インドネシア語新聞翻訳
2009年7月29日(水)
【レプブリカ紙】


シャリア・マルチ商法に関するファトワの草案に同意


【ジャカルタ】
 土曜日(7月25日)に行われたインドネシア・ウラマ評議会(訳注1)全国シャリア(訳注2)委員会〔以下DSN MUI〕の総会で、シャリア・マルチ商法〔以下PLBS〕に関するファトワ(訳注3)の草案に同意がなされた。DSN MUIからシャリア・ビジネス証明書の取得を希望するマルチ商法を行う会社にとって、そのファトワは基準となりうる。

 DSN MUIのメンバーであるM・グナワン・ヤスニ氏は次のように述べた。PLBSの実務を行う上で守るべき法律の規定は少なくとも11種存在する。その中には、実際の労働実績に基づいて計算される、会社から消費者に対して与えられる手数料〔の規定〕もある。これは、個人やネットワークによる品物やサービス商品の販売実績や売上高に見合ったものだ。(受動的所得《訳注4》や顧客紹介によるものとは限らない)。

 「受動的所得とは、メンバーの育成、メンバーの採用、そして品物の販売やサービス業務を行わずに受動的に報奨金を得ることだ。それはマネー・ゲームと同じだからだ」とグナワン氏は火曜日(7月28日)に本紙に対して述べた。

 マルチ商法〔を行う会社〕にとって、〔PLBSの〕証明書を取得済みでも未取得でもそのファトワは有効だ。「証明書を既に取得した会社にも検査が入り、明文化された規定が守られていなければ、その証明書も剥奪されうる」とし、同氏は続けた。

 現在 DSN MUI からPLBSの証明書を取得した会社は、アハッド・ネットとUFO〔PT Usahajaya Ficooprasional〕の2社のみだ。ここ最近もおよそ4-5社のマルチ商法を行う会社が、DSN MUIへ証明書の取得を申請している。

 その他の規定には、「マネー・ゲーム」活動を行わないこと、シャリア監督委員会〔以下DPS〕によるシャリアに基づく監査があること、そしてメンバーの採用においてはアッラーの指示に反する行為、〔個人〕崇拝、多神教の要素を含まないことなどがある。「マルチ商法では、時としてある特定の個人崇拝が見られたが、そうしたことはファトワでは禁じられている」と同氏は断言した。

 同氏によれば、DPSにはマルチ商法でのワークフロー、システム、製品が、シャリアの原理に一致するかどうかを監査する重要な役割もあるという。この監査こそがシャリア・マルチ商法とその他のマルチ商法を区別する。その規定にはムラバハー(訳注5)、ワカラー・ビル・ウジュラー(訳注6)、ジュアラー(訳注7)、そしてイジャラー(訳注8)等のシャリアで認められた契約がいくつかある。「その4契約の他にも、シャリアの原則に見合った契約の規定があり、後にDSNへ申請すればPLBSにおいて使用可能となる」と同氏は述べた。

 PLBSの基準に関する2009年ファトワ第75/DSN MUI/VII号は、現在DSN MUIのサハル・マーフド委員長のサインで可決されるのを待っている。そのファトワは、DSN MUIへシャリア証明書取得を申請する会社にとって基準となるばかりではなく、社会の人々がシャリア・マルチ商法とその他のマルチ商法を区別する基準ともなる。

DPSが批判される
 DSNによるPLBSに関するファトワの草案の主張は、インドネシア訪問販売協会〔以下APLI〕から歓迎されているが、批判されている点が一つある。それは、PLBSにDPSの監査があることだ。

 インドネシア訪問販売協会のヘルミー・アッタミミ総裁は、次のように述べた。ファトワの草案で見いだされる点は、APLIに加入しているマルチ商法〔を行う会社〕が行っていることとほぼ同じだ。「しかしDPSが監査としての役割を持つならば、本来ならばAPLIもメンバーであるマルチ商法〔を行う会社〕のシステムを監査する〔役割を持つ〕」とし、同氏は次のように付け加えた。DPS〔の監査〕が無くても、先述の法律の規定を充たしているマルチ商法も、ハラル(訳注9)なマルチ商法と考えられるのが望ましい。

 ヘルミー総裁は続けた。APLIに加入しているマルチ商法の商品、特に健康食品の中には、 MUIよりハラル証明書を取得しているものもある。先日のAPLIとDSNの間で行われた討議において、APLI側はきちんとした真のマルチ商法についても伝えていた。

 同総裁はさらに続けた。APLIにおいては、協会に加入しているメンバーはマルチ商法の諸条件を充たさなければならない。まず第一に、消費者に役立つ品物を販売し、売買の強制や投機的取引や利子システムがあってはならない。またギャンブルの要素や詐欺、謀略はあってはならず、協力や助け合いの要素があるべきだ。上記のマルチ商法の規定は、シャリア金融組織と同様に、リバ(利子)、ガラール(不確実性を伴う投機的取引)、マイシル(ギャンブル)の存在を禁止するシャリアの原理にほぼ一致している。

 DSN MUIのメンバーであるM・グナワン・ヤスニ氏は、次のように述べた。PLBSにおけるDPSの設立は、PLBSにおける取引、製品、システムがシャリア原理に一致するよう監査するのが狙いだ。DPSにはシャリア・マルチ商法とその他のマルチ商法を区別する役割もある。
【Gie記者】


訳注
1) インドネシア・ウラマ評議会: 宗教学者が様々な問題に対し、イスラーム法に基づいた 見解を示す官製のイスラーム法学組織
2) シャリア: イスラーム法
3) ファトワ: イスラーム法に基づく宗教学者の見解
4) 受動的所得: 事業の活動に積極的に参加せずに得られる収入や所得。第3段落参照
5) ムラバハー: ある財物を、その購入原価〔および必要経費〕よりも多い額の代金で転売する形態の売買
6) ワカラー・ビル・ウジュラー: 加入者が保険会社に対して手数料を与え、その資金運営を代理で行ってもらう形態の契約
7) ジュアラー: ある特定の労働の功績に対して、手数料〔報酬〕を与える形態の契約
8) イジャラー: リース契約
9) ハラル: イスラーム法によって許容されている行為、摂取物


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ec0907291kk)

原題:Draf Fatwa MLM Syariah Disetujui
http://www.republika.co.id/koran/17/65445/Draf_Fatwa_MLM_Syariah_Disetujui



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