インドネシア語新聞翻訳
2008年10月17日(金)


金利上昇はシャリア預金移動の引き金にはならない

【ジャカルタ】
 在来型銀行の預金金利上昇は、シャリア銀行(訳注1)の預金移動の引き金にはならないと観測されている。インドネシア銀行のデータによるとシャリア銀行の預金に対するマージンは、在来型銀行の金利約11%に対して十分競争力がある。

 それどころか、マンディリ・シャリア銀行、メガ・シャリア銀行などのシャリア銀行の預金は、特に顕著な伸びを示している。このことは金融当局のデータからも裏づけされており、9月のシャリア銀行の預貯金はその前月の32兆4千億円から4%増え、33兆6千億円(約3,950億円)に伸びている。

 インドネシア銀行協会シャリア部門のメンバーであるアブドゥラー・アル・ジュフリ氏によると、今日の在来型銀行間の金利戦争は、シャリア銀行からの資金の移動の引き金にはなっていない。これはシャリア銀行の顧客が、一般的にシャリア銀行業の発展を忠実に支持しているからだ。

 1997年の金融危機の際にもシャリア銀行では大規模な資金移動は起こらず、むしろ在来型銀行で起きた。「したがって、現在でも数兆ルピアという大規模な資金がシャリア銀行から在来型銀行へ移動することはない」と彼は10月16日(木)本紙に語った。しかし、DKI銀行頭取の特別スタッフは在来型銀行に資金を移した顧客が何人かいることを認めている。それでも、このことはシャリア銀行預金の発展に大きな影響は及ぼさない。

 彼は例として、2008年10月16日現在、DKI銀行シャリア部門の預貯金は8月末からおよそ1600億ルピア、言い換えれば僅か0.45%の下落を見ただけであるとした。アブドゥラー氏によるとシャリア銀行の資金構造は、実のところ在来型銀行よりもずっと強固だ。これは投機をベースとした金融派生商品に投資されている顧客の資金がないからだ。顧客の資金の大部分は、実体部門への融資に充てられている。これがシャリア銀行の資金を在来型銀行に預けられているものよりずっと安全にしている。

 インドネシア銀行のシャリア銀行部門担当役員のラムジ・A・ズフディ氏は、金利上昇はむしろシャリア銀行が預金のマージンを競争力があるようにするのを後押ししていると語っている。「在来型銀行のシャリア部門の人たちは在来型銀行の金利上昇を十分に認識している。そのため彼らは顧客をつなぎとめるために預金のマージンのレベルを上げている」と語った。

 ラムジ氏は現在いくつかのシャリア銀行の預金が増えていると語った。先の9月現在でシャリア銀行の預貯金は、前月よりも約4%の伸びを見ている。「メガ・シャリア銀行、マンディリ・シャリア銀行などいくつかのシャリア銀行では、預貯金の額を上昇させている。そのほか、ムアマラト銀行でも預貯金は安定しており、増え続ける傾向にある」




訳注1)  シャリア銀行: イスラーム法に基づく銀行。イスラーム法では利子を禁じているため、顧客から預かった金を事業家に投資し、投資に対する配当として受け取った金から銀行の手数料を引いたものを顧客にマージンとして支払う形をとっている。このマージンが在来型銀行の金利に相当する。

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ec0810171hy)

原題:Bunga Naik tak Picu Perpindahan Simpanan Syariah
http://www.republika.co.id/launcher/view/mid/22/kat/17/news_id/8251



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