2007年12月14日(金)

今こそイスラーム銀行を通じた取引の時

 イスラーム銀行(注1)取引が、国内でしか行えないというのは本当だろうか。カリム・ビジネス・コンサルティング取締役アディワルマン・カリム氏に聞いてごらんなさい。2週間のヨーロッパ出張から戻ったばかりの同氏は、ヨーロッパ滞在中も祖国のイスラーム銀行を利用し、携帯電話を通じてすべての金融取引を行ったと述べた。

 今週の月曜日、バンドゥンで、西ジャワ州のインドネシア・イスラーム銀行協会(略称Asbisindo)が、地域協議会(略称Muswil)と共催した「イスラーム銀行は私のライフスタイル」というテーマのトークショーで、同氏は司会を務めた。いつも礼拝帽をかぶり、批評では歯に衣着せないことで知られる同氏は、イスラーム銀行を通じた取引経験について語った。「私は、これ(記者注:彼が所有している携帯電話を指して)を使い、プッシュボタンでホテルも予約する。すべての取引をイスラーム銀行がカバーしている」

 同氏の発言は、今日の日常生活でイスラーム銀行を利用しない手はないことを、再確認しているようだった。シャリア銀行業(注2)は、国家的な経済分野でも、より公正で公平であると考えられているため、国家経済のいっそうな発展、強化の助けとなる。

 1998年にインドネシアが陥った経済危機の際、シャリア銀行業は、銀行側に損失を与え資金提供先に有利になる利子システムを用いていないため、有利子銀行よりも強固なことが明らかになった。イスラーム的見解では、利子の取得は不正な慣習とされる。一方、シャリア銀行業は、銀行側と資金提供先双方にとって、公正な損益分担式を適用している。

 いくつかの業界は、有利子銀行と比較して商品やサービスがまだ使いづらいため、イスラーム銀行取引を積極的には望まないことを明らかにしている。同氏が述べた経験は、そうした評判に対する回答のようだった。

 イスラーム銀行自体、改革を続けている。実際、イスラーム銀行にあるサービスは、有利子銀行(業)が実施しているものと比較するとバリエーションに富んでいる。さらに、今日インドネシアの都市住民の一部でもうライフスタイルとなっているクレジットカードについても、既にシャリア・クレジットカードが発行されている。2008年には、同じサービスを開始する銀行が2、3社あると予測される。

 バンドゥンのバッラー・シャリア村落金融組合(注3 略称BMT)代表のムスタファ氏は、シャリア銀行業での取引費用が高いことを認めている。今日まで、イスラーム銀行の取引費用が高いことについては、苦情をよく耳にしてきた。「しかし、実際には取引内容による」トークショーの司会者でもある同氏は、こう述べた。

 顧客がイスラーム法に則った取引を価値あるものと感じていれば、彼らにとって、その費用も高いという感覚にはならない。ムスタファ氏は、より公正でメリットのある原則についての根本的な理解がさらに深まるべきだとし、加えて次のように述べた。彼自身にとってシャリア銀行業は一つの解決方法ではなく、公平でかつアッラーの神の恩恵を受ける経済活動を行う唯一の方法だ。

 イスラーム銀行と有利子銀行の相違について、疑問視する人々がまだ存在することについて、アディワルマン氏は次のように述べた。「疑問を持つ人には疑問を持たせておけばよい。そして、イスラーム銀行はその業務を行い続ければよい」同氏はかつてムアラマット銀行に務めていた。イスラーム銀行の利点は、その人がイスラーム銀行の顧客になってはじめて感じることができる。

 さらに、1963年生まれの同氏は次のように述べた。インドネシアのイスラーム経済成長はこれまでボトムアップ式だったので、イスラーム銀行について疑問視する人々の存在を気にする必要がなかった。「イスラーム銀行を利用したいという社会の人々の要望を止められる人はいない。妨げることはできるかもしれないが、やめさせることはできない。だから心配ない」

【n arbaiyah satriani記者】


注1)イスラーム銀行: イスラームの教義に基づいて運営される銀行。イスラーム法に基づき、利子の取得などが禁止されている。
注2)シャリア銀行業: シャリアはイスラーム法のこと。シャリア銀行業はイスラーム法に則った銀行業務
注3)シャリア村落金融組合: ノン・バンクの小規模な貸付を行っている金融機関



(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ec0712141kk)

原題:Saatnya Bertransaksi Lewat Perbankan Syariah
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=317068&kat_id=256



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