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インドネシア語新聞翻訳
2009年7月3日(金)
【レプブリカ紙】
シャリアはマーケットシェアの拡大が可能
【ジャカルタ】
5番目のシャリア普通銀行(訳注1)になったバンク・ラヤット・インドネシア・シャリア(BRI シャリア)(訳注2)の存在によって、シャリア銀行(訳注3)の数が増えた。ソフヤン・A・ジャリル国営企業担当国務大臣は、1日(水)夜ホテル・ムリアにおいてBRIシャリアを正式に発足させた。「ネットワークと顧客サービスの拡大戦略を持つBRIシャリアの存在によって、シャリア銀行の成長は一段と早くなるだろう」と同大臣は語った。
シャリア銀行業のマーケットシェアは現在まだ小さいが、この業種は高い成長率を持っている。なぜならシャリア金融システムは在来の金融システムより安定しており、危機に強いことがすでに証明されているからだ、と同大臣は付け加えた。実際、従来型銀行(訳注4)が金融危機から大きな衝撃を受けているとき、シャリア銀行はそれに耐え続けることができた。「シャリア銀行業の利益分配制度(訳注5)がシャリア銀行をより安定的にしているのだ」と同大臣は語った。
彼は、シャリア銀行が発展し大きなマーケットシェアを持つことで、シャリア金融業はインドネシアの金融システムに極めて大きな寄与をすることになるだろう、と付け加えた。そして、すでにおよそ6,000支店に達しているBRIのネットワークでオフィス・チャンネリング・サービス(訳注6)を行えば、インドネシアの人々に対し金融取引の選択肢を与えることになる、と続けた。
リテール(訳注7)分野に焦点
BRIシャリアは融資の焦点をリテール分野に絞ってそこに70%を振り向け、残りを商業分野にあてることにしている。BRIシャリアのリテール部門はまだ整備の過程にあり、今年のリテール顧客数を1万人増加させることをターゲットにしている。しかし、リテール部門を支える全インフラが整備される来年には、顧客数を20万人まで伸ばす目標を立てている。現在BRIシャリアの顧客数は、合計10万人だ。
しかし、今年の融資残高3兆ルピア(約286億円)という目標を達成させるため、BRIシャリアは商業分野への融資を伸ばすことになるだろう。BRIシャリアのベンチェ・ラハルジョ頭取は、融資を伸ばすために500億ルピア(約4.8億円)以上の大口融資に焦点を合わせると語っている。「BRIシャリアのリテールはまだ十分に熟していない。そのためわれわれはまず商業分野に焦点を合わせる。」とベンチェ頭取は1日(水)ホテル・ムリアでのBRIシャリアの発足式の記者会見で述べた。
特に狙いを定めている商業部門は、電気通信、エネルギー、国営企業のコントラクター(請負業者)、そして高速道路事業だ。同頭取は、支店が一層整備され、リテール業務のための全てが準備されたなら、BRIシャリアはリテールの成長を加速させるだろうと述べた。現在、BRIシャリアは55の支店を持っているが年内に73店舗まで増やすだろう。
BRIシャリアの支店以外に、5,000店舗に及ぶBRIの支店を最大限に活用してオフィス・チャンネリング・サービスも行う。「今年は、まず50店舗でオフィス・チャンネリングを試験的に行う。試験的な試みが終わりふさわしいモデルがみつかれば、最低条件を満たすBRIの支店はオフィス・チャンネリング店になるだろう」と同頭取は述べた。
BRIシャリアは、2010年までに最低1,000店舗のBRIの支店をBRIシャリアのオフィス・チャンネリングにすることを目標にしている。BRIシャリアは、段階的にBRIの全店舗においてそれぞれの地域におけるビジネス可能性に応じてオフィス・チャンネリング業務を行うことになるだろう、とベンチェ頭取は付け加えた。リテール分野を獲得するため、BRIシャリアはシャリア住宅ローン、担保付融資(担保による短期貸付)、そしてメッカ巡礼貯金を扱う。
BRIシャリアのアリ・プルワンドノ事業部長は、リテールのために国民住宅省との共同による簡易住宅、送金サービス、担保付融資を大きくすると語った。「担保付融資のための窓口を50ヶ所まで増やす」と同事業部長は語った。
現在BRIシャリアは担保付融資を行う窓口を14ヶ所持っており、今月さらに6ヶ所を追加する予定だ。担保付融資窓口は、段階的にいくつかの都市に広げてゆく。融資目標を達成するためにBRIシャリアはBMT(訳注8)、BPRS(訳注9)、あるいは複合融資といった他の金融機関とプログラムの連携を行うだろう。「われわれの販路には限界があるので、経済の川下を動かすことができるBPRSおよびBMTを通じて貸付を行うだろう」と同事業部長は語った。現在の記録では、BRIシャリアは1兆5千億ルピア(約143億円)の資産と1兆ルピア(約95億円)の融資残高を持っている。
【san記者】
訳注
1) シャリア普通銀行: 全面的にイスラーム法に則った銀行。ここでいう「普通」とは、インドネシアにおいて県(kabupaten)レベル以上の規模で業務を行っている銀行のことで、郡(kecamatan)や村(desa)レベルでの小規模な信用金庫や組合、講よりも大きく、地域的普遍性があるという意味で、「普通」という言葉が使われる。
2) BRIシャリア: BRIは1895年に創建された民族系の銀行で、独立後の1946年にインドネシア初の国営銀行となる。1992年株式会社化されたが、株式の100%を政府が所有している。その名の通り(直訳すればインドネシア国民銀行)庶民相手の金融に重点をおいている。BRIシャリアは、BRIからイスラーム法に則ったシャリア銀行業務部門を分社化したもの。
3) 従来型銀行: イスラーム式ではない、有利子で業務を行っている銀行。つまりイスラーム式という「新型」に対する、昔からある有利子で行う「従来型」の銀行のこと。
4) シャリア銀行: イスラーム法に則って業務を行う銀行で、利子の徴収は認められないなどの特徴を持つ。
5) 利益分配制度: ムダーラバのこと。
6) オフィス・チャンネリング・サービス: 従来型銀行が提供する、イスラーム法に基づいたシャリア銀行サービス。
7) リテール: 個人向けの業務。
8) BMT: バイトゥル・マール・ワッ・タムウィルの略。相互扶助的な民間金融組合で日本の講のようなもの。
9) BPRS: シャリア・庶民融資銀行の略。庶民、中小企業を相手とするイスラーム系の小口融資機関。
(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ec0907031hy)
原題:BRI Syariah Bisa Perbesar Pangsa Pasar
http://www.republika.co.id/koran/17/59809/BRI_Syariah_Bisa_Perbesar_Pangsa_PBRI
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