インドネシア語新聞翻訳
2010年11月25日(木)
【レプブリカ紙】


インドネシア銀行:シャリア銀行は2011年も〔引き続き〕成長する

【ジャカルタ】
 インドネシア銀行(BI)は、シャリア銀行が2011年も引き続き成長すると、相変わらず楽観的だ。ここ5年間続いているシャリア銀行の成長傾向は、総資産〔ベース〕で年間33パーセント以上の成長〔率〕を示している。

 インドネシア銀行のハリム・アラムシャー副総裁は次のように述べた。2010年10月までに、シャリア銀行の総資産は86兆ルピア〔約8,600億円〕に達した。それどころか、現在の市場占有率(訳注1)は3.1パーセント前後に達している。「我々は、2011年もこの高い成長率が続くことに、楽観的だ」水曜日(11月24日)の「シャリア銀行年末セミナー2010」開催時に、同副総裁はこのように述べた。

 同副総裁によれば、シャリア銀行の疑いのない成長は、シャリア銀行の〔店舗〕数がますます増加していることにより示されているという。組織的に〔見ると〕、現在シャリア銀行の数は、シャリア普通銀行(略称BUS、訳注2)が11店舗、シャリア事業体(略称UUS、訳注3)が23社、1,625の店舗網があるシャリア庶民融資銀行(略称BPRS、訳注4)が146店舗に達した。

 「とりわけ、ますます繰り返される広報活動プログラムと市民教育に支持されている」

 同副総裁は次のように言明した。しかし、シャリア銀行の発展には様々な分野〔の組織〕から支持や協力が必要だ。例えば、法律の基礎作成における国民議会、商品の革新における全国シャリア委員会(DSN)、実体経済部門での税制および政策強化分野の役割における政府などだ。「インドネシア銀行が単独では動けないことが、自覚されるべきだからだ」と同副総裁は付け加えた。

 インドネシア銀行シャリア銀行業〔部門担当〕取締役のムルヤ・エフェンディ・シレガル氏は、次のように述べた。将来に向けてのシャリア銀行発展政策には、少なくとも5つの方向性がある。それには、シャリア銀行業のための財政的なインセンティブの最適化、人材管理の質の向上、管理システムの質の向上、サービスの質量を向上させるための競争戦略、革新的かつ総合的な市民教育が含まれる。「悲観的な資産成長のシナリオは35パーセントで資産額131兆ルピア〔約1兆3,100億円〕、中程度のシナリオは45パーセントで141兆ルピア〔約1兆4,100億円〕、楽観的なシナリオは55パーセントで151兆ルピア〔約1兆5,100億円〕だ」と同取締役は述べた。

 〔従来型の有利子銀行の営業部門であるシャリア事業体が、シャリア普通銀行として〕分離独立の結果、成長が促進〔されるだろうと予測されていたことの〕影響について、同取締役は次のように述べた。2011年がまだ営業やインフラの改善を要する変遷の時代であることを考慮すれば、分離独立はあまり重要なことではない。しかし、改善が早急に行われれば、分離独立により、シャリア銀行業の成長が著しく促進されることも不可能ではない。

 「しかし、来る2011年に、全国のシャリア銀行業での新しい役割の担い手となる準備をしている海外投資家が、存在することは明らかだ」

 同取締役は、国内の諸銀行をシャリア銀行に転向させることに照準を合わせている〔その〕2社の海外投資家として、アル・バラカ(訳注5)とカタール・イスラーム銀行の存在をあげた。

 「商品の革新も含まれる。インドネシア国外ではもっと先進的だからだ。革新的でなければ、我々は国内で傍観者となるだけだろう。ましてや、2015年にはアセアン経済共同体が設立されることになっている」と同取締役は述べた。

 楽観主義は、銀行業者の手腕にも反映されている。マンディリ銀行のスナルソ取締役によれば、子会社として、シャリア・マンディリ銀行(BSM)のランクは上がり続けているという。それどころか、素晴らしい実績と資産成長により、現在シャリア・マンディリ銀行は、インドネシアで営業している121の普通銀行の中で21位を占めている。2015年にシャリア・マンディリ銀行の資産の順位がベスト10に入ることも、スナルソ氏は迷うことなく設定している。

 一方、シャリア・アジア中央銀行のジョン・コサシー取締役は、同銀行はまだ〔財政目標が〕達成されていないセグメントを直ちに補うことができる、と期待している。「しかし我々の主要な業務は、今もなおトランザクション・バンキング(訳注6)だ」と同取締役は述べ、親銀行からシャリア銀行の顧客を引き抜く懸念について否定した。

 時の流れと共に、シャリア〔に基づく金融〕サービスを必要とする人々がますます増えたことを、同銀行は理解した。このことは、明らかにアジア中央銀行自身に付加価値を与え、顧客とのさらに建設的な関係を築いた。
【EH Ismail.ed:yeyen rostiyani記者】

訳注
1 )市場占有率: 従来型の有利子普通銀行とシャリア普通銀行によって構成されるインドネシアの銀行市場における、シャリア普通銀行の構成比率
2 )シャリア普通銀行: 全面的にイスラーム法に則った銀行。ここでいう「普通」とは、インドネシアにおいて県(kabupaten)レベル以上の規模で業務を行っている銀行のことで、郡(kecamatan)や村(desa)レベルでの小規模な信用金庫や組合、講よりも大きく、地域的普遍性があるという意味で、「普通」という言葉が使われる。
3) シャリア事業体: 在来型銀行の傘下にあるシャリア事業体
4) シャリア庶民融資銀行: 庶民、中小企業を相手とするイスラーム系の小口融資機関
5) アル・バラカ: バーレーンに本店を構える、グローバルなイスラーム金融グループ。
6) トランザクション・バンキング: 財務諸表等に基づき、一時的かつ個々の取引の採算性を重視して金融サービスを提供する手法。長期継続的な取引関係の中から、顧客の信用情報を得ることで金融サービスを提供するリレーションシップ・バンキングと相反する。

(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ec1011251kk)

原題:BI: Bank Syariah Tumbuh di 2011
http://koran.republika.co.id/koran/17/123805/BI_Bank_Syariah_Tumbuh_di_2011


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