2007年10月5日(金)

ラマダーンは内省の時

イスラーム塾はイスラーム教育に重要な場

 ジャカルタのダルル・クルアン・イスラーム寄宿塾で、特別なことがあった。10月3日(水)の夕方、インドネシア駐在オーストラリア大使のビル・ファーマー氏がこのイスラーム寄宿塾で行われたブカ・プアサ(注1)の行事に参加したのだ。この行事は、西部インドネシア時間(注2)17時に開始され、ファーマー氏の首には花輪が掛けられた。

 その後、ファーマー氏のためにアンクルン(注3)の演奏がなされた。同イスラーム寄宿塾の理事に付き添われ、ファーマー氏も絨毯を敷いた床の上に座った。その中には、同イスラーム寄宿塾財団の理事長キヤイ・ハジ・マスフリ・シャヒドの姿もあった。

 続いて、マラウィス(注4)がファーマー氏の来訪を歓迎する一連の催しの中で行われた。マラウィスのグループが詠唱しているとき、右脚を軽く左脚に組んで座っていたファーマー氏は体を揺らしていた。頭も上下に揺らしながら、マラウィスを楽しんでいた。

 しばらくして、マスフリ師が歓迎の言葉を述べた。彼はファーマー氏がブカ・プアサの行事に参加したことに対し、感謝の意を述べた。また、この寄宿塾は、生徒たちに高い知識とモラルを習得させることを教育の目的としていると説明した。

 「生徒たちが、立派な品性を持ち礼儀作法を心得た人間になるように教育しています。同時に、他人に対して寛容の気持ちを持つように教えています」とマスフリ師は述べた。

 続いてファーマー氏が、インドネシア語で書かれた原稿を読んでスピーチした。彼はスピーチをスラマット・マラム(今晩は)とアルハムドゥリラー(ああ、神よ感謝します)という言葉で始めた。それから身を屈めて「ここでブカ・プアサに参加する機会を得て、大変うれしい」と述べた。

 彼は、ダルル・クルアン・イスラーム寄宿塾の教師と生徒たちと一緒に過ごすことができて幸せであり、これは幸せを共に分かち合う機会だと述べた。また、インドネシアを含む全世界のイスラーム教徒にとって、ラマダーン(注5)は重要な意味を持っていると強調した。

 それはラマダーンがイスラムの教えに考えを巡らし、内省する重要な時であるからだとファーマー氏は語った。これは寛容であることと、幸せを家族や親族と分かち合うことの重要性を強調するものだ。

 ファーマー氏は、より多様でかつ寛容なインドネシアのイスラームは、インドネシアにとって重要な意味を持ち、さらにオーストラリアにとって良き隣人になる、と加えた。イスラーム教徒の多様性は、オーストラリアでも姿を現しており、その数は現在約34万人になっている。

 オーストラリアのイスラーム教徒は、オーストラリア社会の多文化性の一部となっている。それどころか、イスラーム教徒自体が、多様性のある共同体になっている。なぜなら同地のイスラーム教徒には、オーストラリア人の他に、140ヶ国からの移民がいるからだ。

 また、イスラーム寄宿塾はイスラーム教育に重要な場であることを認識している、とファーマー氏は述べた。そのため、オーストラリアもこれまでイスラーム寄宿塾とマドゥラサ(注6)に支援をしてきた。

 ファーマー氏は、2,000校におよぶ学校建設のため、オーストラリアは毎年3兆4千億ルピアの資金を提供しており、そのうち500校はマドゥラサだと語った。



注1) ブカ・プアサ: 1日の断食を終えて食事を取ること
注2) 西部インドネシア時間: インドネシアでは、時間が西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。
注3) アンクルン: 竹製のインドネシア民族楽器
注4) マラウィス: 打楽器のリズミカルな演奏をバックにコーランを詠唱すること
注5) ラマダーン: イスラーム月9月、断食月。イスラーム教徒はこの1ヶ月間、日の出から日没までの間、一切の飲食を絶つ。
注6) マドゥラサ: 宗教省所管のイスラーム系の学校。小学校、中学校、高等学校がある。



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ed0710051hy)

原題:'Ramadhan Ajang Introspeksi Diri'
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=309539&kat_id=164



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