インドネシア語新聞翻訳
2009年6月19日(金)
【レプブリカ紙】


シャリア経済のマーケットシェアに関する大統領候補の「甘い」約束

 キャンペーンの時期には、大統領候補も副大統領候補も支持者の関心を惹くために「甘い」約束をいろいろと口にするものだ。その一つがユスフ・カラ大統領候補が何日か前に、自分がこの国のリーダーになった場合にはシャリア経済(訳注1)のシェアを25%まで伸ばすと表明したことだ。

 シャリア経済の評論家ハンディ・リスザ・イドリス氏によれば、この表明は実現性が不明だ。「なぜなら、その目標を達成するために彼の陣営がどのような施策、戦略をとるかが述べられていないからだ。彼の戦略がはっきりしていれば浮動票を取り込むことができるのだが」とハンディ氏は6月18日(木)インドネシア大学で行われた「2009年大統領選挙後のシャリア経済の展望」での一般討論会で述べた。

 もっとも彼は続けて、イスラーム教徒が住民の大勢を占め、資源の豊かなインドネシアにとってシャリア金融の発展は極めて有望であるとも述べた。シャリア産業を盛んにするよう望むならば、国営の銀行をシャリア銀行に転換し、シャリア金融の牽引車にすれば可能だとハンディ氏は語った。「シャリア経済を後押しするためには明確かつ総合的に見る指導者が必要だ」とハンディ氏は語った。

 ユスフ・カラ候補が表明したシャリア経済のマーケットシェア25%は、実現性が明確でないとハンディ氏が評したのはもっともだ。事実、現在までのところシャリア銀行業の資産はインドネシア全銀行の総資産の2%という数字に止まっている。シャリア銀行のマーケットシェアを5%と設定したとしても、シャリア銀行は2倍かそれ以上の平均成長率が必要だ。

 ハンディ氏によると、3人の大統領候補が語るビジョンと使命の中で、シャリア経済はまだ実質的に触れられていない。25%のマーケットシェアを達成するのは非常に困難で、現在の成長率ならばこの5年のうちに10%に達するのがせいぜいだと彼は推測している。国営銀行をシャリア銀行に転換するといった政府による大きな現状打破があるときは別として。

 「理想的には、シャリア経済の発展が政府の政治的意思と人々の要請があることによって後押しされることだ」とハンディ氏は語った。彼はシンガポール政府が投資家、特に中東の投資家に対し個人的なアプローチを熱心に行い、シンガポールは安全なシャリア投資の場であると表明していることを例にあげた。そして彼は、少なくとも政府の政策に影響を与える三つの機関があり、それは国家開発企画庁(Bappenas)と大蔵省とインドネシア銀行だと述べた。

 「Bappenasはまだシャリア経済を支援する青写真を持っていない。インドネシア銀行はシャリア銀行業に関するある程度の青写真を持っているが、まだ部署で検討している段階で副総裁まではあがっていない。大蔵省でも同じような状態だ。従って大きな現状打破は未だない」とハンディ氏は語った。

 現在のような開発計画システムであればシャリア金融の発展にとって多くの変化はないだろう。しかし、政府が管理している資金がシャリア銀行に預けられるのならば、マーケットシェアを上げることはできると彼は語った。

 インドネシア大学のシャリア経済およびビジネスセンターの研究員であるモハマド・ソレー・ヌルザマン氏によると、大統領候補および副大統領候補の中でそのビジョンと使命を語る上で、自分の経済基盤としてイスラーム経済を明確に述べた者はいない。メガワティ大統領候補は大衆経済を、ユドヨノ現大統領は市場経済を、ユスフ・カラ候補は自立経済を掲げている。

 ソレー氏は大統領候補が自分のマニフェストの中にシャリア経済を表明するのを躊躇っているのには3つの理由があると推測している。「現在のマーケットシェアがまだ2%から3%の間であり、まだ期が熟していないと見なしていること、宗教問題に関連していること、そして3つ目の理由は恐らく彼らが良く理解していないからだ」とソレー氏は語った。

 もっとも、ソレー氏はシャリア経済の発展については今日の現職(訳注 ユドヨノ大統領)のほうが、彼らより的確に予想することができるだろうと考えている。なぜなら、インドネシアのシャリア経済の存在を支援するため、にいくつかの法令がすでに可決しているからだ。


訳注1) シャリア経済: イスラーム法に則った経済活動、経済システム


(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ec0906191hy)

原題:Janji ‘Manis’ Capres untuk Market Share Syariah
http://www.republika.co.id/koran/17/57127/Janji_Manis_Capres_untuk_I_Market_Share_I_Syariah



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