インドネシア語新聞翻訳
2010年8月30日(月)
【レプブリカ紙】


イスラーム教徒の経済は遅れをとっている

【マラン】
 イスラーム教徒の経済活性化において、イスラーム社会団体が果たしている役割はまだ非常に小さい。わが国にはイスラーム社会団体の数は多いが、彼らはまだイスラーム教徒の福祉水準を上げるだけの力がないと見なされている。

 「これはパラドックスだ。なぜなら、イスラーム団体は住民の大部分がイスラーム教徒であるインドネシア国民を経済の泥沼状態から引き上げることができていないからだ」とムハマディアの中央指導部議長ディン・サムスディン教授は、先週末マランのムハマディア大学のドームで、東ジャワ地区ムハマディア指導部が開いたラマダーン月(訳注1)の説教で千人の参加者を前にして述べた。

 ディン教授によると、イスラーム教徒の経済支配における弱さは広範な影響をもたらしている。すなわち、国際的な問題に直面した場合のインドネシア国民の力を脆弱なものにしている。それだけではなく、インドネシアのイスラーム教徒は自国民の経済活動を強化するために戦おうとしないという印象を与えている、と同教授は述べた。

 彼は、一部のイスラーム教徒は物乞いの精神構造になっており、一生懸命働こうとしないと評している。「その結果起きていることは、与えるより奉仕されることだけを好む姿勢だ。このモラルの退廃がイスラーム教徒に後進性をもたらしている。この問題は、今後5年間、私の指導の下にあるムハマディアの関心事となっている」と同教授は述べた

 同教授は、イスラーム教徒がルネッサンスを経験する前のヨーロッパ民族の経験から学ぶよう提案している。そのとき、ヨーロッパの人々も、現在インドネシア国民が経験しているような、泥沼状態にあった、と彼は述べた。一方で、その時中国は経済成長を通じて興隆の時代にあり、文明が発達していた、と同教授は語った。

 このこと〔ルネッサンスと中国文明の発達〕は、同教授によると、ヨーロッパと竹のカーテンの国〔中国〕のひとびとが進歩に対する意欲を持っていたからで、それが勤労精神と生活規律の高さに影響を与えた。「後進性から脱したいのであれば、インドネシア国民を進歩させるために、このような精神をイスラーム教徒は持つべきだ」と彼は述べた。

 元副大統領だった国家的実業家 M. ユスフ・カラ氏は、イスラームの歴史は常に交易世界と関わりを持っていたと述べた。彼によるとイスラームが興り、インドネシアを含め全世界に広まった歴史は交易上の貴重な教訓に満ちていると言う。

 「わが国をはじめ、全世界にイスラームを広めた人たちは商人の魂を持っていた人たちだ。イスラームがインドネシアに入ってきたきっかけも交易の形を通じてで、強制や戦争によるものではない」とユスフ・カラ氏は28日(土)夜、ムハマディアの東ジャワ州全支部指導部を前にして語った。

 同氏によると、イスラームがいずこへ伝播するにせよ、その存在は商人たちの存在と同一だった。ムハマディアの歴史も同様だ。同氏は、〔ムハマディアの創設者〕アフマド・ダーラン氏も商活動を行いながらイスラームを広めたのだと語った。その当時の商業活動がイスラームを広く強力に伝播したのだ、と彼は続けた。

 同氏は、イスラーム教徒がこの素晴らしい歴史を忘れていることを大変残念に思っている。「この伝統〔商人が広めたこと〕はもうなくなっている。もっとも、イスラームには色々な価値が詰まっており、商人はイスラームの価値を高めることができた人たちだ。残念なことに、このことは思い出として残っているだけだ」と南スラウエシ州マカッサル出身のこの商人は述べた。

 同氏はさらに以下のように述べた。インドネシアでは、政治、教育および保健活動の分野におけるイスラーム団体の活動はすでにうまくいっている。残念なことに、イスラーム教徒は、数の面でマジョリティーになっているものの、経済の分野では他の教徒に比較してまだ遠く及んでいない。そのためイスラーム教徒は、イスラームの伝播者たちが手本を示しているように、商人魂と精神を強化し直さねばならない。


訳注1) ラマダーン月: イスラーム暦の9月。断食月


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ec1008301hy)

原題:Ekonomi Umat Tertinggal
http://koran.republika.co.id/koran/14/118225/Ekonomi_Umat_Tertinggal


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