2007年8月31日(金)

イスラーム銀行の不良債権、引き続き増加

不良債権増加はイスラーム銀行(注1)の資金運営悪化による

【ジャカルタ】
 不良債権比率が再び増加した。先月7月末までに、イスラーム銀行不良債権は、6.58%(不良債券額 1兆5,580億ルピア、約187億円)のレベルに達した。去る6月の6.20%、1兆4,230億ルピア(約171億円)を上回った。

 昨年の同時期と比較しても、7月の不良債権は大幅に増加している。昨年は約5%以下の4.71%だったからだ。

 インドネシア銀行の先月7月の公表データによると、不良債権内訳は、破産更生債権等(2.71%、642兆4,540億ルピア、約7兆7,400億円)、貸倒れ懸念債権(1.49%、354兆80億ルピア、約4兆2,600億円)、延滞債権(2.37%、561兆4,520億ルピア、約6兆7,700億円)となっている。一方、要管理債権は、6.19%(1,466兆ルピア、約17兆6,800億円)、一般債権は、87.23%(2京663兆ルピア、約249兆円)だ。

 インドネシア銀行のイスラーム銀行業・研究・開発・調整局長、ムルヤ・E・シレガル氏は、不良債権の増加原因はイスラーム銀行顧客の思考規範が変わっていないからだという。インドネシア銀行の公定歩合の引き下げによって、一般銀行の融資の利率が下がり、イスラーム銀行の投資回収率(注2)より相対的に低くなったことが引金となった。「ついには、多数の優良な資金提供先が移行して、一般銀行の顧客(融資先)となってしまう」と彼は発言し、優良な顧客とは、定期的に完済まで分割費の支払いを確約する顧客であると述べた。

 同氏は次のように述べた。多数の顧客の移行が、イスラーム銀行の不良債権増加を加速した。分子・分母の理論によると、優良な顧客が移行すればするほど、不良債権増加が進むことになる。「そのため我々は、イスラーム銀行に対して、顧客にイスラーム金融(注3) について深く理解してもらえるように、注意を促した。

監査不足
 インドネシア・イスラーム銀行協会、アーマッド・リアワン・アミン総裁によると、不良債権の増加原因はイスラーム銀行が資金を投資する上で、監査が不十分だったことの方が大きいという。その結果、不良債権増加が加速した。「私は、イスラーム銀行であろうとなかろうと、監査や組織化が適切に行なわれていないのなら、不良債権はさらに増加することになると思う」と彼は発言した。

 同氏は次のように述べた。イスラーム銀行業者は資金を投資する上で、十分監査することが望ましい。イスラーム銀行の不良債権が引き続き増加することを抑えるためだ。イスラーム銀行が、資金投資の際、もっと監査を強化すれば不良債権は減少するだろう。「貸出資産(無利子金融では投資資金)の拡大は、本当にすばらしいが、それぞれの能力に合わせて、監査を十分にして投資を行なわなければならない」と彼は発言した。

 カリム・ビジネス・コンサルティング(略称KBC)の、アディワルマン・アズワル・カリム代表取締役は、先月7月の不良債権の増加は、イスラーム銀行資金運営の監査基準の甘さを示しているという見解を表した。特に、去る1月から先月7月まで、不良債権額は増加し続けている。「これは危機的で、イスラーム銀行が直ちに資金運営を改善するように願っている」と彼は発言した。

 同氏は、イスラーム銀行の不良債権の増加にはいくつかの原因がみられるのではないかと考える。その一つには、イスラーム銀行が、貸付候補(無利子金融では投資企業)を選択する上での監査不足があげられる。もし選択が最適に行なわれないなら、通常は不良債権が増加する。「私は、現在イスラーム銀行の資金運営が悪化していることは否定できないと思う。原因の一つが、貸付候補(投資企業)の選択にある」

【aru記者 】   

注1) イスラーム銀行: イスラームの教義に基づいて運営される銀行。イスラーム法に基づいて利子の取得が禁止されている
注2) イスラーム銀行は、企業に対して「投資」という形で、いわゆる「共同経営者」となり、「配当」という名目で貸付利息に相当する金を企業から受けるというシステムをとっている。企業が大きな利益を上げた場合には、イスラーム銀行に入る配当も多くなる
注3) イスラーム金融: イスラーム法に基づく金融 


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:ec0708131kk)

原題:NPF Bank Syariah Terus Bertambah
http://www.republika.co.id/koran_detail.asp?id=305297&kat_id=256



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