インドネシア語新聞翻訳
2008年10月25日(日)


シャリア適用で金融危機を防げ

 現在起こっている世界的な金融危機は、市場取引者にとって貴重な教訓となる。世界的な金融危機が再び繰り返されるのを防ぐためには、経済システムの中でシャリア(訳注1)の適用が欠かすことのできない一つの手段となる。

 ムアマラト銀行のA・リアワン・アミン代表取締役は、現在と同じような経済システム規範を用いたまま、経済危機を乗り切ることは不可能だと述べた。同氏によれば、世界的な金融危機が繰り返されるのを防ぐためには、金融システムの諸規範に対して、抜本的な見直しを行うべきだという。「国際社会の言うことに耳を傾けずに、インドネシアにとって最善のことを行うべきで、最も簡単な手段はシャリア銀行(訳注2)の利用だ」と金曜日(10月24日)に本紙に対して同氏は述べた。

 同氏は、シャリア・システムの適用は、急速で突然にではなく、段階を追って行われるべきとし、「シャリア・システムの適用は、経済・金融システムの全ての基本規範について、抜本的にひとつひとつ見直しを行いながらなされるべきだ」と述べた。インドネシア・シャリア銀行協会の会長でもある同氏によれば、シャリア金融システム適用の第一歩は、預金をシャリア銀行に移すことで可能になるという。同氏はインドネシアのシャリア銀行の将来の見通しが、非常によいことを確信している。現在インドネシア銀行は、インドネシア・シャリア銀行証明(略称SBIS)とシャリア銀行業に関するインドネシア銀行規定(PBI)を支持しているからだ。

 インドネシアのイスラーム教徒の大多数が、その条件を支持している。一方、残りの他の宗教信者も利子には批判的だとリアワン氏は確信している。「だから、シャリア事業部門またはシャリア銀行を訪れさえすればよい」世界的な金融危機が起こり、中東の投資家や投資企業がヨーロッパやアメリカ合衆国での投資場所を失いつつあり、シャリア金融の見通しが、さらに明るくなることが予想される。同氏によれば、中東諸国はインドネシアを含む東南アジアなどのイスラーム諸国へ、資金を還流し始めるという。

  バクリー・キャピタル・インドネシア株式会社、アカバニ専務取締役は次のように述べた。シャリア金融・資本市場のシステムは、金融危機に際しても信頼性のあることがわかっている。「例えば全世界のイスラーム諸国の自己資本総額は、12-14パーセント伸びている」その成長は富裕層の投資家や優良企業が存在するからだと、アカバニ氏は付け加えた。その自己資本額は伸び続け、260億米ドル(約2兆6千億円)を上回ることが予想される。

 一方、ガニ・アッセット・マネージメント株式会社のヌルヤナ取締役は、次のように述べた。資本主義の金融システムが作り出した、世界的な金融システムの混乱は、インドネシアの金融市場の全利害関係者にとって、教訓となるべきだ。そのため資本市場関係者および政府は、スクーク(訳注3)、シャリア投資信託、そしてシャリア諸株式などのシャリア投資証券や投資資金の振興を支持する必要がある。


訳注
1) シャリア: イスラーム法
2) シャリア銀行: イスラーム法に則って業務を行う銀行で利子の徴収は認められていないなどの特徴を持つ
3) スクーク: イスラーム債券。イスラーム法に対応し運用先などに規制がある。


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ec0810251kk)

原題:Cegah Krisis dengan Penerapan Syariah
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/17/news_id/9896



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