インドネシア語新聞翻訳
2008年7月29日(火)


新しいシャリア保険会社が次々と現れる可能性

そのシナリオのひとつは、在来型の保険会社がシャリア保険会社に転換すること

【ジャカルタ】
 インドネシア・シャリア保険(注1)協会(AASI)は、政府が定める最低資本制度の実施に伴って新しいシャリア保険会社が出てくると予測している。これはいくつかの在来型保険会社が、シャリア保険会社に転換することを意味する。

 この転換は、在来型保険会社の資本と比較して、シャリア保険会社の方が資本が少なくてすむことで起こる可能性がある。それに加え、インドネシアはシャリア保険ビジネスが発展する大きな可能性を持っていると考えられている。「この資本金に関する規定は、いくつかの在来型保険会社がシャリア化するのを後押しすることになるだろう」とAASIの理事長であるアグス・エディ・スマント氏は7月28日(月)本紙に語った。

 政府は、2008年政令第39号によって、先月シャリア保険会社の資本金改定規則を出した。この政令により在来型保険会社とシャリア保険会社の最低払込資本が、それぞれ1000億ルピア(約12億円)と500億ルピア(約6億円)と規定された。これは2010年までに段階的に引き上げられていくことになる。

 つまり、在来型保険会社は資本金を2008年に最低400億ルピアに、2009年に最低700億ルピアとし、2010年末には最低1000億ルピアにするように規定されている。一方、シャリア保険会社は、今年末までに資本金を最低500億ルピアにする義務がある。

 アグス・エディ氏は、この新しい規定によって起こりうる変化に3つのシナリオがあると述べている。第一のシナリオは、いくつかの在来型保険会社がシャリア保険会社に転換することだ。これは2010年に1000億ルピアという在来型保険会社の最低資本を充足できない会社に起こる。「現在、資本がまだ十分でない在来型保険会社はおよそ20社ある」とアグス・エディ氏は述べる。

 第2のシナリオは、新規定によっていくつかの保険会社が、シャリア保険の支店や部門の展開を思いとどまることだ。これは彼らが在来型保険事業の最低資本規定を満たすことに焦点を絞ろうをするからだ。このような状態は実際には望ましくない、というのは在来型保険会社が、在来型の事業のみに集中することになるからだ。

 第3のシナリオは、在来型保険会社がこれまでどおり在来型とシャリア保険両方の事業発展を図ることだ。これは大きな資産を持っているいくつかの保険会社で起こるだろう。「彼らもインドネシアにおけるシャリア保険ビジネスの可能性の大きさに気づいている」アグス・エディ氏は、在来型保険会社は、シャリア保険に転換を図ることに当たって心配する必要はないと述べる。これはインドネシアがシャリア保険ビジネスの大きな可能性をもった国であるからだ。つまり、現在この業界におけるシャリア保険のシェアは、わずか1.5%であるが、約98.5%まで伸ばすことが可能なのである。「これは非常に大きな潜在力だ」

 カリム・ビジネス・コンサルティング(KBC)の筆頭役員であるアディワルマン・アズワール・カリム氏は、在来型保険会社もシャリア保険会社も事業を発展させてゆくには十分な資本に支えられている必要があると説く。保険事業を営むのに資本は重要な役割を演じるからだ。「シャリアだからといって保険事業発展の資本が強固でなくてもよいというのは正しくない。在来型もシャリアも資本は強固であるべきだ」

 このほか、銀行業と同じく、シャリア金融組織(LKS)への転換は、株主である投資家にとって事業の多様化への一歩になる。


注1) シャリア保険業: イスラーム法に基づく保険業

(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ec0807291hy)

原題:‘Asuransi Syariah Baru akan Bermunculan’




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