2007年6月14日(木)

テレビ番組「3人女性の旅」:イスラーム史跡を紹介

 イスラーム的色彩が強い番組も、テレビドラマ、映画、音楽会に負けないぐらい興味深いものである。しっかりした企画を立てて放送すれば、さらに多くの視聴者を引きつけることができるだろう。

 これにトランス・テレビ局が成功した。「3人女性の旅」という題名の新しい番組は、インドネシアのイスラーム教徒ゆかりの史跡を紹介している。この30分間番組は、毎週水曜日の西部インドネシア時間(注1)午前6時30分から放送されている。

 番組のプロデューサーであるエコ・エフリヤント氏は、次のように説明した。この宗教色の濃い番組は、一般的な事柄だけを伝えるドキュメンタリー番組でないものを製作するというアイデアから生まれた。「そのため、私たちはイスラーム史の裏に潜むドキュメンタリーの放送を試したのです」

 番組のなかで、その3人女性は親友同士で、インドネシアでイスラーム教が伝来し発展した、歴史的価値のある様々な地方へと旅しているという設定になっている。

 この番組は宗教的な崇高さを重視するだけでなく、ジルバッブ(注2)をかぶった女性が、挑戦するのにきわめて難しい場所へも旅行できるという印象を人々に与える。「このことはジルバッブを被った女性も区別されずに、他の女性と同じように活動できるということを象徴しています」と同氏は述べた。案内役の3人の女性は、時として丘に登ったり、目的地にたどり着くために洞窟の中にも入らなければならないという。

 第8番目のエピソードの放送までは、ジャワ島周辺のイスラーム教徒にとってゆかりのある史跡を紹介する。その後、彼女達は、インドネシアにイスラーム教が伝来して発展した歴史的な場所となっている地方を探検するために、ブトン島、スラウェシ島やテルナテ島を近いうちに旅する予定である。

 トランス・テレビの製作班は、番組を飽きないものにするように、この崇高なドキュメンタリー番組の企画の中で、番組に様々なバリエーションを加えている。例えばイスラーム史で価値のある場所を取り上げて紹介する以外に、その地方周辺の観光スポットも紹介する。番組に付加価値をつけるために、観光スポットだけでなく、地方の名物料理も取り上げる。「もちろん中心部分は歴史的な場所なので、それらは軽く取り上げるにすぎません」と同氏は付け加えた。

 入念な取材もこの番組の構成に変化をつけている。そのため彼らは、イスラーム史専門家や、キタブ(注3)の専門家にも情報提供者として協力を求めている。

芸術

 歴史のある場所でのイスラーム的色彩が強い芸術もまた、早朝に放送されるこの番組に彩を添えている。また、現地の文化社会の独特さも同様にこの番組のポイントとなっている。「これも、このイスラームの情報と歴史満載の放送を見る視聴者が飽きないように、おこなっています」と、エコ氏は説明した。

 トランス・テレビ広報部のニシャラニ氏は、以下のように付け加えた。この番組は、かなり社会の反響を得ていることが明らかになった。「もちろん朝の番組なので、視聴率と視聴占有率は余り高くありません。しかし、この番組は放送2ヵ月目に入って、視聴率と視聴占有率が上昇しています」と同氏は語った。

 この番組は、視聴占有率は1.3パーセントで、視聴率は13.8パーセントに達している。その数字は、視聴占有率がわずか0.9パーセント、視聴率10パーセントの前週と比べると上昇している。「高すぎる目標を掲げることはしません。この番組が視聴率15パーセントになるのを目標としています」と、エコ氏は発言した。放送時間が朝なので、高い視聴率を目標としていないのだ。

 エコ氏はこう付け加えた。もし、この番組に対する社会の反響がもっとよくなれば、イスラームの崇高な史跡を求めて海外へと足を伸ばす可能性もある。「もし予算が十分なら、アラブ諸国のイスラームの歴史も紹介します」  

注1) 西部インドネシア時間: インドネシア時間は、西部インドネシア時間(日本時間−2時間)、中部インドネシア時間(日本時間−1時間)、東部インドネシア時間(日本時間と同じ)に分かれている。首都ジャカルタは、このうち西部インドネシア時間に属す。
注2) ジルバッブ: インドネシアで女性のイスラーム教徒が、人目に触れてはならないとされる頭髪や首、耳を覆うためにかぶるヴェール。
注3) キタブ: 宗教書


(翻訳者:川名桂子)
(記事ID:cu0706141kk)

原題:Perjalanan 3 Wanita, Mengungkap Tempat-tempat Sejarah Islam
http://www.republika.co.id/Koran_detail.asp?id=296638&kat_id=383



ISEA インドネシア語新聞翻訳 TOPへ