インドネシア語新聞翻訳
2008年3月19日(水)


「トレーナーの養成」によるシャリア経済の普及

 シャリア経済(注1)の実施がその社会全体に豊かな暮らしと社会正義をもたらしたことは、歴史が物語っている。経済危機に直面した際に、従来型経済より抵抗力があり、より社会正義に則っていることが証明されたシャリア制度を導入しはじめた国が増えているのも不思議ではない。周知の通り、これまでは西洋の国々が資本主義経済制度にとってのメッカであった。しかし、今日では西洋の人々もイスラーム経済にこぞって関心を示している。

 インドネシアでは、1990年代からシャリア経済が発達し始め、1997年の経済危機の後、急速な発展を見せた。シャリア銀行業の実務家たち、そしてこの制度の発展に関心を寄せる人々は、熱心に広報活動を行っている。

 その一環として、チレボン市(注2)のシャリア経済共同体(MES)は、インドネシア銀行、チレボン国立イスラーム大学(STAIN)大学院、チレボン市地方自治体、インドネシア・ウラマ評議会と共催で、トレーナーの養成(TOT)とシャリア・エクスポを実施した。この活動は、チレボンのSTAIN大学院研究棟、地方調整本部ビル、そしてイスラーム・センターの3ヶ所で、3月14日(金)から16日(日)の3日間行われた。

 この活動に参加した講演者は、シャリア経済共同体本部議長ソフィアン・サフリ・ハラパン博士、インドネシア銀行シャリア部門研究開発長ダニ・グナワン・イダット氏、最高裁判所宗教裁判部部長ハジ・ワフユ・ウィディアナ博士、インドネシア伝道者連合会(IKADI)会長アフマド・サトリ・イスマイル博士等だった。のちに宗教省イスラーム局長ハジ・ムハマド・アリ氏、『スーパーリーダーにしてスーパー経営者のムハンマド』の著者ムハマド・シャフイイ氏が参加した。

 「このTOT活動がシャリア経済を普及させ、経済のシャリア化につながることを期待している」と、この活動の委員長も務めたチレボンMESの教育訓練部副部長のアリ・ワフユノ氏は語った。

 アリ氏は、このTOT活動の中でシャリア経済の実施に関する教育・講習を受け持っている。彼によると、この教育・講習の参加者たちは、宗教指導者、学者、地方政府の役人、チレボン郡の企業家などさまざまな分野にわたる。

 「参加者を通じて、シャリア経済に関する理解が、社会に広く行き渡ることを期待する」とアリ氏は述べた。チレボンのイスラーム友好フォーラム(FUI)からの参加者であるアンディ・ムリア氏は、このTOT活動が非常に役立つことを認めている。彼自身この活動を通じて、シャリア経済に対する理解を一層深めることができた。

 「現在、他の仲間たちにもシャリア銀行に変えるよう呼びかけている。それは、シャリア銀行には、さまざまな長所があるからだ」とアンディ氏は断言した。彼はさらに、シャリア経済を実施すれば、個々人に豊かな暮らしと社会正義がもたらされるだけでなく、国家経済も発展すると述べた。

 彼はまた、何十年もの間インドネシアが信奉してきた従来型の経済制度では、社会福祉が向上しないことが証明されたとし、「政府が国家的にシャリア経済制度を実施することを非常に期待している」と語った。

 一方、インドネシア銀行のダニ・グナワン・イダット氏は、インドネシアのシャリア経済は毎年発展を示していると説明した。シャリア銀行業の総資産は2000年には1,790兆ルピアだったが、2007年11月には33,287兆ルピアに達している。

 IKADI会長のアフマド・サトリ・イスマイル博士は、宗教指導者は人々の間にシャリア経済をさらに浸透させるための戦略的役割を担っており、シャリア経済の支持者、説明者、マーケティング担当者としての役割を果たすことができると述べた。

【lis記者】

注1) シャリア経済: イスラーム法に則った経済活動、経済システム
注2) チレボン: ジャワ島の北岸、西ジャワ州に位置する都市。古くから港町として栄え、バティック(ろうけつ染め)の生産地としても有名。


(翻訳者:山本肇)

(記事ID:ec0803181hy)

原題:Memasyarakatkan Ekonomi Syariah melalui TOT
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=327473&kat_id=4



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