantren_tak_Ajarkan_Radikalisme



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