2008年1月11日(金)

二重課税撤廃の圧力

副大統領は2ヶ月以内に規則の改定を約束

【ジャカルタ】
 シャリア銀行業界はシャリア銀行(注1)における売買の形をとった金融取引(ムラバーハ)(注2)に対する二重課税(注3)を撤廃するよう政府に要請している。銀行法ではすべての銀行取引が課税されないことを保障しているので、この二重課税は不公平であると考えられる。

 この二重課税撤廃の要請は、1月8日(火)の夕、副大統領ユスフ・カラ氏との懇談の場でシャリア銀行家によって再度行われた。インドネシア銀行総裁ブルハヌディン・アブドゥラー氏、インドネシア・シャリア銀行協会の理事長A.リアワン・アミン氏、それにインドネシア民間銀行協会のシャリア部門長ユスラム・ファウジ氏が、副大統領室に特別に迎えられ、インドネシア銀行のシャリア部門役員ラムジ・A・ズーディ氏が同席した。

 リアワン氏は、この二重課税撤廃が、その早期実現のために、国家的な議題になることを期待している。インドネシアでのシャリア銀行業の急速な発展を促進するには、この二重課税の撤廃を実施することが重要だと彼は考えている。「その理由は、この二重課税がシャリア銀行業を困難にしているためだ」

 インドネシア・ムアマラット銀行の頭取でもあるリアワン氏は、英国、シンガポール、香港といった非イスラーム教徒の国では、すでに二重課税が撤廃されているにもかかわらず、世界最大のイスラーム教徒国でシャリア銀行業務にまだ二重課税が存在しているのは考えられないとしている。マレーシアではこのシャリア銀行制度に対し、政府の配慮が十分になされている。

 政府の見解について聞かれたリアワン氏は、副大統領は彼らの要請を快く受けてくれただけでなく、税法の修正によって、短期間のうちに解決を図ることを約束してくれたと語った。「副大統領は、今年中、いや2ヶ月以内に解決すると答えた」

 ユスラム・ファウジ氏もインドネシアは、イスラーム教徒の国としては唯一、依然として二重課税が適用されている国だとし、実際は、税務当局もこの問題が解決されることを望んでいると述べた。しかし、早期に全面解決を図るには、その場限りの運動だけではなく国民的な働きかけが必要だ。「これは世界最大のイスラーム教徒国として皮肉なことだ」と彼は述べた。

 インドネシアの中央銀行であるインドネシア銀行は、在来型銀行とシャリア銀行との健全な競争を望んでおり、シャリア銀行家の強い要望を支持している。「シャリア銀行は二重に税を課せられており、一方で在来型銀行にはそうした問題がないため、現在その競争は適正とは言えない」とファウジ氏は述べた。

 ラムジ氏もシャリア銀行に対する現在の扱いは、不公平だと考えている。「インドネシア銀行は、誤った解釈が生まれないように規則を完璧なものにしており、その結果この取引はムラバーハ契約による金融と定義されている」

中東の投資家は参入を躊躇

【ジャカルタ】
 二重課税と明確になってないスクーク法(注4)のため、中東の投資家はインドネシアへの参入を躊躇している。しかし、実際はインドネシアの各プロジェクトへやシャリア銀行設立にオイルマネーを投下したいと考えている。

 インドネシア銀行のラムジ氏は、資本投下に関心を持つ中東の投資家がしばしば視察に来ていることを明らかにしている。しかし、残念なことに彼らはインドネシアに来た後、その意図を棚上げにしてしまう。「彼らはとりあえず様子を見たいと言っている」と彼はジャカルタの副大統領室で語った。

 中東の投資家の動きを鈍くしているのには、二つの理由があると考えられる。ラムジ氏によると、この資本家たちはシャリア銀行業の取引における二重課税に反対している。また現在に至るまで、成立に向かっているのか不透明なままのスクーク法を問題にしている。「スクークは投資の手段なので必要だ」と彼は述べた。

【djo記者】


注1) シャリア銀行: イスラーム法に則った銀行業務を行う銀行
注2) ムラバーハ: 物品の売買を介在させる金融方法
注3) 二重課税の問題について、詳しくは2007年9月26日の翻訳記事を参照のこと。
注4) スクーク: 銀行が財を購入してそれを元の所有者にリースバックすることで金融をつけること



(翻訳者:山本肇)
(記事ID:ec0801111hy)

原題:Desakan Penghapusan Pajak Ganda
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=319451&kat_id=256



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