インドネシア語新聞翻訳
2008年11月21日(金)


マトラ・ウル・フダ・イスラーム寄宿塾、南バンドゥンでゴントルの教育を実現

このイスラーム寄宿塾は1960年代から存在していた、イスラーム系学校マドゥラサ(訳注1)とイスラーム学習会が前身

 時計はまだ西部インドネシア時間(訳注2)の午前3時30分を指している。気温が低く涼しいことで有名な南バンドゥン地域では、さらに冷気が肌を突き刺すように感じられる。しかしそのことで、マトラ・ウル・フダ・イスラーム寄宿塾の数百人の寄宿生が、寝床でぐずぐずすることはない。彼らは毛布を払いのけ、すぐに寝床を整え、そしてその後に礼拝前のウドゥ(訳注3)をする。その数分後、寄宿生たちは義務ではない宗教的行為、真夜中の礼拝を行っている。

 東ジャワのダルッサラム・ゴントル・ポノロゴ・近代イスラーム寄宿塾の卒業生4人(ソプヤン・ディムヤティ、アグス・ブルハヌディン、マ・スム・ディムヤティ、そしてサエプル・コハル・ブルハヌディン)が、1988年3月1日に創立したイスラーム寄宿塾の構内では、このような穏やかで、すがすがしい様子が毎日見られる。「このイスラーム寄宿塾は1960年代から存在していた、イスラーム系学校マドゥラサとイスラーム学習会が前身だ」11月13日(木)に同寄宿塾の広報担当者、マ・スム・ディムヤティ教諭は、本紙に対してこう述べた。

 現在ソフヤン・ディムヤティ師主導のそのイスラーム寄宿塾は、南バンドゥン地域にあるゴントル寄宿塾をモデルとした、指導と教育をもたらしたいという願いが創立の発端だった。「周辺の住民、特に貧しい人々のために教育を行いたいという正義感も、そのきっかけとなった」とマ・スム教諭は付け加えた。

 このイスラーム寄宿塾を傘下に置いたアル・アニジヤー・イスラーム教育財団創立時の、アーマッド・ディムヤティ氏(故人)の言葉をマ・スム教諭は思い返した。「自分の子供たちがゴントルの教育を享受することができれば、周りの他の子供たちも、同様にそれを享受できるはずだ。だからここでゴントルの教育を行うがよい」

 マ・スム教諭によれば、そのイスラーム寄宿塾を経営しているアル・アニジヤー・イスラーム教育財団は、親族で構成されている財団だという。「『アル・アニジャー』の名前は、1960年代のマドゥラサやモスクの最初の寄進者で、故人で私たちの親戚の名『アニジャー』からとった」現在100才を過ぎた私たちの祖母であるジュワリアーによって、後に土地などの寄進がなされたことでさらに拡大した。

 マトラ・ウル・フダ・イスラーム寄宿塾で学ぶ生徒のほとんどが、中産階級以下の出身者だ。生徒の内訳は、中学と高校レベルが350名、小学生から中学生が参加するコーラン学習会で学ぶ者が500名、小学校レベルが200名だ。

 マ・スム教諭によれば、大学への進学実績に関しては、この寄宿塾の卒業生の多くが、この国のトップクラスの大学に進学しているという。「彼らの中には、宗教省の奨学金のおかげで、大学で学んでいる者もいる。他の数人の卒業生は、エジプト、カイロのアル・アズハル大学や、中東の他の大学にも留学している」と教諭は付け加え、さらに次のように説明した。

 イスラーム寄宿塾周辺の社会の人々の育成に関連して、マトラ・ウル・フダはイスラーム寄宿塾として、社会とつながりを持ち、社会サービスも行っている。そのサービス活動の中には特に、イスラーム学習会の実施、寄宿生の最上級生クラスで実施される伝道実習、そして一般向けの語学とコンピューターの講座がある。

 このイスラーム寄宿塾の運営は、10年前、正確には1998年7月12日に創立され、法人となったラ・ロイバ協同組合が主に行っている。この協同組合は、まさに社会の下層に位置する人々の活動で成り立っている。「これは完全に人民の、人民による、人民のための組合である。イスラーム寄宿塾は、設備を提供し指導を行うのが限度なのだ。2008年の11月までに、人々のために費やされた運営資金は、1億8千万ルピア(約140万円)を超えた」と教諭は付け加えた。


訳注1)マドゥラサ: 宗教省所管のイスラーム系の学校。小学校、中学校、高等学校がある
訳注2)西部インドネシア時間: インドネシア時間は、西部インドネシア時間(日本時間-2時間)、中部インドネシア時間(日本時間-1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。
訳注3)ウドゥ: イスラーム教徒が礼拝前に、水で体を清めること。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ed0811212kk)

原題:Pondok Pesantren Mathla'ul Huda, Hadirkan Gontor di Bandung Selatan
http://www.republika.co.id/koran/52/15586.html



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